クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
WEBメディアなどで、エッセイ等も連載している人気の西村隆ノ介さん。フルーツサンド王子とも呼ばれ、フルーツサンドを通じて食の楽しさを届ける彼の肩書は「イートデザイナー」。聞いたことあるような、ないような、そんな肩書は料理家やフードデザイナー、コーディネーターとも違う新しいもの。”
「食べる」をデザインする”に込められた西村さんの想いとは? 今回小南光司さんとコラボレーションの機会に、西村さんの食に対する考えを取材させていただきました。
Q.「イートデザイナー」という言葉を初めて耳にしました。どういう意味でしょうか?
A.食べ物や盛り付けをデザインするだけではなくて「食」、「食べること」=イートをデザインするのが僕の仕事です。
食事って、毎日するものですよね。1週間で計算すると21回もあるんですよ。
毎日ご飯を食べる=エネルギー摂取なだけになっている人が、とても多いんです。人それぞれの価値観なので仕方ない部分もあるけれど、その「食」を通じてその人の人生に何かきっかけを提供できたらと思って、始めました。
Q.具体的にはどんな活動をされていますか?
A.今は渋谷と恵比寿にある「6curry」さんで毎週金曜日にフルーツサンドを販売しています。フルーツサンドのクリームは、砂糖や生クリームを使わないオリジナルです。使う食材は、いつも新しい組み合わせに挑戦していて、食べてもらって何か発見してもらえたらいいなと思い、毎週活動しています。
甘さ、酸味、苦み、うまみ色々な可能性を提供しているので、ただ商品を出すだけではなくて、お話しながら「こんな美味しさがあったんだ」と、思ってもらえたら最高です。その人にとって、「今までになかった食体験」をしてもらって、食材だけではなく、その人自身の可能性を引き出せたらいいなって。
“食”って、誰と食べるか、どんな器で食べるか、セッティングはどうする?とか盛り付けは?と考えると、すごく幅広い楽しみ方があります。盛り付け方はもちろんだし、器のこととかいろいろなことを人と共有して、食べるシーンもデザインしていけたらいいなと思っています。難しいことじゃなくて、ちょっとしたことでいいんです。たとえば、ベーシックな定食にフルーツの小鉢をつけてみるとか。それだけで、食卓も変わりますよね。
Q.西村さんは、男性でも料理をするし、美容も楽しむということを提唱していますよね?
A.はい。そもそも僕がいつも違和感を感じるのは、“ご飯を作れる=女子力が高い”ということ。食事を作れるって、生活力ですよね。誰しもが身につけられることだし、そこに男女の差はないと思います。
美容についても同じです。僕は今コスメのプロデュースもしています。美容=女性のものが一般的だと思いますが、最近はメンズコスメも充実していますし、メイクもスキンケアも男性が楽しんでいいと思っています。そういう価値観をシェアするために、イートデザイナーとしてだけではなく、色々な方面で活動をしています。
Q.フルーツサンドは、なぜ砂糖と生クリームを使わないのでしょうか? そしてなぜフルーツサンドを作り続けるのでしょうか?
A.これ、話すの初めてかもしれませんが、間借りで飲食をやりたいと思って最初に借りたスペースがとっても狭くて。その狭さで何が作れるかと考えたときに、フルーツサンドでした。ある程度作り置きができるし、本当に運命的な流れです(笑)
白砂糖を使わない理由ですが、最初は使ってはいたんです。白砂糖、きび砂糖、てんさい糖の違いも当時は知らなくて。色々勉強していくうちに、東洋医学では白砂糖は体を冷やす、てんさい糖は体を温めるなど、食材によってこんなにも体に与える影響が違うんだってことがわかって。
日本ではヴィーガンフードもまだまだですよね。健康志向と、よく聞きますが砂糖不使用だったり、ヘルシーフードが本当にまだ少ない。僕が作ったヘルシーなフルーツサンドを食べて、純粋に美味しいと思ってもらって、「こういう選択肢もあるんだな」と思ってもらえたらいいなと思っています。ヘルシーフードだけど、ヴィーガンフードだけど、美味しいということが重要です。
今回、素敵なお話をしてくれた西村さんの超絶品フルーツサンドを次回公開します。どれも家にあるもので、5分ぐらいでできちゃうレシピ。次回をお楽しみに。
Profile
西村隆ノ介 Nishimura Ryunosuke
イートデザイナー。「にしむー食堂」を立ち上げ、渋谷6curry等で出店するほか、ケータリングサービスなども行う。コスメやジュエリーのプロデュース、デザイナーとしても活躍し、マガジンハウスGINZAにてエッセイの連載も持つ。
Photo/Ahlum Kim Writing/Cream Taro
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