2022年の5月に東京の代々木上原にOPENした「メゾン ビヤンネートル」。予約制で、食べられなかった人も多かった、あのパフェの名店「BIEN‐ÊTRE(ビヤンネートル)」が「BIEN-ETRE MAISON(メゾン ビヤンネートル)として席数も増えて、上原の新しいスポットとして既に人気に。
フランス語で「充実感」や「幸福感」という意味を持つ店名の通り、丁寧に盛り付けられたパフェの“美味しさ”から感じる幸福感はこの上なく多くのファンが通います。前回の記事では、お店のことやパフェのことを深掘りしてきましたが、今回はオーナーシェフである馬場麻衣子シェフへインタビュー。メディアにも引っ張りだこの彼女、これからの向かう先についてお話をお伺いしました。
Q.大学では語学を専攻していたと伺いました。お菓子の世界にどうして入られたのでしょうか?
馬場さん「大学ではスペイン語を専攻していました。もともとは遺跡が大好きだったんです。それで中南米に行きたくて卒業後はメキシコへ留学をしていました。通訳として働いている中でも“やっぱり何かを創造することがしたい”と思って、子供のころから好きだったお菓子作りの道へ進むことにしました。
製菓の専門学校へ通っていなかったので、全部独学で勉強しました。京都のレストランで働いた後は、上京してレストランを渡り歩きました。
レストランでは、その場でしか食べられない繊細なデザートを作っていたこともあり、その特別な美味しさをもっと身近に、卓上で食べられるものを考えた先がパフェでした。2010年に独立し、今年はお店を増やし、ポップアップに出店しと大忙しさな毎日で、キャパオーバーな感じですが毎日が楽しいです。」
Q.今回の新店舗では、「アボカドホエイトースト」など様々なラインアップがありますが、どのようにして決めたのでしょうか?
馬場さん「実はチーズを作る過程で発生する“ホエイ”が大量に廃棄されているのをご存知でしょうか? その“ホエイ”を使ったメニューができないか、と考えて作ったのがこの『アボカドホエイトースト』です。ホエイは破棄するのも大変で、地球に負荷がかかるもの。地球に負荷をかけずに、お菓子や食事に取り入れて、美味しさに還元できればと思い作っています。
美味しいものを作ることは、我々作り手からしたら当たり前のこと。その先が大事で、もう少し意義のあることをしたいと思っています。
サスティナブルな考え方は、食の分野においては海外の方が遥かに進んでいる印象です。私の今回の試みが、どれぐらい世の中の力になれるかはわからないけれど、そういう小さなステップで何かが起きるといいなと思っていて。今回の新店舗の2階に作ったラボ(工房)は、フードロスを減らすための試みを実践する場所として活用したいと思っています。
サスティナブルな試みは、食べ物だけではなく私が身につけているこのターバンや衣装にも。洋服を作る時にたくさん出てしまう端切れ。その端切れをつむいでこの衣装を作っているんです。なかなか気づかれない部分ではありますが、その小さな一つのことを大切しています。今は私が着用していますが、ゆくゆくは店舗の衣装にしていきたいと考えています。」
Q.2階に工房ができたということで、今後は通販事業にも力を入れていくのでしょうか?
馬場さん「はい、通販は考えています。ただ、普通のECサイトではなくて、生産者の声やその様子が伝わるような記事がつまったサイトにしようとしています。今まで日の目を見なかったフルーツであったり、味には問題ないけれど販売されないものも。そういった食材と生産者さんたちのストーリーを、買う人たちにも読んでもらえたらまた違った体験になるのではないかと考えています。
ちょうど今度ライターさんと農家さんへ取材に行くんですよ。見学しに行くとかだけではなく生産者の方々に色々なお話を聞いて、吸収したいなと思っています。」
Q.今、馬場さんの日々のモチベーションを保つためにしていること、休日のオフの日に楽しんでいることはどんなことですか?
馬場さん「そうですね、子どもと遊ぶことですかね(笑)。なかな忙しい日々が続きますが、子どもと一緒にご飯を食べたり、寝たり、そんな時間が原動力となっています。そして、夜子どもが寝静まったときに、厨房へ行くんです。そこから試作がスタート。真夜中の静かなラボは凄く楽しいですよ(笑)。とても集中できるし、その時間も好きです。」
About Shop
メゾン ビヤンネートル
東京都渋谷区上原1丁目17−11 2F・3F
営業時間:11:00~19:30
定休日:なし
クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
Photo/Kensuke Hosoya Hair&Make/Yumi Tezuka Writing/Cream Taro
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