桃が美味しい季節。連日SNSでは多くの桃スイーツがアップされる中で、その美しさや演出のアイデア、美味しさから話題沸騰中の桃のパフェを紹介します。今回の舞台となるのは1954年(昭和29年)に開業した「山の上ホテル」にあるコーヒーパーラー ヒルトップ。今話題沸騰中のパフェのことはもちろん、歴史あるコーヒーパーラーのことも深掘りしていきます。
書籍の街として知られる神田の街にあり、多くの出版社や古書店が集まることから川端康成や池波正太郎などに愛され、多くの作家がホテルで執筆活動をしていたという歴史だけではなく、文化的な舞台ともなる山の上ホテル「コーヒーパーラー ヒルトップ」。
JR御茶ノ水駅より徒歩5分程度、まるで山を登るかのように、坂道を上がると「山の上ホテル」が見えてきます。創業者の吉田俊男氏の周囲には、文学関係者が多かったことや、場所柄出版社の多い神保町や神田から近いことも相まって1954年の創業以来多くの作家に親しまれていきました。
2019年に7カ月間の休業を経て「山の上ホテル」自体が大幅リニューアル。ホテルの特徴でもあった「アールデコ様式」が復活するような形で、装いを新たに。このコーヒーパーラー自体は大きくは変えず、その歴史が今もしっかりと残り続けます。そんな歴史ある空間で生まれた話題の桃のパフェは、どのようにして生まれたのでしょうか?
6月1日から始まり、8月末まで提供している桃のパフェ。他にもマンゴーパインやアールグレイショコラオレなど、全3種類がこの夏のパフェとしてラインアップしています。季節で変わるパフェとなっています。特に話題の桃のパフェは昨年度も好評ではあったものの、今年はSNSで拡散され、連日行列を作るほどの大人気に。
その秘密は、見た目はもちろんのこと、まるで玉手箱を開けるかのような演出に。
運ばれてくる様子はもちろん、開ける瞬間のワクワク感は食欲もそそります。上にのったのは桃に見立てた飴細工。パフェスプーンで割っていただきます。
今回、この桃のパフェに込められた想いと美味しさの秘密を安﨑 正平シェフに伺うことができました。
Q.すごく手が込んだこのパフェ、飴細工もですがどうしてこのパフェをやろうと思ったのでしょうか?
安﨑シェフ「ちょうど2019年、山の上ホテルがリニューアルオープンした時でした。メニューをリニューアルする時に、時代の流れに合わせてパフェもメニューとして加えることにしたんです。そして季節ごとにラインアップを変更し、毎年よりよくしようと考えて行き着いたのがこの桃のパフェです。現在様々なホテルやお店でパフェを出されていると思いますが、他では絶対真似できないものをやろうと考えました。
桃の飴細工は、パティシエの技術を活かしたもの。作るのは凄く大変なのですがこの手間は他では真似できないですし、お客さまにも喜んでいただけているので作り甲斐があります。」
Q.このパフェ、桃を美味しく活かすためにこだわっているポイントを教えてください。
安﨑シェフ「このパフェの構成としては、フランスの伝統的なデザートであるピーチメルバをイメージしています。もともと私がフレンチレストランで働いていた時に出していたピーチメルバをパフェで表現しました。なのでバニラアイスとラズベリー、そして桃の味が口いっぱいに広がっていく美味しさになっています。
桃は、実は真空パックにしシロップやバニラやシナモンなどを染み込ませています。水分量が多いイメージの桃ですが、水っぽくならず果肉が蓄えるので食べた時にじゅわっと旨味が広がります。」
驚くほどフレッシュさを感じる桃のコンポートは加熱をせず、浸透圧の技術でとってもジューシーに仕上がっています。そして贅沢な飴細工もパリパリとした食感で、全体にアクセントを加え、ラズベリーやバニラの芳醇な香りを楽しめる、この空間でこの夏の幸せを感じられるパフェでした。
提供は8月末までとのこと、お早めに。
About Shop
コーヒーパーラー ヒルトップ
東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル B1F
営業時間:11:30 ~ 21:00(20:00LO、ドリンク20:30LO)
定休日:なし
クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
Photo&Writing/Cream Taro
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