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日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート

私たちに美味しいスイーツを届けてくれる菓子職人たち。その菓子職人たちが集うプロフェッショナル向けイベント「É-Cothèque(エコテック)」が、2024年7月18日に大阪・心斎橋に位置するWホテルにて開催されました。主催は、チョコレートをはじめとする高品質素材のブランドを取り扱う「ヴァローナ ジャポン株式会社」です。

今年が記念すべき第1回目という、当イベント。世界で活躍する注目のシェフをゲストに迎えて贅沢なトークセッションも行われました。今回はそのイベント内容をレポートします!

エコール・ヴァローナ 東京の新たな試み「エコテック」とは?

「É-Cothèque(エコテック)」は、ヴァローナ社のショコラ専門技術校「École Valrhona(エコール・ヴァローナ)」の東京校でエグゼクティブシェフを務めるファブリス・ダヴィドゥ氏の発想によるものだそうです。

École(エコール)は学校を意味し、その頭文字「É」にエデュケーション(Éducation)、エコノミー(Économie)、エコロジー(Écologie)の「É」を取り入れ、パティスリーの世界を取り巻く要素を集約させることで、「É-Cothèque(エコテック)」が誕生。

食をなりわいとするプロフェッショナルが集い、料理と製菓の最新トレンドや技術を学び、共有する場を新たに創っていこうと、日本の食文化に新たな一章を刻むことを目指す試みなのだとか。

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート
カカオパルプを原料とするヴァローナの「オアビカ」のウェルカムドリンクが開場前に振る舞われました

この日集まったのは約100名のプロフェッショナル。「アイスクリーム」をテーマに、多岐に渡る観点から日仏のトップシェフが語り合うということで、パティシエはもちろんアイスクリームメーカーの開発担当者やマーケティング部、三つ星レストランのシェフなど様々な顔ぶれです。

多くの材料メーカーや商社が開催する聴講式の技術講習会の形式にとどまらず、お菓子業界を取り巻く“課題解決”について国際的な観点から学び、意見交換ができたら。という狙いもあるそうです。

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート

イベントの前半はトップパティシエによるトークセッション。登壇するのはフランスのMOF(フランス最優秀職人章、アイスクリーム部門)のヴァンサン・ブエ氏と、パティシエの世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」2023年優勝チームの一人、柴田勇作氏。日仏のシェフが今注目するアイスクリームのトレンドを一緒に追っていきます。

フランスのアイストレンドは「包材削減」、日本では「特別感」が主流

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート

トークは「アイスクリーム市場」についての話題から。フランスでは10年連続で平均3%の伸び。日本も同じく、前年比110%で成長するアイスクリーム市場。世界全体で「温暖化」傾向にあり、アイスをはじめとする「氷菓」は今後も注目すべき市場です。

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート

フランスではショコラやナッツなど、クラシカルなフレーバーが人気。定番の味をいかに美味しく、新しく魅せるかがポイントなのだとブエ氏は話します。ゲストに配られたのは、ブエ氏が考案したフィンガー・グラッセ。

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全パーツにてヴァローナ ジャポンが取り扱う素材ブランド、ナッツのPariani(パリアーニ)、バニラの「Norohy(ノホイ)」、チョコレートの「Valrhona(ヴァローナ)」)を使用。

プラリネ、キャラメル、バニラ、ビターチョコレートといった誰もが好きな味の組み合わせを、パティスリー感覚で楽しめるもの。「ケーキのように層がある構成で、かつ片手で食べられるんだよ」とブエ氏。

フレーバーだけでなく、包材をどこまで削減できるかがトレンドで、気軽に食べられるフィンガータイプが主流になりつつあるのだとか。エコ意識は非常に高く、脱・プラスチック化が加速しているそう。ブエ氏は日本に来て、包装プラスチックの多さにカルチャーショックを受けた、とも話していました。

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一方、日本のトレンドは「特別感」「写真での共有」と語る柴田勇作氏。パフェや皿盛りデザート、かき氷などで表現されるペアリングや、わざわざ行って食べたいと思わせる価値提供が大事だと話します。

プロフェッショナルが集まるこの場では、アイスクリームについての製造技術やフレーバーの組み立て、使用する材料など専門的な質問も飛び交っていました。

日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは?第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート
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トークセッション後はシェフの技術を駆使したソルベが振る舞われます。

左上から、フルーツピューレ「Adamance(アダマンス)」ブランドのラズベリーとストロベリーを素材としたフレッシュなソルベ。その下がクラッシュしたパイナップルを丸ごと入れたソルベ。この2種は柴田氏が準備したもので、油分を含んでいないにも関わらず、驚くほどクリーミーでなめらかです。「糖分の使い方でテクスチャは調整できる」とのこと。試食後にもゲストに囲まれ、丁寧に個別質問を受ける姿が印象的でした。

右側はブエ氏のレシピです。上が「Pariani(パリアーニ)」のピスタチオを使ったなめらかでナッティー感溢れるプラントベースアイスクリーム。その下が「Adamance(アダマンス)」のマンゴー・ピューレで極上のマンゴーを楽しめるソルベ。

スイーツ業界に山積みの課題。消費者の立場でできることは?

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ヴァローナ社が取り扱う各ブランドの特徴を生かしたシュクレ(デザート)とサレ(料理)全20種のテイスティングをエコール・ヴァローナ 東京より提供

ヴァローナ社は「É-Cothèque(エコテック)」の裏テーマとして「Echo(エコー)」を掲げているそうです。食のプロフェッショナルと製菓素材ブランドが協力し、業界課題を考える。その場にいた参加者がそれぞれ、得た知識や技術を周りに響きわたらせていくことでスイーツ業界の未来がより良く進むと考え、会の実施を決めたのだとか。

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私たちが愛してやまないスイーツ業界には今、様々な課題があります。今イベントでも話題にあがったのが石油の高騰による「材料費の高騰問題」。また「職人の減少」や、先述した「温暖化」もスイーツ業界にとって大きな課題です。それはスイーツの値段にも影響があるため、私たち消費者も他人事とは言えません。

では消費者がスイーツ業界のためにできることは、一体なんでしょうか?

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エコール・ヴァローナ 東京より提供された全20種のテイスティングについての説明。デジタルレシピでも提供されました

ヴァンサン・ブエ氏曰く「エコであること」。例えば包装にコストをかけるのではなく、安全で美味しい材料を使うべきだ、とフランスの消費者は考えているのだそうです。日本には贈り物の文化が根強く、いまだに“簡易包装”は礼儀に欠けるといった意見もあります。しかし、包装に使われる材料のセレクトや簡易包装など、一人ひとりの意識を少し変えることで、スイーツ業界を救うかもしれません。

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あかざしょうこさん

あかざしょうこ

ウフ。編集スタッフ

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関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。