冬のコンビニエンスストア、スーパーにおけるアイス市場は、さっぱり系のアイスが並ぶ夏とは変わって濃厚系のアイスが勢ぞろい。続々と登場する新作の中でも、チョコレート系のアイスに注目が集まる今冬。年々レベルが上がっているチョコレートアイスを、専門家たちが実食し分析&徹底解剖!
前回の記事では、チョコレートジャーナリストの市川歩美さん、そして製菓の世界大会「The World Trophy of Pastry Ice Cream And Chocolate FIPGC 2019」にチームキャプテン ショコラ担当として出場し各メディアも注目の瀧島誠士シェフ、年間4000個以上のアイスを食べつくすアイス研究家のシズリーナ荒井さんが大集結。後編となる今回で、座談会はラスト。どんなチョコレートアイスが登場するのか!? そしてどんなアイスにまつわる驚きのエピソードが出てくるのか。それではお届けしていきます。
前回から数えて、4つ目のアイスとして登場したのは「爽生チョコinバニラ」。
市川歩美さん「バニラの中に生チョコ? ‟想“像つかない〜!」
シズリーナ荒井さん「“爽(そう)”なだけに~!?」
市川歩美さん「そうそう(笑)。あ、パッケージに淡雪のようなふわシャリ食感と書いてあるのが気になりますね。」
瀧島シェフ「本当だ、この食感すごくふわっふわですね。」
ロッテマーケティング担当北村さん「ロッテ独自の技術により、春夏販売している『爽』よりも、冷たさを感じにくくするとともにふわっとした食感にしているんです。」
シズリーナ荒井さん「なるほど!」
瀧島シェフ「ひとすくいで、バニラのところとチョコレートのところがちょうどいい量になっていいですね。絶妙だと思います。」
シズリーナ荒井さん「アイスって、最後まで食べるのって結構大変なんですよ。それにアイスって喉がかわくじゃないですか。でもこれはこの微細氷のおかげで、喉ごしがすごくいいんですよ。」
瀧島シェフ「たしかに!」
市川歩美さん「どこをすくっても、チョコに当たるのがいいですよね。」
ロッテ研究担当高尾さん「そうなんです、アイスの中にミルフィーユ状にチョコレートソースを入れているんですよ。」
市川歩美さん「チョコレートって主役にもなれるけれど、名脇役にもなれるんですよ。それでいくと、これはバニラアイスをすごくよく引き立てていて、映画で言うと助演俳優賞みたいな。」
市川歩美さん「それにこの微細氷がいいですよね。食感てすごく大事で、これがあることでずっと食べ続けられると思うんです。さっぱりしているから夏にもいいけれど、こたつに入って食べたいなと思いました。」
次に登場したのは、「雪見だいふく コクのショコラ」。
市川歩美さん「雪見だいふくって初めて食べたとき本当に美味しくてびっくりした記憶があります。」
シズリーナ荒井さん「もう、私はめちゃくちゃ大好きで、自分のほっぺたが雪見だいふくかってぐらい食べ続けていますよ。」
市川歩美さん「この開封したときに、フタの裏に書いてあるこのメッセージがいいですね。皆さまへって書いてありますよ。皆さまへ、より濃厚になった分、頑張っている皆さんにもっともっと癒しの時間をお届けできたらですって。癒される~。」
市川歩美さん「パッケージは結構こういう仕掛けがあって、読むことで愛が深まるというか、お菓子もより美味しくなるんですよね。」
市川歩美さん「今まで食べてきた雪見だいふくより、ベタな言い方かもしれないけれど、大人な味わいですね。」
瀧島シェフ「そうですね、それに雪見だいふくを包んでいる、この求肥が程よい厚さでたまらないですよね。」
シズリーナ荒井さん「なんかこの求肥って、少し分厚くなった気がしますが、これって変えていますか?」
ロッテ研究担当高尾さん「はい、この度より弾力のある食感のおもちにリニューアルしました。その名も“弾むぷにぷにモチ”です。皆さんに喜ばれるように、発売当時から少しずつ改良しているんですよ。」
市川歩美さん「それ、すごく感じます! ぷにぷに、本当にその通り。」
ロッテマーケティング担当北村さん「歴代の雪見だいふく担当者が、研究室で本当に餅(求肥)をこねているんですよ。色々な配合を試しているんです(笑)。」
シズリーナ荒井さん「えええ~!! 老舗の和菓子屋さんみたい。知らなかった~!」
ロッテマーケティング担当北村さん「チョコレートのコクも、しっかり残るように味の面もしっかり改良していますね。」
瀧島シェフ「甘さの切れ方がすごくいいですね。よくあるチョコレートアイスって甘さがくどくて、口に残るんですよ。これは何個でも食べられると思いました。」
ここで終わり、かと思いきやもう一品。マルチパックの「雪見だいふく とろける生チョコレート」も実食です。
市川歩美さん「え、これ知らなかった! うさぎさんがいるのもかわいい~!」
ロッテマーケティング担当北村さん「はい、家族向けで出しているものなんです。描かれているものは、雪見うさぎです。今年リニューアルした商品でもあるんですよ。」
市川歩美さん「小さくって、見た目もかわいらしいですね。」
瀧島シェフ「これ、すごく美味しい。真ん中の生チョコソース、まるでナッツを食べているかのような深い味わいでびっくりしました。」
市川歩美さん「中のこの生チョコソースが、プリンで言うとカラメルソースのような役割をしていて、口の中で調和して、日本人の口に合うと思います。」
シズリーナ荒井さん「たしかに、中の生チョコソースがとっても香ばしい。僕はチョコの専門家ではないですが、これは今まで食べたのとはまた違った酸味や香りを感じますね。」
ロッテ研究担当高尾さん「ファミリーパックなので、家族でぜいたくな気持ちになってもらえたらと思って作りました。」
ロッテマーケティング担当北村さん「一時はエッジをかけすぎていて、レモンの風味を足したりしていたこともあるんですが、やっぱりみんなが好きなチョコレートの味をしっかり出すような構成にしています。」
いかがでしたでしょうか? プロの鋭い目線と、プロの目線だけでは掘り下げられなかった開発担当者のコメントもとっても面白かったですよね。一つの商品に込められた想いや細かい設計も、すべて企業努力の涙と汗の結晶だと感じる、素敵な座談会となりました。
<編集長の編集後記>身近に買える、そして美味しい。当たり前だけれど、当たり前にすごく美味しいことはとっても難しいこと。実際に多くの人たちの努力とパッションでお菓子が作られていて、それはパティスリーでも高級ホテルでも、コンビニエンスストアやスーパーのスイーツでも同じ。そんな発見のあるテーマとなりました。記事を読んでくれた人の、大きな発見になりますように。
クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
取材協力/ロッテ Photo/Masahiro Noguchi Hair&Make/Hiroko(secession)Writing/Cream Taro
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