2025年3月1日、京都・烏丸御池にできた新たなカフェ「Sticks Coffee 京都押小路」は、こだわりのハンドドリップコーヒーと唯一無二の絶品チュロスが味わえると話題の新スポットです。実はこのお店、ブドウ農家が手がけるカフェ。農業の新たな可能性を発信する場としてオープンしました。京都らしい趣ある空間で味わう、ここでしか楽しめないスイーツとコーヒーの魅力をたっぷりご紹介します!
京都の街並みに溶け込むように佇む「Sticks Coffee 京都押小路」。2025年3月1日にオープンしたばかりのこのカフェは、150年以上の歴史を持つ京町家を改装し、京都らしさを存分に味わえる空間です。
店の入り口には、どこか愛嬌のある“おかめ”が描かれたのれんがかかり、その奥には木の温もりが広がる店内。カウンターでは、バリスタが丁寧にハンドドリップでコーヒーを淹れる様子を眺めることができます。
そしてさらに奥へ進むと、茶の間を思わせるカフェスペースが。床の間にそっと飾られた季節の一輪が絶妙に調和し、和の趣とモダンな雰囲気が融合した心地よい空間が広がります。
アクセスは烏丸御池駅から徒歩5分。京都市の中心部に位置し、観光の合間にも立ち寄りやすい立地です。京都らしさを感じながら、ゆったりとした時間を過ごせるこの場所は、観光客だけでなく地元の人々にとっても、ほっと一息つける憩いの場になりそう。
「Sticks Coffee 京都押小路」のオーナー・南谷雄大さんは、もともと経営コンサルタントとして活躍していたのだとか。しかし、社会課題と向き合ううちに「自分は社会にどう貢献すべきか?」と考え抜き、選んだのが“農業”という道だったそう。減少の一途をたどる農家のイメージを払拭したいと、2017年、師匠もいないまま手探りでブドウ農家へ転身。今、兵庫県朝来市の夜久野高原という場所で、30種類のブドウを育てています。
南谷さんの目標は、単にブドウを育てて売ることではなく、「農業を魅力的な職業にする」こと。そのために直売にこだわり、収益化できるモデルを作り、農業に憧れる若者が増えるような環境を整えたいと考えています。特に「日本の食料自給率向上」には強い想いがあり、農業を持続可能な産業にするための発信を続けています。
しかし、ブドウ栽培の仕事は年間を通じて行うものの、実際に販売できる期間はわずか10日ほど。この短い期間だけでは、「農業の魅力」を伝え続けるのは難しい…と気づいたそう。そこで、より多くの人に発信し続けるために「カフェ」を開業。こうして生まれたのが「Sticks Coffee」ということです。
朝来市の1号店では、南谷さん自身もバリスタとしてコーヒーを提供しながら、農業の魅力を発信。おしゃれなカフェを目当てに多くの若者たちが集い、「農業はかっこいい」というメッセージを少しずつ伝えられるようになったそうです。そして今回、さらに多くの人へ発信するため、日本有数の観光地・京都へと拠点を広げました。
「Sticks Coffee」はただのカフェではなく、「農業の未来を変える」という壮大なビジョンへの入り口。コーヒーを片手に、彼のストーリーに耳を傾けると、農業に対するイメージが一変するかもしれません。
「Sticks Coffee 京都押小路」では、コーヒー好きにはたまらない厳選5種類の豆を用意。産地や農家にこだわり抜いた豆の中から、自分好みの一杯を選び、バリスタがハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。時間をかけてじっくりと抽出されるコーヒーは、香り豊かで一口飲めばその奥深さに驚くはず。
そして、コーヒーのお供にぜひ味わいたいのが、ここでしか食べられない「手作りチュロス」。外はカリッと、中はもちっとした絶妙な食感が魅力で、京都店では桜と苺チュロス、和三盆チュロス、黒胡麻きな粉、宇治抹茶の4種類をラインアップ。
特に宇治抹茶は、京都府和束町産の茶葉を使用。黒胡麻きな粉はほんのり塩気がアクセントになった大人の味わいです。
実はこのチュロス、朝来市の店舗では20種類ほども展開されているそう。京都では地域の素材にこだわり、新たなレシピで開発されました。生地の配合を変え、よりもちもちとした食感に仕上げたとのこと。
京都では見た目のキャッチーさを追求し、ドーナツ型に!一見ドーナツだけど、食べるとチュロス。この意外性がSNSでも話題になっています。テイクアウトも可能なので、京都の街歩きのお供にもぴったり。今後も季節限定のフレーバーが登場する予定で、訪れるたびに新しい味に出会えるのも魅力です。
また、店内にはオリジナルアパレルやグッズも販売されています。カフェアイテムだけでなく、Tシャツや帽子、ニット帽など、意外なラインアップが目を引きます。
これも南谷さんの「農業をかっこいい職業にしたい」という想いの一環。コーヒーやスイーツだけでなく、ファッションを通じて、より多くの若者との接点を作りたいと考えているそう。
美味しいコーヒーとスイーツを楽しみながら、農業の未来についてちょっと考えてみる——「Sticks Coffee」は、そんな新しいカフェ体験を提供してくれます。
「Sticks Coffee 京都押小路」は、こだわりのコーヒーと進化系チュロスを楽しめるだけでなく、農業の未来を考えさせてくれる特別なカフェです。
ただ、農家が減っている課題は理解できるが、いざ自分が農家になれるかと考えると…?筆者も話を聞くうちに農業生活が気になり始めてしまいました。どんな魅力があるのか尋ねたところ、
「朝は確かに早いけど、7〜9時に農作業をして、昼寝して、涼しくなった15〜18時にまた畑に行く。景色を見ながら、時々ビールを飲んだり(笑)。好きなスタイルで生きられるのが魅力ですね」
と明るく答えてくれました。
「ネットショップやSNSを活用すれば、販路はどんどん広がります。若者のほうがこういうのは得意ですよね。だから僕は、農業を始めたい人がちゃんとできるようにサポートします」
と、頼もしい言葉も。農地は国から無料で貸し出されることもあり、副業感覚で気軽に始めることもできるのだとか。
日本の農家は毎年どんどんと減少しており、南谷さんが農業を始めて8年で急勾配で減少傾向にあります。しかし、その間に南谷さんが育てた新しい農家は50人いるそうです。
「少しだけかもしれないけど、農業の衰退を食い止めていますよね」と語ります。
京都散策の合間に「Sticks Coffee 京都押小路」で美味しいコーヒーとチュロスを味わいながら、農業の魅力に少しだけ、触れてみませんか?
About Shop
Sticks Coffee 京都押小路
京都府京都市中京区竹屋町158-3
営業時間:9:00〜18:00
定休日:不定休
Instagram:@sticks_coffee.kyoto
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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