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福祉施設で育てる食用バラが切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

福祉施設で育てる食用花が切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

前回の記事では、本当に美味しい食べられるお花「エディブルフラワー」を広げようと奮闘する「エディブルガーデン」代表の小澤さんに話を伺いました。今回は、食のミライとそれを支える福祉施設、そんな「美味しい」「嬉しい」誰もが幸せになるようなサイクルについて、取材させていただきました。

福祉施設で育てる食用バラが切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

そもそも「エディブルフラワー」とは、英語で「Edible(=食べられる)Flower(=お花)」。野生の花ではなく、食用として育てられた花を指します。自然が生み出した鮮やかな色合い、またその様々な大きさや形はスイーツをより一層かわいく表現してくれます。

栽培が難しく、手掛ける農家もまだまだ少ない“本当に美味しい食体験”としてのエディブルフラワーを工場を共同で作った小澤さん。今回はその工場へ潜入します。

完全閉鎖型の植物工場が福祉施設と手を組んだワケ

茨城県に作られた植物工場。2017年に誕生した工場で、屋外に存在する細菌やゴミ、ホコリなどが工場内に入り込まないよう、厳しい管理体制を構築し、食品工場レベルの衛生度を維持した“完全閉鎖型”の工場です。

「エディブルガーデン」の役員の木村さんが農業の科学者で、前職で植物工場の設計と設営。その植物工場で、薔薇以外のエディブルフラワーを栽培することになりました。

栽培する人を探していたところ、もともと障がい者福祉施設を運営した「NPO法人歩実」と出会ったんだとか。障がい者の方々が働ける場所を考えていた歩実さんと、農福連携を考えていた木村さん。そこで、福祉施設と植物工場が一緒になることに。

障がい者の方も働きやすい植物を育てるという、作業

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障がい者の方が働くメリットも大いにありました。植物工場は作業工程にアドリブの要素がなく、単純作業でルール化しやすい仕事。コツコツまじめに同じ作業を正確にすれば、品質の高いエディブルフラワーが育つことができる。福祉施設の方のほうがそういったスタイルにも合っていることから、理に叶った工場に。

洗わなくても使用できるほど、最高の清潔さと季節を問わない栽培の強み

福祉施設で育てる食用バラが切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

植物工場のエディブルフラワーは、高い衛生度が保たれた環境で栽培されているそう。無菌環境なので、一般生細菌の付着数は、微生物規格基準の1/1000以下という。要するに、洗わずに使用できるほどの清潔さが保たれています。そもそも、食材は菌により傷んで腐敗していくため、そもそもの菌数が少ないことが、高い鮮度に影響してるんだとか。

福祉施設で育てる食用バラが切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

この植物工場の凄いところは、さらに収穫後12時間以内に直送するほか「収穫する時間帯」「品質の点検」「梱包」「予冷」「出荷」の5つのプロセスで鮮度を保つ工夫をしているとか。

エディブルフラワーは鮮度が低く、菌がついており、供給量が安定せず、とりわけ冬季は入手が困難。色の指定ができず、大量注文に応えられないことが多いという課題があったそう。あまりにもエディブルフラワーの入荷が安定しないので、ウェディングケーキに一般の生花を飾って、役割を果たしたら廃棄しているウェディング会場もあったんだとか。

福祉施設で育てる食用バラが切り開く新しい世界~ufu.が考える食のミライとSDGs~

そこで、植物工場の利点をフルに活かすことで、課題を解決したサービスオペレーションを組むことに。鮮度が高いだけではなく、菌数が少ない、安定した供給量で通年栽培が可能、色の指定ができ、1,000輪を超える大量の注文にも応えられるように。すると、みるみるうちに星つきレストランで採用されたり、大口の顧客がつくことになり、ビジネスとしても安定を視野に入れられるようになりました。

“これが植物工場の可能性を感じた瞬間でした”そう話すのは代表の小澤さん。「その後、食用バラが冬季に供給されないことを商機と捉えて、2021年には栃木の丸和製造所と植物工場で栽培ができる食用バラ『Nobel Rose(ノーベルローズ)』を開発しています。通年で香り高い食用バラを提供できるようにしたのは、おそらく世界初ではないでしょうか。香りがある花ほど屋外では虫害を受けやすく栽培が困難です。植物工場と食用バラはかなり相性がいいのではないでしょうか。」

これからの市場拡大のために、植物工場が持つ可能性

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通年栽培ができるようになったエディブルフラワーですが、エディブルフラワーの利用者はまだまだごく少数。小澤さんが立ち上げた2014年のエディブルフラワーの市場規模は3億円から5億円程度。

これを料理の横に添える「葉っぱ」を提供する徳島の会社の年商が2億6000万(2021年)と比較すると、エディブルフラワーの市場規模の小ささがよくわかります。

「小さなパイの奪い合いをするのではなく、新しい需要を創るべきだ」と小澤さん。それが今でも苦労しながらも「料理をおいしくするための機能としての需要」をつくり、広げようと奮闘中。

これからの食用花の展開が楽しみです。

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中