クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
久々に更新するショートケーキ連載。ショートケーキの大事な主役である「いちご」の季節が終わり、旬のものが手に入らないため、いちご以外を主役になるショートケーキ界。今回は、東急目黒線沿いにある武蔵小山駅にある「pâtisserie de bon coeur」(パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ)。
“住みやすい街”として人気の武蔵小山。都心部へのアクセスもよく、ファミリー層が数多く住み、地元のファンも多いこのお店。
駅からも近く、商店街のわき道を入ったところにある。入り口から、別世界への扉があるかのような、ステキな外観である。中に入れば、焼き菓子やケーキ類がズラリと並ぶ。
地下1階へ降りると、そこにはイートインスペースが。コロナの影響もあり、小規模ではあるが設置されている。
工房も見える距離にあり、作っている様子ものぞくことが。パフェを注文すると、出来上がる工程も楽しめる。こちらのカフェでは、ケーキもいただける。
それでは本題の唯一無二のなめらかさと香りが楽しめる、最大の特徴のクリームについて深堀していきたい。
最大の特徴は、こだわりにこだわった生クリームにある。他のお店では考えられないぐらい、生クリーム一つで多くの工夫があり、今回一つ一つ解説を書くのが楽しみなぐらいである。
まず最大の特徴は、生クリームだけではなくマスカルポーネでコクと濃厚さをプラスしている点。
なめらかで、コクのあるチーズが生クリームの味に立体感を出している。
また生クリームも、動物性の生クリームと植物性の生クリームをブレンドし「食べやすさ」を追求しリニューアルしたそうだ。
たしかに口に運ぶと、とろけるようになくなっていき、まるで「飲み物」という表現がぴったり。
生クリームを作るときに、使っているのが一般的にはグラニュー糖。そこを三温糖にすることで、甘みのコクのアクセントを出している。
「三温糖」とは、基本は砂糖と成分は変わらないものの、糖を繰り返し煮詰めて抽出したものなので、甘みとコクが強いのが特徴。
そのため、クリームの味がぼやけることなく、はっきりしている点も、美味しさの秘密。
驚くことに、こだわりはまだある。中のクリームにはラム酒が入っていて、外のクリームはキルシュが入っている。
こんなにもこだわっているクリームは取材を続けていて初めてかもしれない。確かに、意識して食べると外側のクリームには、ほんのりキル酒の香りが感じられ、中と外の香りのコントラストが楽しめる。
フルーツだけではなく、香りも大きな特徴といえる。
さらに、使っているさくらんぼは山梨の農園から。提携先の農園から、最高品質のさくらんぼが届く。
ショートケーキの上はもちろん、中に入っているのはいちごのコンポートとフレッシュなさくらんぼ。香りとコクで、徹底的にこだわったクリームと、絶妙な化学変化を起こす。何個でも食べたくなるほど、とても美味しいショートケーキであった。
今回、こちらの細かい取材にも丁寧に対応してくださったのが、シェフパティシエールの武さん。さくらんぼは、なくなり次第終了でまた次のフルーツに代わるそう。時期で変わるショートケーキ、ぜひ食べてみてください。
About Shop
pâtisserie de bon coeur(パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ)
東京都品川区小山3-11-2-1F(MAP)
営業時間:11:00~20:00(B1 CAFE ラストオーダー19:30)
※コロナウイルスの影響で、営業時間が変更になる場合があります。詳しくは店舗へお問い合わせください。
定休日:なし
Photo&Writing/Cream Taro
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