ドーナツとフレンチ。一見結びつかないこの2つが、まさかの化学反応を起こした!京都の住宅街の中にある「RONMADOR(ロンマドール)」は、元フレンチシェフの夫婦とその友人が営むドーナツ専門店です。
店内はナチュラルな空間。そこで食べられるのは、古代小麦やグルテンフリー、豆乳など“身体にやさしい素材”で作られた、まるでアートのようなドーナツです。見た目のかわいさに惹かれて一口かじれば、その完成度に思わずため息。「おやつ」の枠を超えた、驚きとやさしさに満ちたドーナツの世界を体験してきました。
京都・下京区、柳馬場通を松原通の少し南へ。町家が点在する穏やかな通りに、ひっそりと現れるのが、2023年11月にオープンしたドーナツ店「RONMADOR(ロンマドール)」です。
一見するとカフェのようにも見えるこのお店、実は元々フレンチ&スパニッシュのレストラン「BARMANE(バルマーネ)」だった場所。その面影を少し残しつつ、新たなステージへと生まれ変わりました。
ドーナツといっても、ただのドーナツじゃありません。料理のテクニックやエッセンスを掛け合わせた“新感覚のドーナツ”を味わえる、まさに京都でも唯一無二のお店。そんな新しいスタイルを提案しているのが、料理人・奥田匡章(まさあき)シェフと、奥様の修代(ひさよ)さん夫婦です。
以前営業していた「BARMANE」は、2016年にスタート。シェフが京都のフレンチ割烹での修業や、フランス滞在や京都のスペイン料理店での経験を生かし、隠れ家的レストランとしてファンを集めていました。でも、実は奥田シェフ、じっと同じ場所にいるのがあまり得意じゃないそうで…(笑)。「外に出て、もっと人と関わりたい」という思いから、イベントやケータリングをメインにしたスタイルにシフト。
その活動の拠点として「BARMANE」という名前は残すことに。試作や仕込みの場所として使うことになった元店舗は、奥田さんが差入れに作ったドーナツを食べた友人・ひろみさんが「いつか(ドーナツ屋さん)やるんやったらやりたい!」とふともらした一言をヒントに、ドーナツ店「RONMADOR」へと華麗に転身!ひろみさんを交えて3人チームで、「RONMADOR」がスタートしたそうです。
店名の「RONMADOR」は、“円・輪”を意味するフランス語の「ROND」、奥田さんの名前「MA」、そして“金の”を意味する「d’or」を組み合わせた造語。“黄金の輪っか”という意味を持つこの名前には、お店への想いとストーリーがぎゅっと詰まっています。
お店の空気感も、とっても心地よい。奥田さんがキッチンで料理のようにドーナツを仕上げ、修代さんがやわらかく迎えてくれる。ご夫婦の息の合ったやりとりに、なんだかこちらまで温かい気持ちに。お互いをリスペクトしているのが伝わってくる関係性に、ついほっこりしてしまいました。ちなみにこの日はもう一人のメンバーであるひろみさんは不在でしたが、普段は奥田さんとひろみさんの2人でドーナツを作っているそうです。
京都の街の静けさと、フランスのエスプリがふんわり溶け合ったような「RONMADOR」。これは“食べるだけ”じゃもったいない、ぜひ“体験”してほしいお店です。
「RONMADOR」のドーナツは、一見かわいらしくてカジュアル。でもその中身は、驚くほどストイックで、奥深い。というのも、手がけるのは“元フレンチシェフ”。素材の選び方から仕込みの工程、盛りつけに至るまで、まるで一皿の料理を仕上げるようなこだわりが詰まっているんです。
ベースとなるドーナツ生地は、古代小麦を使った“オールドファッション”。古代小麦とは、品種改良される前の自然なままの小麦のこと。栄養価が高く、低GIで体にやさしいのが特長。ゆっくり消化されるため、食後の血糖値の急上昇を抑え、負担を感じにくいんです。
そんな生地を使ったイートイン限定メニューが、「苺とホワイトチョコのオールドファッション」。黒糖でほんのり甘く仕上げたドーナツに、有機ホワイトチョコレート、自家製豆乳クリーム、苺ジャム、そして旬の苺をトッピング。この季節だけの贅沢な一品で、小麦の風味と黒糖のコク、苺の甘酸っぱさが絶妙に重なります。
さらに注目したいのが、食事系ドーナツ。「ドーナツ=おやつ」のイメージを覆す、まるでランチプレートのような一皿。古代小麦の天然酵母パン生地で作る“クロックムッシュ風ドーナツ”は、カリフラワーのポタージュやポテトとセットで提供され、満足感たっぷり。しかも、ベシャメルソースも豆乳仕立て。季節の野菜も添えられて、まったく罪悪感なし。これぞ“身体にやさしいジャンク”です。
主役となる具材は「鮮魚」「お肉」「ヴィーガン」から選べて、今回いただいたのは“お肉”バージョン。なんと、猟師さんから届いた猪肉をシェフ自らパンチェッタに加工。中央には彩り豊かなサラダが詰められ、見た目のインパクトも抜群。まるで前菜のような美しさです。
そのほかにも、米粉を使ったグルテンフリーのオールドファッションも用意。ほんのりセロリ塩が効いた、食事にもなる一品です。どのドーナツにも共通するのは、季節感・オーガニック・身体への思いやり。そして、何より「美味しくて心が満たされる」こと。
気軽に食べられるけれど、決して妥協はない。そんな“フレンチ出身のドーナツ”に、きっとあなたも驚くはず。
京都の街の静けさと、フランスのエスプリがふんわり溶け合ったような「RONMADOR」。
ただ食べるだけじゃない、“五感で味わうドーナツ体験”がここにはあります。
フレンチシェフならではの丁寧な仕立て、体にやさしい素材、そして季節ごとの驚き。日々をちょっと特別にしてくれる、そんな一皿に出会える場所です。「ドーナツ=ジャンク」のイメージがひっくり返るかもしれません。ドーナツ好きも、フレンチ好きも、ぜひ一度味わってみてくださいね。
About Shop
RONMADOR(ロンマドール)
京都府京都市下京区柳馬場通松原下る杉屋町295 カーサデ河原町1階
営業時間:09:00〜11:00 / 12:00〜17:00
定休日:不定休
Instagram:@ronmador
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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