今回紹介するのは、2019年3月に京都に誕生したドーナツ専門店「koé donuts」です。ドーナツは日本でも国民的な愛されおやつ。一方、ハイカロリーでジャンクなイメージもあります。
そんなドーナツを専門とする「koé donuts」のテーマは「オーガニック」。体に優しく、そして環境にも優しいドーナツ作りを目指しているそうです。
広報担当の藤田知佳さんに、「koé donuts」の取り組みについて詳しく聞いてきました!
「koé donuts」の運営母体は、「earth music&ecology」など多数の人気アパレルブランドを展開する「株式会社ストライプインターナショナル」。アパレル事業のイメージが強いですが、事業領域に「ライフスタイル&テクノロジー」を掲げていて、衣食住でビジネスを行っています。
ライフスタイルブランドの一つ「koé」から派生して誕生したのが「koé donuts」。「オーガニック・天然由来・地産地消」がテーマのお店作りをしているそうで、店内には独自の世界観が広がっていました。
天井に見えるのは、嵐山の伝統工芸の竹かごです。総数なんと572個!一つひとつ職人さんに作ってもらったそうで、天井一面にびっしりと吊るされていて、まるで竹かごの洞窟のよう。
「竹はサスティナブルな素材として注目を浴びています。加えて、京都の伝統工芸をたくさんの人に見てもらいたいという地産地消から取り入れたアイデアです。他のお店にはない特徴ですよね」と、藤田さん。
併設されたドーナツファクトリーでは、常時7〜8名ほどのスタッフがドーナツ作りに励んでいます。揚げているところやトッピングをしているところを目の前で見られるライブ感も人気の理由です。
清潔さが保たれているキッチンで、人の手で丁寧にドーナツが作られている様子から「安心・安全」を感じとることができます。
ドーナツの生地は5種類。有機小麦全粒粉と北海道産小麦のブレンド生地にイーストを混ぜ、ふんわり食感のある”ふわふわ”。さらにおからパウダーやタピオカ粉を混ぜ込んだ”もちもちコエドーナツ”。オールドファッションにしっとり濃厚なクルーラー、そして焼きドーナツ。それぞれ5〜6種類ほど展開され、常時30種類くらいのドーナツが並んでいました。
ほうじ茶、きな粉を使った京都らしい和ドーナツをはじめ、有機レモンを使ったもの、黒豆を飾っているもの、赤紫蘇を混ぜ込んでいるものなど。クリームやチョコレートを使うだけではない、素材を感じるドーナツばかりです。
取材した2月は、期間限定でアマゾンカカオを使った3種類のドーナツも。季節や「koé donuts」がピックアップした素材に応じて、様々な商品を展開しているそうです。
有機小麦、有機グラニュー糖、京都美山産の平飼い卵、牛乳等を使用し、国産のこめ油で揚げているとのこと。期間限定のアマゾンカカオはフェアトレードによって仕入れられたものです。「取り入れることが、むしろ健康に良い」そんなドーナツであることを目指しているのだとか。
オーガニックの素材を使うことで味気ない、物足りない味と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ生地が主張してこないので、素材本来の味が引き立っているように感じました。
「経験豊富な料理人やパティシエに協力してもらいながら、素材をしっかり感じられるドーナツを作りました。日々ブラッシュアップしながら、美味しいドーナツを追求しています」
もう一つ、お店の話題になっているのが「ドーナツメルト」というシリーズのイートイン限定メニュー。アシェットデセールのようにお皿の上で、ナイフとフォークで食べる新スタイルのドーナツです。このドーナツを目当てにオープン当初は行列ができ、今もなお不動の人気のメニューなのだとか。
アパレイユ(液状の生地)をつけ込んだ特製のしっとり生地に、甘さ控えめのクリームをサンド。ドーナツ生地の常識を超える柔らかな食感で、溶けてなくなるような(=メルト)食感を目指して開発されたそう。ボリュームはあるように見えますが、あっという間に完食してしまいました!
ちなみにドーナツのお取り寄せはできませんが、ドーナツ型クッキー缶はお取り寄せができます。オンラインショップをチェックしてみてくださいね。
ドーナツだけでなく、お店を見渡すと「オーガニック・天然由来・地産地消」があちこちに。イートイン用のお皿の一部、グッズとして販売されているオリジナルのコーヒータンブラーは、竹の繊維を使用する「バンブー素材」。トレイは再生樹脂、アイスコーヒーも紙カップで提供し、プラスチックの使用は限りなく減らしているのだとか。
さらに驚いたのが、ドーナツの作り置きはせず、販売するものすべてその日に作っているものばかり。消費期限は当日のドーナツですが、廃棄ロスが出る日はかなり少ないそうです。
「9時から20時まで、常にドーナツが並んでいる状態です。もちろん夕方になるにつれてドーナツはどんどん減っていくのですが、その日の客足で追加製造するかしないかを製造スタッフが判断しています。閉店1時間前にはずらっとドーナツが残っていても、閉店する頃には綺麗に売り切れることもよくあるんですよ。廃棄が出ないように、でもしっかり選んで買っていただけるように…。これは仕組みというより、製造スタッフの判断が適切だからかもしれません」
京都にも観光の活気が戻ってきて、9割が外国人観光客で席が埋まることもあるそうです。
「海外のお客様は、日本の方よりも素材を気にする方がとても多いんです。ヴィーガン対応の商品も、今後は考えていくつもりです。オーガニックの考えも人によって違うので、色々な意見を聞きながら、少しでも応えられるようにしていきたい」
聞けば、「koé donuts」は添加物そのものを徹底的に排除しようとは考えていないのだとか。素材そのものを「良いか」「良くないか」をしっかり見極める、ということを大事にしているそうです。
「koé」は「声」。ブランド名が掲げる名前の通り、地球の声、生産者の声、お客様の声、仲間の声を大切に、優しさを届けていることを垣間見れた取材になりました。
About Shop
koé donuts kyoto
京都府京都市中京区新京極四条上ル中之町557 京都松竹阪井座ビル 1F
営業時間:9:00~20:00
定休日:不定休
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
注目記事