大阪市、天満橋。マンションが立ち並ぶ街中に「tawanico」というお店があります。お店の中には季節のタルトと焼き菓子、そしてコーヒーがあります。近隣に住む方の憩いの場所になっているようで、取材当日もケーキを楽しむお客さんの姿が見えます。
今回は、このお店で評判になっている「キャロットケーキ」を紹介します。
「Tawanico」は2016年に天満橋でオープンしたパティスリーです。シェフは田脇裕幸さんで、大阪・帝塚山の名店「ポアール」で10年修行を積んだ後、奥様とふたりで独立。田脇がふたり、だから「Tawanico」なんだとか。
ユニークな由来のお店から歩いてすぐのところには、2020年にオープンしたカフェ「Towanoa」もあります。こちらは、息子さんと娘さんの名前から名付けられています。田脇夫妻のほっこりとしたお家の雰囲気が伝わってきます。
ショーケースには季節のタルトとショートケーキ。生地を使った生菓子が多く、親しみやすさを感じます。デンマークの伝統的なオープンサンド「スモーブロー」からヒントを得た、四角形のタルトです。毎日飽きのこない優しいお菓子ではありますが、見た目でオシャレさをプラスしているそう。
修行をしたお店「ポアール」ではフランス菓子ベースのヨーロッパ菓子を学んできた田脇さん。アメリカ発祥のキャロットケーキは一度も作ったことがなかったそうです。作るきっかけは「妻が好きだったから、作ってほしいと言われて(笑)」とのこと。それから東京中のキャロットケーキを食べ歩き、研究に研究を重ねた末、完成したそうです。
特徴は、まず三角形の可愛らしいデザイン。これは「Tawanico」ならではの形状!雪が積もったお家をイメージしているそうです。
その”雪”にあたる部分であるフロスティング(アイシング)が味のポイント、そして他のお店とは大きく違う点。このお店のフロスティングは、フランス菓子の技法を使ったレアチーズケーキ風味になっていて、チーズの酸味があるんです。一緒に混ぜ込まれているオレンジピールとの相性も良く、口当たりを軽くしてくれる効果も。
生地は国産小麦の優しい甘みと、臭みのない有機人参ペーストにシナモン・ジンジャー・クローブなどのスパイスを混ぜ込み、くるみの香ばしさ、オレンジの酸味をプラス。しっとり感が出るように、はちみつも入っています。
実は開業当初のキャロットケーキから2度、レシピを改良しているそうで、今は3代目のレシピ。2020年に、黒糖から「じんたま糖」というきび砂糖に変更しているとのこと。素材が変わることで味にぐっと深みが出たそうです。
確かに、ショートケーキやチョコレートケーキのように誰もがイメージできる分かりやすいお菓子ではないけれど、一度食べたら忘れられない。そんな印象深い美味しさです。一つひとつの素材がお互いを活かしあっている生地も美味しく、そしてフロスティングと一緒に食べるとより美味しく感じます。
「まだまだ美味しくできるんじゃないかと思っています」と、田脇さん。レシピは今後変わる可能性があります。
素材や配合を変えることで、驚くような変化は、おそらく感じないと思います。しかし小さな変化を積み重ねていき、その時最も美味しいお菓子に近づいていく。「自分の理想に近いとヨッシャ!と思います(笑)」と話す田脇さんから、職人さんのあくなき探究心を感じ取ることができました。
現状に満足せずにより以上を目指す田脇さんのキャロットケーキがこれからも楽しみです。
「Tawanico」のキャロットケーキはお取り寄せも可能なので、気になったらぜひ、お家で楽しんでみてくださいね。
About Shop
Tawanico
大阪市中央区大手通2-2-9 サンマンション1F
営業時間:11:00〜17:00
定休日:なし
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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