ヨーロッパ最西端の国ポルトガルにある漁業と陶器が盛んな運河町アヴェイロ。中心街には運河が張り巡らされており、運河とアズレージョ(特徴的な絵付けが施されたタイル)が美しい建物が一体となった景色を臨むことができ、ポルトガルのベニス(ヴェネツィア)と言われるほどです。その郊外に工房を構えるクラフトチョコレートメーカー「Feitoria do Cacao」を、これまでpart1&part2の記事にわたってインタビューしてきました。
Feitoria do Cacaoのチョコレートは、ポルトガルらしいアズレージョのデザインを取り入れたパッケージとモールドデザインになっており、一目で異国情緒を体感することができる。
また、タブレットは50gの正方形で、真ん中に十字の溝が入っているため、更に正方形に4分割でき、食べやすい分量で切り分けられる他、シェアして食べてもアズレージョのデザインはとても見栄えが良い。
Part1の記事でも触れられたブランドが生まれるきっかけとなった場所 サントメ島。「サントメ72%+フロール・デ・サル」は、そのカカオ豆を使用した72%のダークチョコレートに、アヴェイロの塩田で手作業で作られる天然海塩の中でも純度が高い上澄みの部分「フロール・デ・サル(塩の花)」を加えたタブレット。
ミルクティーの様なクリーミーな渋味と、飴がけのアーモンドの甘く芳ばしい香り。酸味やクセがなく、甘味のスッキリとした味わいながら、塩によってカカオ豆の持つ旨味が引き立てられ、奥行きを生んでいる。普段クラフトチョコレートを食べない人でも十分楽しめる、シンプルなテイストにまとめられている。
インタビュー中、製造を担当するスザーナさんが明かしていたお気に入りのカカオ「ペルー マラニョン」。
ペルー北部、エクアドルとの国境に接する地域にあるマラニョン渓谷で採れるカカオ豆で、世界で最も希少なカカオ豆の一つと言われている。このカカオ豆はかつて20世紀の初頭までエクアドルに存在したとされる伝説のカカオ、ピュアな「ナシオナル種」で、約100年ほど前、病害により絶滅したと考えられていました。(現在エクアドルで採れるナシオナル種と呼ばれるカカオは、その殆どがナシオナル種と別の種の交雑種だと言われています。)
しかし、2009年、マラニョン渓谷を探索中だったアメリカ人により奇妙な形のカカオの樹が発見され、その後、米農務省によりDNA検査が行われた結果、それはかつて失われたはずの純粋なナシオナル種のカカオであることが確認されました。そしてそのカカオを保護し、標高1000m以上のマラニョン渓谷にプランテーションを作って栽培されたのがこのカカオ豆で、収穫量が非常に少ないため、一部のメーカーしか取り扱うことができない大変貴重なカカオ豆となっている。Feitoria do Cacaoでは、このカカオ豆を使って72%のシンプルなダークチョコレートに仕立てている。
口に含めばエルダーフラワーの瑞々しいフローラルな香りと、ホワイトポート(白葡萄から作られるポートワイン)の芳醇でフルーティーな香り。柔らかで嫌みのない苦味、そして淡い酸味が下支えし、サンダルウッドの甘いウッディノートや白胡椒のスパイシーさが仄かに燻る。べっこう飴の芳ばしいニュアンスの中、花蜜の華やかな香りの余韻が抜ける。
様々な表情を持ちながらも、一体感があり、それでいて移ろうフレーバーが如実に表現されている。スザーナさんの表現力の高さと、誠実さがしっかりと伝わるチョコレート。繊細なチョコレートである故、まずはチョコレート単体で楽しむことをおススメする。
Feitoria do Cacaoのチョコレートの中でも「サントメ72%+フロール・デ・サル」と一二を争う人気の「タンザニア60% + シープミルク」。こちらは東アフリカにあるタンザニアのキロンベロバレー産のカカオ豆を使用したチョコレートに、なんと羊乳を加工した粉ミルクを合わせた世にも珍しいシープミルクチョコレート。
通常の牛乳由来のミルクチョコレートよりも、ねっちりとした粘性があるテクスチャで、わずかな酸味と干し草の懐かしい香り、チーズの様な濃厚なコクが味わえる。またバターサブレのふくよかな香りと、キャラメリックな香りが織り交ざり、妙にクセになる味わい。赤ワインと合わせるのも良いが、ブラックオリーブ等の塩気の食べ物と合わせてみるのも面白いかもしれない。
以上、ue_monさんが紹介してくれた「Feitoria do Cacao」(フェイトリア・ド・カカオ)の詳しい情報はぜひ公式Instagramまで。今季の入荷は、オンラインでも販売をスタートしていて、限定発売中(なくなり次第終了)となっています。
About Shop
Feitoria do Cacao
https://ancomple.com/?mode=grp&gid=1475214
今期のFeitoria do Cacaoは10月末〜11月上旬入荷予定
公式Instagram
注目記事