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昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』の絶品レモンケーキと、長く愛される3つのヒミツ

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』の絶品レモンケーキと、長く愛される3つのヒミツ

京都の老舗喫茶店として知られる『イノダコーヒ』。戦後1947年京都・中京区にオープンして以来、多くの人に支持され続けてきました。

そこで今回は関東で唯一、人気「レモンパイ」が食べられる『イノダコーヒ 横浜高島屋支店』を取材。『イノダコーヒ』が愛される3つのヒミツをお伝えします。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』の絶品レモンケーキと、長く愛される3つのヒミツ

ヒミツ1:京都発祥『イノダコーヒ』。創業当初から変わらない西洋風の本格レトロ空間

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

『イノダコーヒ』の歴史を遡ること80年以上。戦前から、創業者の猪田七郎氏は現在本店のある中京区道祐町で珈琲豆と輸入食品の販売を開始。1947年コーヒーショップとして『イノダコーヒ』をオープンしました。

戦後で物資の不足が加速する中、当時高級品であった珈琲を良心的な値段で多くの人に届けた『イノダコーヒ』。その評判は口コミで瞬く間に広がったそう。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

当時では珍しい洋風の店内、コーヒーカップのロゴや現在の制服は、わざわざヨーロッパへ視察に行って新調したそう。こうして出来た空間は、審美眼のある紳士淑女が集う場に。それから80年、高いクオリティと良質な素材にこだわり、古都・京都人にとって愛すべき憩いの場となりました。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

『イノダコーヒ』は当時からの雰囲気を大切にしつつ、店舗ごとに異なる個性を打ち出しています。

高島屋6階にある『イノダコーヒ 横浜高島屋支店』は白を基調とした店内に、木目の暖かさが居心地の良い空間を作ります。横浜で古くから市民の生活に根付いてきた百貨店『高島屋』。『イノダコーヒ 横浜高島屋支店』に訪れる人もまた常連客が多く、老若男女関わらず人々が思い思いの時間を過ごす場となっています。

ヒミツ2:今も昔も、子供から大人まで夢中になる。ふわふわメレンゲの「レモンパイ」

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

歴史ある『イノダコーヒ』に初めてケーキが登場したのが1965年頃。レストランでオーナーシェフを勤めていたケテルさんという方のドイツ風菓子を『イノダコーヒ』が継承。そのひとつが「レモンパイ」だったそう。

ケーキの大部分を占めるのはフワフワのメレンゲ。そして卵をふんだんに使用したカスタードクリームと、シロップをたっぷり含んだスポンジ、層が折り重なったパイ生地の4部構成です。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

本場京都ではオリジナルブレンドコーヒー「アラビアの真珠」とのケーキセットが定番。

創業当時から変わらないレシピのポイントは、フレッシュレモンを丸ごと使うところだそう。メレンゲにもレモンのエキスが混ぜられ、食べると途端にレモンの爽やかな味が広がります。過度な甘さがなく、まるで果物を丸ごと食べた時のようなみずみずしさ。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

『イノダコーヒ』の「レモンパイ」はケーキに含まれる空気と水分量が多いため、気温や湿度に敏感で繊細。そのため料理人は日々、変わらぬ味を守るため技術を磨き続けているんだとか。

そんな「レモンパイ」が初めて関東に上陸したのは2012年のこと。

そして約10年。横浜市民に深く愛されるようになった『イノダコーヒ 横浜高島屋支店』は、多くの人にとってなくてはならない存在に。

聞くと、コロナ禍を迎え世の中が一変しても『イノダコーヒ 横浜高島屋支店』は多くの常連客に支えられ運営し続けられたそう。“これもひとえに常日頃から愛用してくださる皆様のおかげです”と、感慨深く語ってくれました。

ヒミツ3:京都人のコーヒー文化の真髄となった『イノダコーヒ』のおもてなし。京都はミルクと砂糖を最初から入れるって知ってた?

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ
ネルドリップで淹れたコーヒーをたっぷりと補給するサーバー。『イノダコーヒ』では、その見た目からこれを“ペリカン”と呼ぶのだとか

『イノダコーヒ』では「アラビアの真珠」の他、現在計5種類のオリジナルブレンドを楽しむことができます。その特徴は何と言っても、ネルドリップで淹れた濃いコーヒー。創業当初から、お店で提供されるほぼ全てのコーヒーは、布を使ってゆっくりと抽出。そうして出来たコーヒーは濃く、深い味わいに。

『イノダコーヒ』では基本、コーヒーカップにミルクと砂糖を入れて提供します。

これは昔、創業者が商談に夢中でコーヒーにミルクとお砂糖を入れ忘れ、“気が付いたらすっかり冷めていた”という経験から、ふと飲んだ時コーヒーがいつでも美味しいようにと始めたそうです。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

《現在『イノダコーヒ』では砂糖とミルクの利用は事前に確認しています》

このスタイルで飲んでみると、コーヒーにクリーミーさが増し、まろやかな印象に。しかし、しっかりとしたコーヒーの味わいは揺るぎません。上品な苦みは甘いケーキと合わせても◎。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

現在でも京都で長年コーヒーショップを営む店の中には、コーヒーを頼むとミルクと砂糖を入れて提供するところも。

創業当時から変わらぬ“おもてなし”の心が、京都に1つの文化を生んだなんて、なんだか素敵なお話です。

《おまけ》「赤い方」、「白い方」と頼む人は『イノダコーヒ』通!?

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

京都で愛され続ける『イノダコーヒ』。その長い歴史の中で、常連客が生んだ『イノダコーヒ』ならではの面白い文化のひとつが食事の頼み方。

京都店を訪れるとお客さんが「赤い方1つね!」「私は白い方」なんて声がきこえます。これは、いったいなんのことでしょう?

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

実は、スパゲティのことなんです。“赤い方”とは、『イノダコーヒ』の「イタリアン」のこと。トマトベースで仕上げた、いわゆるナポリタンです。そして、“白い方”とは、ホワイトソースがベースの「ボルセナ」というメニュー。どちらも太めの麺を使用した、もちもち食感が好まれています。

「イタリアン」も「ボルセナ」も創業者が名付けたメニューで、『イノダコーヒ』の定番。みなさんもオーダーするときは、“赤い方”、“白い方”と頼んでみてはいかがでしょうか。

昭和レトロな老舗喫茶『イノダコーヒ』。愛される3つのヒミツ

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イノダコーヒ 横浜高島屋支店
神奈川県横浜市西区南幸1丁目6−31 横浜高島屋6階
営業時間:10:00~20:00
定休日:不定休※高島屋営業日に準ずる

園果わたげさん

園果わたげ

ウフ。編集スタッフ

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ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。