果物じゃなくて、ゼリーが主役。そんなジュレスイーツに、出会ったことはありますか?
今回訪れたのは、味にも見た目にも、体へのやさしさにも本気のゼリーが並ぶ「and so on(東京・北馬込)」。
この記事では、人気コスメブランドの発表会にも提供される『ハコジュレ』をはじめとする、and so onの薬膳スイーツと店主の魅力を紹介します。
都営浅草線・馬込駅から歩くこと約9分。鮮魚店や小さなスーパーが並ぶ通りのなかに、and so onはありました。
温かな笑顔で迎えてくれたのは、店主のカレン・ソウさん。店内のショーケースには、薬膳をふんだんに取り入れたジュレや、カレンさんこだわりの体にやさしいスイーツが並んでいます。
その中でも注目は、『ハコジュレ』と『和漢チーズケーキ』の2品。どちらも、店頭に加えてオンラインショップでも販売しているand so onの人気商品です。
メディアでも頻繁に取り上げられている『ハコジュレ』は、ケータリング事業の経営者だったカレンさんがand so onを立ち上げたきっかけになったスイーツ。異なる素材や生薬、アガーを使ったジュレを組み合わせながら、白砂糖を使わずに仕上げられています。
カレンさん
「自宅でホームパーティーがあったときに、中国のアンティークのお菓子入れをゼリーの容器にして持っていったんです。そうしたら、それがとっても友人たちに好評で。
『またあのゼリーが食べたい!』ってリクエストされたけど、見ての通り、このお菓子入れは重くて(笑) 。透明な容器を使って見た目にも美しいゼリーを作ったら、『これ、商品で売ってたら嬉しいね!』って話になったんです。いいな、と思ったらすぐやってみたい、と思うタイプなので、この場所を一人で借りてオンラインで販売を始めました」
カレンさんのアイデアと行動力、友人の声から生まれたハコジュレ。時期によって素材が変わる定番品のほかに季節限定のフレーバーを販売しており、”お互いの美味しさを引き出す”ジュレのハーモニーは、筆者にとって初めて受けた衝撃でした。
カレンさん
「ジュレは、固めというよりはみずみずしさを残したくて。凝固剤として寒天やゼラチンではなく天然由来のアガーを使っています。これにもいろいろな種類があるので、販売しているところに聞いて、適したアガーをひたすら探して選びました。
ゼリーとゼリーのマリアージュを楽しんでほしいし、果物じゃなくて”ゼリーが主役だよ”ってもっといろんな人に知ってほしいです」
ハコジュレの後にカレンさんが友人の漢方専門薬剤師・堀ママさんが薬膳監修した『和紅茶香る和漢チーズケーキ』は、和紅茶や和漢植物を使ったスイーツ。チーズ感というよりは、クリームチーズと生クリームのサラッとした黄金比率を意識して作ったそう。口にするとどこかほっとする優しいスパイスの風味を感じます。
カレンさん
「チーズケーキを作りたくて、いろんなものを試したんです。自分自身、年齢を重ねていくと、チーズこってり系はヘビーで。もっとライトで食べやすくて、生薬も入ってて体に良いものがいいな、って思ったんですよね。
あとは、私が酒飲みこともあって(笑)、and so onのメニューの多くが”大人のスイーツ”をコンセプトにしているんです。なので、お酒にも合うさっぱりしたチーズケーキを作ろうと考えました」
小麦粉を使わず、クリームチーズや生クリームで仕上げたさわやかながらもコクのあるチーズケーキ。添えられている「十勝の塩(鈴木牧場)」をかけるとより生地の風味が引き立ち、奥深い味わいを楽しめました。
カレンさん
「チーズケーキから感じる生薬の味は、紅茶やチャイに近いテイストなんです。試作していたときに、『もう一捻り、もっと旨味を引き出したいな』って思い、塩をつけようと考えました。
それで、作ったチーズケーキを塩の専門店に持って行って。店主の人と親しくなるほど通って『このチーズケーキに合う塩を教えてほしい』とお願いしました。たくさん食べ比べて、この鈴木牧場の十勝の塩に決めたんです」
ショーケースにはほかにも美味しそうなスイーツがたくさん並んでおり、全ての品を食べられないのが惜しい感覚に。ハコジュレのきっかけとなったお菓子入れと同じく、約100年前に使われていた扉も飾られており、店内は何度でも訪れたくなる温かな雰囲気に包まれています。
実は元々はスイーツとは無縁の、ショービジネス界にいたというカレンさん。なぜスイーツ事業を始めたいと思ったのでしょうか?
カレンさん
「実家がケータリングの仕事をしていて、それを手伝っていたんですが、料理は豪華なのに、お菓子が味気ないものだったんですよね。冷凍のカットケーキだったり。それがなんだかさみしくて…。
デザートをもっと華やかにしたい、という思いからスクールに通い、自社の製菓部門を立ち上げました。その後、コロナの影響もあって、ケータリング事業を売却してand so onを立ち上げたんです」
カレンさん
「薬膳も勉強しましたね。もともと自分が食事に気を遣っていたこともあるし、やっぱり体は資本なので。どうせ自分がやるなら、美しさを愛でて楽しめて、美味しくて、体に良いギルトフリーなものを作りたいと思っています」
あらゆる経験を経ながら、独学や専門家との相談で素材を選び、試食と改良を重ねるカレンさん。そんなカレンさんが作るからこそ、and so onのスイーツたちは美しく輝いているのかもしれません。
地域のなかで、スパイスや体にやさしい素材を取り入れた料理教室も行うカレンさん。現在のand so onは「ゼリーそのものの美味しさ、奥深さをもっと知ってもらう」ことを目標のひとつにしているそうです。
カレンさんのアートな感性で、新たなスイーツが生まれているand so on。次に訪れたときも、新しいスイーツに出会えることでしょう。その美しさとおいしさを、ぜひ体感してみてください。
About Shop
and so on
東京都大田区北馬込2丁目49-14 ONハウス
営業時間:11:00-19:00
定休日:月・火・水・木曜日
公式Instagram:@andsoon0707
三月
ウフ。編集スタッフ
カスタードとお固めのパンが特に好きな148cm。ライター出身、ワクワクしながらメディアを作ってます。毎日おいしいものに出会えて幸せです。
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