ufu.がお届けする6月のパフェ大特集。前回の記事「①パフェの分類と現代のパフェ」では、パフェへの見方が変わる内容に。第二回目となる今回は、「器」にスポットを当てます。何気なく私たちが食べているその器には、深い意味や機能が。器から始まる、魅力的なパフェワールドをお届けします。教えてくださるのは、「パフェ本」(小学館)、「東京パフェ学」(文化出版局)など、数々のパフェ本の著者である、パフェ評論家の斧屋さん。
まず、大前提としてパフェには様々な器(グラス)があり、またその器によって様々な層構造ができます。パフェの器の違いについて、注目すべきポイントを斧屋さんに伺いました。
1.背の高さと口の開き方
(背の高く幅の狭い「逆円錐型」から平皿まで)
写真左上が和光アネックスティーサロン、写真右上がデリーモ目白店、写真左下がカフェリゼッタ(二子玉川)、写真右下が果実園リーベル(目黒)
2.器の透明度や模様
写真左からパフェ職人Srecette氏によるパフェ、紙の器を使用。成城ル・フルティエのパパイヤクリームパフェ。パパイヤを器に。
器一つをとっても、たくさんの種類があるとわかります。続いては、斧屋さんが教えてくださった「グラスの形状と食べ方の自由度」についてです。
斧屋さん作成の図。左から右へパフェの器の高さと口の広さが変わっていっています。
左に寄れば寄るほど、パフェのグラスにスプーンが入る領域が狭まることから、食べ手の自由度は下がります。層の構造も深くなり、「創り手の意図」通りに食べ進むことになります。例えば、上に果物のピューレ、真ん中にクリーム、下部にフルーツのジュレという場合は、創り手の意図はフルーツ→味変→フルーツ。最後はさっぱりという意図、へと導いていくことになります。
一方、右のグラスではパフェの口が広いため、比較的食べ手の好きな順番に食べることができます。また上の部分にフルーツやアイス、クリームetc.さまざまな素材同士の混ざりやすさも高まることに。どういう塩梅で食べるか、どこから食べるか、食べ手に主導権が渡されるイメージです。
器の上に、食べられる器としてクッキー、ミルフィーユ、果物etc.あらゆるものが乗っている「帽子型」と斧屋さんが名付けたこちらのパフェ。まるで帽子のような見た目は、“器の使い方”という面では近年注目の一つ。
帽子型の面白さを斧屋さんに解説していただきました。
「立体感の演出が特徴的です。帽子の部分を先に食べる、という順番になるので、作り手の意図通りに進むよう設計されています。グラスの中は、量もスマートで食べやすいボリューム感。いかに食べる手数を増やすか(量は多くなくても長く楽しめるようにするか)、という点でも大変面白いタイプのパフェだと思います。」
いかがでしたでしょうか? パフェの器一つで深い世界を感じていただけたら嬉しいです。引き続き、今月のパフェの特集をお楽しみください。今回斧屋さんに学ぶパフェ学で得た知識や考え方をもとに、ぜひパフェを違った視点でみてみてくださいね。
教えてくださった方
パフェ評論家/斧屋さん
Profile
ライター、パフェ評論家。「パフェはエンターテインメント」として、パフェの面白さをたくさんの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベントなどで活躍中。「パフェとは何か」、「パフェの魅力とは何か」について探究する座学中心の勉強会(講座・ゼミ)「パフェ大学」も開催。著書に「東京パフェ学」(文化出版局)、「パフェ本」(小学館)。
注目記事