前回の記事に引き続き、パフェ特集表紙を飾った『PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコイワヤナギ)』。
今回は作り手にフューチャーします。シェフパティシエール、岩柳麻子さんの作り出す美しいパフェのインスピレーションはどこから生まれてくるのか?
また意外と知られていない岩柳さんの経歴やインスピレーションを受け、印象的だった出来事を伺いました。
桑沢デザイン研究所という学校で、染織を学びながらも卒業後は展示会などを開き、精力的に活動していたという岩柳さん。
一方で生活の安定のためにカフェなどの飲食店を掛け持ち、働いていたそう。お菓子作りをするうちに、その評判や需要の高まる中で自然と飲食の道へ。
そしてフランスに渡り、そこから得た経験が今のお店づくりにもつながっているそう。
「食がほぼ仕事になる中で、お菓子作りはほぼ独学だったこともあり、本場のフランス菓子を見るために何度も足を運びました。
そこで驚いたのが、フランス人の生活の中に、街の中に、常に洋菓子があること。
駅のキオスクに行けば、エクレアやマカロンを始めとしたお菓子が並んでいましたし、日本ではケーキはお誕生日の特別な時だけと思っていたものが日常生活に根づいていました。
「そんな中で、フランスで学んだことはお菓子作りももちろんなのですが、印象的だったのは美しい街並みとお店の“空気感”。街並みとお店の外観の一体感も印象的でした。」
サイクリストとしても有名な岩柳さん。
フランスでの経験以外に、ロードバイクで日本全国をまわり、その旅で見たもの、感じたもの、人と出会ったものがお菓子作りにいかされています。
看板商品でもある「峠モンブラン」は急こう配でつら~い峠を経て、なだらかに下るイメージを表現しています。
ほかにも人気商品シュマン=「未舗装路」など、そのネーミングも岩柳さんならでは。
コロナ禍で、出かける機会も減っている昨今。岩柳さんが最近印象的だった出来事をお聞きしました。
「2021年、コロナ禍でお出かけ機会も減った中で、最近の印象的な出会いは山梨にある古民家でした。
倉庫を探していて、たまたま出会ったところなのですが庭の規模がすごくて。竹林と山の空気を感じる、その雰囲気は印象的でした。
こういった見たもの、出会ったものがお菓子づくりに生かされることもよくあります。」
ここまで岩柳麻子さんのお菓子作りの原点と、その創作のヒントを取材させていただきました。
それでは複雑で、宝石のように輝き、季節で変わるこの圧倒的なパフェはどのようにして生まれるのでしょうか?
美しいパフェが生まれるその過程を、お伺いしました。
「前はその季節ごとに思い立って作っていましたが、今は年間計画を立てて決めています。この時期にさくらんぼにしよう、この時期はいちごという風に。
ただ日々お菓子を作り続けているので、ず~っとどうするかは考えていながらも、パフェにするかは時間がかかります。試作を作り出すまでが長いんですよ(笑)」
「いざ始めるときはお店の営業中にやります。組み始めたら結構早いんです。新作をスタッフに発表する2~3日前かな?
こういう風に組み合わせよう、こういう素材を使おうというのはあっという間。人気のピスタチオのジェラートは、絶対にさくらんぼといちごの時期に合わせようとか前もって考えているから、作り出すと早いのかもしれません」
「はっきりいうと、全然覚えていないんですよ。全部1からスタートです。
昨年はこうしたから~ということはまったくないです。毎年食べてに来て、今年はこうだったといってもらえるのはとても嬉しいですね。
HPにも書いていますが、誰かが幸せに頬張る姿を想像しながら、思い出に残るケーキをお届けできるよう、私にしかつくれないケーキを追求していきたいと思っています」
いかがでしたでしょうか?
この岩柳さんの知られざる魅力や考え方、そして美しいパフェの仕上がる裏話まで、さまざまなお話をしてくださいました。次回はラスト。
拡大し続ける、「パティスリィ アサコイワヤナギ」のこれからと素敵なお店作りのコンセプト、内装について詳しくお話を伺いました。
About Shop
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)
東京都世田谷区等々力4丁目4−5(MAP)
営業時間:11:00~18:00
定休日:月、火曜日
※パフェは要予約。公式インスタグラムまたはHPをご確認ください。
公式インスタグラムはこちら
Photo/Tadaaki Omori Writing/Cream Taro
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