心にぽっかり穴が空いてしまったある日。渋谷から、ゆらりゆられ気がつけば上野毛駅で降りていた。どこか心落ち着く、この大井町線。改札を出て、何も考えず商店街のアーチをのぞく。
薄暗くなる街の中。子どものお迎えで、自転車が行きかう狭い道。交通量の多い道から、抜け出すかのように出た路地。漂うにんにくの香り。鼻をつまみながら、足を止めた。目の前に突然現れた異世界。看板もなく、思わず時計を見た。「あれ、もう16時かぁ」。どうやらお店は終わってしまったようだ。
気づいたら、この空間にいた。まだ残っている器。まだ残っている、彼のかおり。
物語が始まる予感がする。
「ここはいったい…」。あたりを見渡す。あたりを見渡す
気づくと僕はここに座っていた。ここがお店だと、忘れていた。
「カチャン」
何か音がした。胸がドキドキした。
人がいた。透き通った空間に、響き渡る音。何かを作っているようだ。
気づけば、つま先立ちをしていた。音を絶対立ててはいけない、そんな空気の中、また興奮していた。
彼がいる。
バラバラだった彼が、一つになってゆく
一つ、また一つ
ゆらされ、つままれ、のせられ、一つになってゆく
急に踊りだしたくなった。つま先立ちしていた足は、いつの間にかステップを踏んでいた。
もう我慢できない。急に湧き出る止められない感情に外へでようとした
素敵な彼らが、僕を待っていた
-fin-
About Shop
「L’atelier à ma façon」
〒158-0093
東京都世田谷区上野毛1丁目26-14
営業時間 10:15~15:00ごろまで
定休日 不定休(インスタグラムまたはHPで確認必須)
上野毛駅から徒歩2分
来客は1グループ、2名まで
Photo/Tadaaki Omori Writing/Cream taro
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