パフェ特集もいよいよ終盤。数多くあるパフェのお店の中でも異端とも呼べる、新しいクリエイションのパフェを出すお店「Kazu Bake」。2022年にOPENし一周年を迎え、その美しいケーキの数々や“あっ”と驚くパフェで話題のお店に。東京ではフランス展に抜擢されるなど、勢いのあるお店です。
今回はパフェのみならず、美しいケーキの数々やスパイスを組み合わせる妹尾シェフの考え方やクリエイションについてもお話を聞くことができました。
お店があるのはさいたま市のJR高崎線、宮原駅。駅からも近く、地元のお客さんはもちろん、東京からもたくさんのパフェ好きが日々訪れます。
「Kazu Bake」という名前は妹尾 和矢シェフの名前に由来。「Bake」とつけた理由は、お菓子を作る中でほとんど「焼き」という工程があるから。その「焼き」の部分を大切にしたいという思いが込められているんだとか。
ケーキ・タルト・焼き菓子など、旬の素材を使用した美しいスイーツがお店に並びます。お店のコンセプト「素材を生かし、素材で遊び、素材の新しい一面を伝える」が施されたケーキは果物だけでなく胡椒やハーブなどを使ったオリジナリティにあふれた」ものばかり。取材の時期は秋、イチジクやシャインマスカット、モンブランなどが並びます。
冷蔵ショーケースの横には、カウンターが。こちらで人気のパフェはもちろん、ショーケースにあるケーキや夏はかき氷とドリンクのペアリングを楽しめるようになっています。
実は埼玉は地元ではなく縁もゆかりもなかったという、妹尾シェフ。なぜ埼玉、そしてこの地にしたのか? 妹尾シェフに伺うと……。
妹尾シェフ「もともと物件を探しているときに、この場所を見つけました。この物件でお店をやっていらしたご夫婦の方々が凄く人柄がよくて。ちょうど移住するということで、この場所が空くと聞き、この場所を継ぐではないけれど、“盛り上げられたら”と思いここにしました。」
妹尾シェフが作る数多くのお菓子の中でも、注目を浴びているのがパフェ。パフェは予約も可能ですが、売り切れていなければ予約なしの訪問でも注文可能なんだとか。
11月後半から始まったばかりのパフェは洋梨をテーマにしながら、そこに合わせるのは「ハリッサ」=唐辛子。 ハリッサは唐辛子をベースに複数のスパイスを組み合わせたペースト状の辛口調味料。 チュニジアやモロッコなどのマグリブ地域で多く用いられているもので、グラニテとして洋梨と合わさると驚くほど合う。
この衝撃なスパイスとフルーツの組み合わせは、妹尾シェフならでは。
実は妹尾シェフはレストランで長年パティシエを勤めてきたため、お菓子作りはレストランベース。レストランではシェフが求めるものを、型にはまらないスタイルで提案しお菓子作りに励んでいたという。パティスリーと異なり、フランス菓子の基本などはすべて独学だという。
料理の世界では多くのスパイスを使うことから、スパイスを使うことに抵抗感がないんだそう。
妹尾シェフ「フルーツに少しスパイスを当てると、また違う楽しみがあります。フルーツをより楽しく、美味しく、新しい発見があればと思っています。例えば最近は栗にローズマリーを合わせたり、ブドウに青のりを合わせました。」
ここで、パフェ以外にもおすすめのケーキを妹尾シェフに伺うことができました。
まず季節のおすすめは一番左のタルトタタン。フランス菓子の王道、伝統へのリスペクトを意識し、バニラとリンゴを合わせています。
左から2番目はチョコレートとコーヒーを合わせたケーキ。右から2番目は黒ビールがベースのサワークリームのケーキ。妹尾シェフの下で働く若手のパティシエさんが考案したんだとか。そして最後のモンブランはローズマリーを合わせて、さわやかに。
またショコラのシュークリームも人気だそう。ザクッとした食感が面白く、中に入ったチョコチップが食感のアクセントに。
またフィナンシェはユニークな細長いスティックタイプ。北海道バター100%の焦がしバターのフィナンシェと、ピスタチオ。またブルーベリーの3種類。
レストランからなぜお店を開いたのでしょうか? 妹尾シェフに伺うと。
妹尾シェフ「レストランでは作りたいものを作る、というよりはシェフの希望を聞きながら開発をしていました。そんな中で自分で作りたいもの作りたい、そんな衝動に駆られて。それで思い切って開業したんです。
今は旬の食材の魅力を、何度も試食し、自信のあるものをお出ししています。レストラン時代に比べて、自由なクリエイションで作れる一方で、お客様が喜ぶようなお菓子もしっかり作っていかなければいけない。今年は催事も経験し学びも多かったです。これからもいいお菓子作りをしていきたいですね。」
About Shop
Kazu Bake
埼玉県さいたま市北区宮原町3丁目279−13 橘ビル
営業時間:10:00~19:00
定休日:不定休
Photo&Writing/坂井勇太朗(編集長)
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