少しずつ日常に戻りつつも、オリンピックの余韻と活気が混ざり合い、独特の雰囲気が漂うパリの街並み。そんな中、パリの名門ホテル4軒のティールームでフードジャーナリストであるわたくし、岩谷貴美が現地まで赴き、本場の臨場感あふれるアフタヌーンティーを体験してきました。
日本でも今や社会現象となっているアフタヌーンティーですが、本場ヨーロッパのラグジュアリーホテルならではの魅力をお伝えします。
1835年に開業。リヴォリ通りにあり、5つ星ホテルのさらに上を意味する“パラス”の称号を獲得し、世界中の人々を魅了しているホテルです。
ダイニングスペース「ル・ダリ(Le Dali)」は、画家のサルヴァドール・ダリが30年間ずっと毎年1カ月はこのホテルに滞在したところからこの名前になったそう。ダリの世界観を取り入れたインテリアが目を引き、訪れた瞬間からその空間に引き込まれます。
スイーツは、2018年世界のベストレストラン50でベスト・パティシエに選ばれたセドリック・グロレ氏が手掛けています。
セドリック・グロレ氏のスペシャリテは、季節のフルーツの形を極薄のホワイトショコラで再現した「フルーツ」シリーズで、今回はいちごやブルーベリー。ナイフを入れると、中からそれぞれのフルーツのおいしさを凝縮させたジュレが現れました。
チャービル風味のマヨネーズを添えたエッグ・ミモザやサーモンのサンドイッチ、2種類のスコーンなどもセットになっています。途中で焼きたてのマドレーヌをテーブルサーブしてもらえるサプライズもあり、ゆったりとした時間を楽しませていただきました。
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ル・ムーリス(Le Meurice)
228, rue de Rivoli, 75001 Paris
シャンゼリゼ通り近くに位置するザ・ペニンシュラパリは、アジアとヨーロッパの文化が融合した、エレガントでモダンな雰囲気が漂います。季節により内容が変わるアフタヌーンティーは、ホテルのダイニング「ル・ロビー」で楽しむことができ、天井の高さと大きな窓から差し込む自然光が心地良い空間になっていました。
2022年にアンヌ・コリュブルさんがシェフ・パティシエールに着任しました。アンヌシェフはデジタル・トラベルガイド「LA LISTE」で、「2024年最優秀パティシエ」に選ばれるなど、受賞歴も多数。
ジンジャーを効かせたアプリコットのジェラートやヘーゼルナッツが濃厚なルリジューズなど、ビジュアルも食材の組み合わせも新鮮なスイーツがスタンドに並んでいました。
セイボリーもユニーク。広東ダック入りのバオなども含まれており、他のホテルとは一線を画す独創的なアプローチでした。紅茶のセレクションには、伝統的なダージリンやアッサムだけでなく、ジャスミンティーや中国茶のラインナップが充実しているのも特徴です。
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ザ・ペニンシュラパリ(The Peninsula Paris)
19 Avenue Kléber, 75116 Paris
※アフタヌーンティーご提供期間:毎月曜~土曜 15:00~18:00
1898年創業。ヴァンドーム広場に位置していて、ココ・シャネルやアーネスト・ヘミングウェイ、チャールズ・チャップリンなど、多くの俳優や作家に愛されたホテルです。
イギリスのアフタヌーンティー文化をフランスに持ち込み、ヨーロッパの貴族や上流階級が集う場所でアフタヌーンティーを提供し、パリでもアフタヌーンティー文化が広まりました。
「サロン・プルースト」は、作家マルセル・プルーストにちなんで名付けられたもの。重厚感のある木製の本棚やアンティーク調のインテリア、シャンデリアが織りなす贅沢な空間です。
リッツ・パリのヘッドシェフパティシエで、2019年に世界最高のレストランパティシエ賞に輝いたフランソワ・ペレ氏が手がけたスイーツは、フランスの伝統菓子を大胆かつ洗練されたものにアレンジされています。
スタンドには、チョコレート・フィナンシェやアーモンド・チュイール、サブレ、ピスタチオとアプリコットのブリオッシュなどが並びます。
フランソワ・ペレ氏のシグネチャースイーツといえばマドレーヌであり、もちろんアフタヌーンティーセットの中にも入っています。パッションフルーツのマドレーヌは、ふんわりとバターが香り、しっとりと口どけがよいのが印象的でした。
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リッツ・パリ(The Ritz Paris)
15, Place Vendome, 75001 Paris
パリ郊外にあるヴェルサイユ宮殿の広大な敷地内にあり、1681年に建てられた歴史的建造物が、2021年6月にホテルとして開業。ホテル内のレストランはフレンチの巨匠アラン・デュカス氏が監修しています。
今回は、美しい調度品に囲まれたレストランのウェイティングルームでアフタヌーンティーをいただきました。
宮廷気分をさらに盛り上げてくれるのが、サービスの方たちの美しいユニフォーム。まるでマリー・アントワネットの時代へタイムスリップしたような時間を過ごせます。
スイーツは、フランボワーズのタルトやヘーゼルナッツ・プラリネのマドレーヌ、フロマージュ・ブランのタルトなど。
セイボリーも贅沢で、オマール海老とアボカドがサンドされたクロックムッシュやひと口サイズのシトラスサーモンやうずらの卵、セロリとトマトのコンフィなど、どれも繊細さの中にインパクトがある味わい。
こちらのホテルはテラスがヴェルサイユ宮殿の庭へと繋がっているので、アフタヌーンティー後は、そのまま庭園のお散歩を楽しむこともできます。
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ル・グラン・コントロール
(Le Grand Contrôle)
12 rue de l’Indépendance Américaine 78000 Versailles
今回ご紹介した4つのアフタヌーンティーは、どれも本場ならではの魅力が満載。ル・ムーリスはクラシックとモダンの融合が魅力。ペニンシュラパリは、アジアンテイストとフレンチエレガンスのバランスがお見事。リッツ・パリでは、宮殿のような建物内で優雅なティータイムを過ごすことができました。そしてヴェルサイユのル・グラン・コントロールでは、まるで18世紀にタイムスリップしたかのような感覚に。
パリオリンピックが終わり、少し静けさを取り戻したパリやヴェルサイユでのアフタヌーンティーは、それぞれの場所で異なる魅力とともに、その歴史や文化を改めて実感させてくれました。
PROFILE
フードジャーナリスト
岩谷貴美 Takami Iwaya
フードとビューティーのジャーナリスト。雑誌やweb、TV、ラジオなどで活躍するほか、フードコンテストの審査員や、ホテルやカフェのアフタヌーンティー・プロデュースも多数手掛ける。スイーツを1日に20~30品食べることも。Instagram : @takamiiwaya
文章・写真/Takami Iwaya(岩谷 貴美)
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