みなさんは、「モンテール」という名前を知っていますか? シュークリームやロールケーキ、エクレアでおなじみの洋菓子メーカーです。スーパーへ行けば、洋菓子コーナーにズラリと並び、手軽に買えるお菓子とは思えないほどの美味しさに、老若男女問わず愛されています。
そんなモンテールの人気商品に、今年周年を迎えたスイーツがあります。それが「クレープ」。少しずつ改良を加えながら、美味しさの最高点を目指し続けるモンテールさんの取り組みを今回取材をさせていただきました。
知られざる開発秘話や驚きの歴史を深掘りしていきます。
今回はモンテールの広報担当者に、細かく歴史について知らべていただけました。
まずはじめにモンテールの前身は「鈴木製菓」。1954年(昭和29年)に東京都足立区で創業し、当初は戦後復興期、甘いものがなかなか手に入らない時代に金太郎飴などを製造する小さな会社だったそう。 その後、1975年(昭和50年)に社名を「モンテール」に変更し、洋菓子にシフト。
「モンテール」=フランス語で「宝石職人」という意味。“宝石と同じようにスイーツも磨き続けていきたい”という想いでモンテールという名前にしたんだとか。
一番最初に登場した生チョコ入りのクレープは、1994年。当時は2個入りだったそうで、そのあとに1997年に1個入りの現在のものが登場。ここからスティックタイプが始まり、当時はスティックタイプで手で持って食べるクレープが少なかったことから、珍しかったそう
そして、クレープの美味しさを飛躍させたのは、産地直結型のつくば工場の存在。洋菓子メーカーでは初のミルクプラントを導入し、自社で低温殺菌した風味豊かな牛乳と近隣でとれた卵を使うことができ、より美味しい商品の製造ができることになり、クレープもその一つだったんだとか。
その後は、パッケージが変化していき、2002年に環境への配慮という点から、いち早くプラスチックのトレーを、紙トレーに変更。色々な商品で紙トレーを導入することに。
2008年には、画期的な美味しさの進化が。原料メーカーさんと共同開発した、モンテールオリジナルのクレープ専用のクリームが導入。口どけにこだわったクリームは、生チョコと生地と合わせたときに極力水分移行しないように、考えて作られたんだとか。
その後、2014年には、創立60周年になり、コーポレートマークやブランドロゴも変更し、パッケージも一新。そしてクレープでいうと、巻き方が変わり、くるくる巻くタイプから折りたたむ形になったそう。形は変化しながらも、この巻き方には、モンテールの驚くべきこだわりが隠されています
実はモンテールのクレープは、機械ではなく「手巻き」というこだわりっぷり。ここまで大量に生産しながら、なぜ手巻きを続けるのか? 広報の信田さんに伺うと……。
信田さん「理由としては、一番のこだわりが“生地のやわらかさ”です。生地がやわらかいので、たっぷりのクリームをきれいに包み、この生地の美味しさを残すためには、機械ではなく人の手が最適だと考え、手巻きを続けています。それにこの現在展開している四角い形にも理由があります。クリームをよりたっぷりと楽しんでほしいという想いから来ています
また前の形は、食べたときに生地と生地が重なる部分があり、食感がなめらかではなかったんです。そこでこの形にすることで、ダイレクトにクリームを感じられるようにしました。モンテールの商品は食べた時の食感、生地やクリームとの相性はもちろん、小麦粉もスイーツによって使い分けているほど、一つ一つの商品にこだわっています。」
ここまで進化をし続けてきたクレープ。25周年とのことで、今回さらに大きなリニューアルに踏み切り、開発を担当した菊池さんにもお話を伺うことができました。今回の周年でさらに進化を遂げたのは「もちもち」とした食感に、リニューアルしより美味しくしたそうで、生地の食感を大きくリニューアルするのは実は初めてだったんだとか。
菊池さん「クレープの生地の食感を大きくリニューアルするのは、実は初めてです。今までは形状、味わいの部分を都度細かくリニューアルしていました。
今までの味わいが好きなお客さまの好みを守りつつ、よりブラシュアップしていましたが、ここまで大きな改良は初めてです。なぜ『もちもち』食感にしたかというと、リニューアルするときに自社でアンケートを取ったとき、クレープ生地の好みの食感1位がもっちり食感でした。
一方で、もちもちとした食感を出す焼き加減にとても苦労しました。工場だと大きい回転式の鉄板で、回転しながら焼ける機械を導入しています。焼きすぎてしまうともちもち感がなくなってしまい、何度も試作をしてたどり着いた絶妙なバランスと焼き加減なんです。
もう一つ、生地の厚みもこだわりが。厚すぎるとクリームやチョコなどとの一体感がアンバランスになり、薄すぎるとモッチリ感が出ません。この回転式の機械は、もともと春巻きを作る機械で、それが改良されたんです。」
こだわりっぷりは、生地だけではなく中に入っている生チョコにも。自家製で作っているそうで、カカオの風味が感じられるビターな味わいに。
製法にもこだわりがあり、クリームと生チョコを混ぜる、それぞれを同じ温度にすることでだまがなく、均一にまざりあってくれるんだとか。だからこそ、なめらかな味わいに仕上がっていて、一口食べるとクリームと生チョコの一体感に驚きます。
また洋酒もモンテールオリジナルのものを使っているそうで、生チョコやホイップにも入っているんだとか。クリームには、カスタードクリームも少量加えていて、さらに練乳も。まろやかでコク深さも生み出しています。
モンテールのお菓子は、クレープだけではなく、すべてのお菓子がとってもフレッシュに感じるほど美味しいです。その理由としては、産地直結型工場で新鮮な食材で毎日作り、水と空気がきれいな工場であることはもちろんのこと、国内にある3つの拠点から、できる限りその場所に近いものを全国にお届けできる強みも。
そして何よりも衛生基準がとても厳しいところにもあります。
安心安全にも力を入れていて、添加物は自社でガイドラインを設け、極力使わないように様々な工夫をおこなっているんだとか。また素材選びでも、菌の発生要因をなくすため厳しい規定や衛生基準を設けリスクを最小限に。原料においても、共同開発の原料を使うことも多いそうです。
「心と体にやさしく、満足できる」そんなおやつの時間にワクワクするようなお菓子を作り続けるモンテールの知られざる裏側に今回は迫りました。「そういえば食べたことないな」という方から「食べたことある」方まで、このこだわりっぷりを読んで、再度ぜひ食べてみてくださいね。
協力/モンテール
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