みなさんは、“クラフト”と聞いて何を浮かべるでしょうか?
ビール?ワイン?コーヒー?食品業界だけでも、さまざまなジャンルで定着した“クラフト”という言葉。
スイーツの世界で真っ先に思い浮かべるのはクラフト・チョコレートではないでしょうか。中でもカカオ豆の個性を楽しめる板チョコ“ビーントゥーバー”は、ここ数年注目度が上がり続けています!
ちなみに“ビーントゥーバー(Bean to Bar)”とは、製造者がカカオ豆(BEAN)から板チョコレート(BAR)までを、一貫して手がけるスタイルのこと。味はもちろん、お洒落でユニークなパッケージやバックグラウンド・ストーリーが魅力です。
日本では、ミルクチョコレートでお馴染みの会社、明治が2014年から「明治 ザ・チョコレート」を発売。専門店で販売している高価なイメージだったビーントゥーバーを気軽に楽しめるチョコレートにしました。
今回は数あるお菓子メーカーの中でも、チョコレートに並々ならぬこだわりを持った明治に取材を依頼。明治の担当者 鐘ヶ江さんにビーントゥーバーチョコレートを始めたきっかけから、「明治 ザ・チョコレート」シリーズが持つそれぞれの魅力まで、たっぷり聞きました!
記事は、前後編のロングバージョン。
前編となる今回は、“ビーントゥーバーチョコレート” 「明治 ザ・チョコレート」が誕生するまでの道のりを中心に取材しました。
明治が行うカカオ生産国への支援から、カカオ豆を美味しいチョコレートにするためのポイントまで。「明治 ザ・チョコレート」シリーズを皮切りに、明治とカカオの深い、深~い関係をたっぷりとお伝えいたします♡
2006年、“もっと美味しいチョコレートを作りたい、食べてもらいたい”という思いから、明治では原料となるカカオに着目し、カカオ産地を訪問し始めたそうです。
しかし、当時はカカオ産地に日本人が来ることはほとんどなく、現地の人たちは「この人たちはいったい、何をしにきたんだろう」という感じだったそう。そのため、明治の担当者はカカオ農家で働く人たちと信頼関係を築くところから始めたのだとか。
当時のことを鐘ヶ江さんに聞きました。
「おいしいチョコレートをつくるためには、品質のよいカカオ豆が必要でした。そのためには生産者の協力は必要不可欠。しかし、言語や文化、そして価値観の違いはすぐには埋まらず、想像以上の地道な努力と時間がかかりました。」
求めているレベルの豆になるまでなんと8年!
ついに「明治 ザ・チョコレート」シリーズが販売されることになったのは2014年のことです。
明治の“もっと美味しいチョコレート”を作りたいという思いから始まった産地訪問は、カカオ農家とともに質のよいカカオ豆を作ることにつながり、「メイジ・カカオ・サポート」という支援活動に進化。現在では世界9か国に広がっているそうです。
「明治 ザ・チョコレート」シリーズにあるベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国のチョコレートは全て、この「メイジ・カカオ・サポート」を通して生まれたカカオ豆を使用した商品です。
こんなにも、明治がカカオ豆にこだわる理由は、チョコレートの香りや味わいに直結するからだそう。
チョコレートを作る工程と、香りや味の違いについて担当の鐘ヶ江さんに聞きました。
「チョコレートの香りや味わいは産地(品種)によって異なります。現地で行われる工程のひとつ、『発酵』によってチョコレートのおいしさの約70%が決まるとも言われているんですよ。この工程では、収穫したカカオの実を割って中身を取り出し、カカオの果肉(パルプ)ごと発酵させます。」
バナナの葉に、カカオの果肉と種を包み発酵させている様子
チョコレート作りには欠かせない酵母をたくさん含んでいるため、写真のようにバナナの葉を被せる産地もあるそう。
発酵を進めることで、周囲の果肉がなくなり、カカオ豆だけになるそうです。
鐘ヶ江さんによると、発酵の時間、生まれる菌の種類や量によって私たちが食べた時に感じるチョコレートの香りや味わいが変化するのだそう。
チョコレートって発酵食品だったんですね。
現地での工程はあまり知られていませんが、どれも多くの時間と人手が必要な作業。こうして、丹精こめてできたカカオ豆はその後、乾燥させ、日本へと出荷されます。
日本に届いたカカオ豆は、異物やカカオ豆の皮を取り除いて、ロースト。その後、すりつぶして滑らかな状態(カカオマス)にし、砂糖など他の原料をいれ練り上げます。
最後に、型に流し込んで冷やすことで、お馴染みの板チョコレートとして私たちの手に届きます。
多くの工程を通してできる1枚の板チョコ。こうしてみると、目の前にあるチョコレートがちょっとした奇跡のように感じます。
最近ではチョコレート業界でも持続可能な社会に向けての取り組み「Sustainable Development Goals」(通称SDGs)が注目されています。
チョコレートを通して明治が行っている「メイジ・カカオ・サポート」もSDGsのひとつ。“チョコレートに関わる全ての人を笑顔に”という明治の思いが、時代を先行していたようです。
記事の後編では、「明治 ザ・チョコレート」シリーズの味だけでなくデザインまで。ひとつひとつ徹底解説!
引き続き、明治の担当鐘ヶ江さんが「明治 ザ・チョコレート」がもつそれぞれの個性を教えてくれます。
みなさんは、“ナッティ”、“フルーティ”、“フローラル”、“スパイシー”という言葉を知っていますか?
ワインの味わいを表現するときにも使われるこの4つの香味表現。じつは、チョコレートの個性を表現する上でも重要なキーワードになるんです。
大人のための嗜好品として、趣味にもできちゃうチョコレート。ワンランク上の楽しみ方を後編で紹介します♡
取材協力/明治
お問い合わせ:0120-041-082
受付時間:9:00~17:00(土日祝日、年末年始除く)
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
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