2020年末に日本に初上陸した、タイ・バンコク発のチョコレートメーカー「Kad Kokoa(ガートココア)」。タイの中でも地域ごとのカカオの良さを引き出して作られる唯一無二のテイストは、日本でも多くの人から愛されています。
そのメーカーが、2024年11月に日本初となる実店舗を東京・両国にオープン!店舗で楽しめる焼きたてのクッキーやドリンク、タイの「ガートココア」と日本をつなぐガートココアジャパンの澤平有見さんを取材しました。
お店があるのは、両国駅から5分ほど歩いたビルの1階。鮮やかな青の外観と、黄色で描かれた「Kad Kokoa」の文字が目印に。
店内にはクッキーが並ぶショーケースや、テイクアウト用のチョコレートが置かれた棚が。奥には木製のカウンターがあり、ドリンクやクッキーはイートインでも楽しめます。
お店で特に人気なのが、毎朝焼き上げる自家製のチョコレートクッキー。定番の3種のほか、期間限定のメニューも並びます。定番のうち『ダブルチョコレート・カカオ70%』と『サワードゥチョコチップ』はタイのレシピを受け継いでおり、そのほかは日本で新たに開発したものなのだそう。
『ダブルチョコレート・カカオ70%』は、異なる産地のカカオ70%チョコレート2種をブレンドし、生地にふんだんに混ぜ込んだフレーバー。ひと口食べると、中から濃厚なチョコレートがとろけるように姿を現し、しっとりした生地に絶妙に合わさります。
中にガナッシュを入れているかのような見事なとろけ具合ながら、このクッキーに使われているのは、チャンクチョコレートを練り込んだ一種類の生地のみ。チョコレートを大きめに刻むことで、火が入りやすい外側はほどよく固め、中央はチョコレートのなめらかさが保たれた絶妙な仕上がりに。
期間限定の『ミルクチョコピスタチオガナッシュ』は、好評のため当初の予定から期間を延ばして販売しているという人気ぶり。ココナッツのミルクチョコレートとピスタチオを練り込んだ生地に、ホワイトチョコレートベースのガナッシュが入っています。コクと甘さのあるピスタチオガナッシュにナッツが香る生地が合わさり、食べ応えがありつつ、手の止まらない美味しさです。
澤平さん
「タイのガートココアと同じレシピのクッキーは、毎年タイに2~3カ月間滞在するなかで、現地のシェフから配合を教わり、実際に製造に入って作り方を学びました。日本オリジナルのクッキーは、ピスタチオのようにメインで使う素材を考えてから、ベースのレシピの水分や油分を調整する形で開発しています。
試作のなかではスタッフに食べてもらうことが多く、その中で『美味しい!』という驚きの声が出るまでは、開発を終わらせないようにしていますね。カウンターでクッキーを食べたお客さんの、いい意味で驚いたリアクションを見るとすごく嬉しくなります」
チョコレートドリンクは、シンプルな『ピュアチョコレート』をはじめ、ホイップクリームをトッピングした『ホイップクリームチョコレート』やマシュマロをのせたものなど、5種以上がラインアップ。いずれもホットとアイスから選べ、アイスのカップにはチョコレートで描かれたキュートな模様も。
ドリンクはカスタマイズが豊富で、メニューを決めた後に、ベースとなるチョコレートを異なる産地の2種類から、さらに甘さや追加のトッピングをセレクト可能。『ガートココア』のカカオ豆の産地は4つの地域があり、北部のチェンマイと南部のプラチュアップ、東部のチャンタブリーと南部のチュンポーンなど、ベースのチョコレートの候補は風味の違いを楽しめる2つの地域が日替わりで並びます。
澤平さん
「ドリンクは、乳化剤は不使用、加えるカカオバターも最低限にしたカカオマスを使って作ることにこだわっています。そうすることで、ベースを作る際にミルクと合わせても、カカオの風味を感じられるようになるんです。
温度を上げすぎないように、チョコレートを細かく刻み、低温でゆっくり溶かすのも特徴です。温めたミルクと丁寧にブレンドすることで、ベースにチョコレートがしっかり溶け込こむようにもしています。
お店ではコーヒーやミルクも提供しているので、“クッキーがチョコレートを使っているからドリンクはシンプルなものに”となるかな、とも思っていました。でも実際はたくさんの人にクッキーとチョコレートドリンクの組み合わせを楽しんでもらえていて、嬉しいです」
お店ではカカオ豆ときび砂糖のみで作るタブレットや、2025年1月から登場した日本限定ショコラ『Thai Signature Bonbons』も販売。『Thai Signature Bonbons』は3粒入りと6粒入りがあり、タイの魅力を感じる素材と、カカオの風味が豊かなチョコレートガナッシュの調和を楽しめるフレーバーばかり。
タイ・チェンマイのティーブランド「ARAKUSA」のタイティーや、東洋のバニラとも呼ばれる甘い香りの植物・パンダンリーフなどが香り付けに使われています。
タイで「ガートココア」に出会い、日本にその魅力を伝える第一人者となった澤平さん。実店舗を開いたきっかけ、そして、澤平さんがタイと日本の架け橋となり、チョコレートで多くの人を笑顔にする原動力とは?
澤平さん
「実店舗のオープンは、2018年の12月頃、タイでこのメーカーのカフェに出会ってからずっと考えていたことでした。タイでのワクワク感や『ガートココア』のことを伝えるために、実店舗を作りたいと思っていたんです。
私がタイのチョコレートに強く惹かれたのは、カフェでチョコレートをお菓子やドリンクなど、いろいろな形で楽しめたのも大きな理由でした。なので、日本でもそうしたものを提供するために、お店があるといいな、と。
あとは、現地の『ガートココア』でイベントに参加させてもらったことも影響しています。タイのお店に、フランスから来た人、中国から来た人、韓国から来た人、いろんな国の人たちが集まっていたんです。
学生時代にビーントゥーバー*1チョコレートに出会ったときから、チョコレートの背景に必ずどこか別の国の人や文化が存在していることを感じていました。そして、好きな国・タイでビーントゥーバーのメーカーを探して見つけた『ガートココア』でのイベントで、チョコレートを通して世界の人とつながる楽しさを強く実感できたんです。
*1)ビーントゥーバー:カカオ豆からチョコレートが出来上がるまでの工程を、ひとつのメーカーや作り手が一貫して行う製法
なのでこのお店では、スイーツやドリンクを味わってもらうのはもちろんですが、私がタイで感じたような、チョコレートで世界とつながる楽しさも伝えたいと考えています。『ビーントゥーバーチョコレートメーカー』というと少しかたい印象になりやすいですが、クッキーやドリンクなどさまざまな形でカジュアルに、身近な存在として楽しんでもらえたらと思っています。
もともとチョコレートもタイも好きで、はじめてタイの『ガートココア』に行ったときに出会った言葉は、今も記憶に残っています。タイで弁護士からチョコレートの世界に転身したオーナーの2人の“挑戦し続ければ、できないことなんてない”というパッションに日々影響を受けています。
今もタイと日本を行き来する日々ですが、大変だと感じたことはないんですよね。自分のテーマとしても『チョコレートを通して世界とつながる』というのがあるので、チョコレートを通してタイとかかわりを持てるのがモチベーションになっています。“タイに行けるなら頑張れる!”みたいな感じです(笑)」
タイのチョコレートの良さ、チョコレートを通して世界とつながる楽しさを伝える、「Kad Kokoa TOKYO」とガートココアジャパン。澤平さんは、日本で開かれるタイに関するイベントへの出店や、チョコレートアイスクリームの製造、タイのカカオ農園ツアーなど、ガートココアジャパンの今後の展望についても話してくれました。
日本で、タイのチョコレートの美味しさと感動に出会える「Kad Kokoa TOKYO」。新たなチョコレートの魅力を発見しに、訪れてみては?
About Shop
Kad Kokoa TOKYO
東京都墨田区緑2-16-9
営業時間:11:00~16:00
定休日:月・火・水
Instagram:@kadkokoa.jp
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