カフェは、ドリンクとスイーツが美味しいことはもちろん、メニューのビジュアルだって大切。今回訪れたのは、吉祥寺と横浜で多くの人を虜にしているお店「空想街雑貨店」から生まれた「空想街カフェ 空飛ぶ魚」です。
どこか違う世界に飛び込んだような、幻想的な雰囲気で満ちたカフェ。帰宅後もその余韻で笑顔になれる、美麗なドリンクとスイーツの魅力に迫ります。
お店があるのは、吉祥寺の「空想街雑貨店」のすぐ隣。店内の壁には、キノコやエメラルド、ストロベリーなど、毎回違ったテーマで描かれるさまざまな“空想街”の絵が飾られています。
緻密でうっとりするほどきれいな絵はすべて手描き。これらの絵を使ったグッズも人気で、今では吉祥寺に加えて、横浜の赤レンガ倉庫にも雑貨店の実店舗があるのだとか。
出迎えてくれたのは、これらのお店を手掛ける西村姉妹。姉の典子さんが絵を描き、妹の祐紀さんがその絵を雑貨や店内にどのように配置するかをデザインしているそうです。
お店のメニューには、多様な空想街のイラストや世界観を取り入れた品が盛りだくさん。『雲の文明ティー』は、クジラが浮かぶ街をイメージしたアイスドリンクです。
雲を思わせる白いミルクと、空のような青色のバタフライピーティーがあわさり2層に。まずそのまま飲んでみると、ミルクのまろやかでやさしい味わいが。混ぜると紅茶のほんのりとした苦さが加わって、甘みと苦みの絶妙なバランスを楽しめます。
じつは、お店のドリンクの多くが、無料で持ち帰れる紙コースター付き。絵柄はメニューごとに異なり、多くの種類があるので「いろんな柄を集めたい!」というコレクター魂も満たせます。
『雲の文明ティー』についてくる紙コースターにプリントされているのは、このメニューのもととなった絵「古都クジラと雲の文明」。グラスにも同じ絵があしらわれていて、こちらもお店オリジナルです。
『不思議の国のキャロットシティより おうちのキャロットケーキ』は、週末限定で販売されるキュートなケーキ。雑貨店が期間限定ショップだったころ、同じ場所でお店を営んでいた「おかしのいえとパン屋のぱんさん」のものを仕入れているそうです。
お店のスイーツメニューを主に担当しているのは妹の祐紀さんで、生クリーム好きな祐紀さんがいろいろなスイーツを食べ歩き、本当に美味しく、お店の世界観に合うものを選んでいるのだとか。
顔に近づけた瞬間、柔らかい生地からふわっとスパイスの香りが広がり幸せ気分に。クリームはなめらかで口どけが良く、ほどよい酸味によって小麦とにんじんの甘さが引き立ちます。
『空想街ウィンナーティー』は、カフェドリンクで定番のラテアートを取り入れた品。HOTとICEから選べて、どちらでもラテアートを楽しめます。ストロベリーティーが使われていて、甘酸っぱい香りにも思わずうっとり…。
今回の絵柄は、クジラとひつじの2種。ランダムなので、複数人で行ったり、再訪したりして、違うアートとの出会いを狙うのもよいかもしれません。
メニューからもお店のデザインからも、どこまでもファンタジーな世界観が漂う空想街カフェ。でも、そもそもなぜ人気の雑貨店がカフェを出そうと思ったのか?
その理由を、姉の典子さんは「このチャンスを逃してはいけない!と思ったんです」と話します。
「もともと、雑貨店のオープンや絵本作りなど、姉妹で挑戦したいことがたくさんありました。その中のひとつに、『カフェをやりたい』というのがあったんですよね。空想街に関連した食器やメニュー、絵を使った紅茶のパッケージを出したいと考えていました。
雑貨店が2022年にオープンして、ブランドの規模的にもカフェは5年くらい先になると思っていたら、ちょうど隣の物件が空いたんです。それで、すぐに内見に突撃して(笑)そのまま話が進んで、カフェを開くことになりました。
食器も、私が長年とても作りたかったものを実現させる形で制作しています。『空想街ウィンナーティー』のカップ&ソーサーは、ずっと頭の中に『こういうものが作りたい!』というのがあって、かなりこだわって作りましたね。
シンプルだけど、楽しい要素のあるものというか…。カフェの工事や営業許可など、開店準備と並行しながらですが、下描きのみで1週間はかかりました」
お店オリジナルなのは、食器やグッズだけでなくインテリアも。天井から吊り下げられている魚や絵画、手作りの家具類が、カフェの世界観を演出しています。
「内装は、絵本作家のアトリエをイメージしています。絵本の中に入ったような気分に加えて、訪れるお客さんそれぞれが空想を楽しんでもらえるように、壁は昼にも夜にも見えるちょうどよい青色にしていますね。五感でカフェの世界観を楽しんでもらうために、メニューや外装にも幻想的な雰囲気をもたせています。
机や棚も、DIYで作ったこのカフェだけの品です。父がものづくりが得意なので、計画を立てて、一緒に買い出しに行って…。温かみがあって、この世界観に合うものを一緒に作っています。
あと、スタッフにもたくさんアイデアマンがいて、新しいメニューを考えてくれます。今出している雨の日ドリンクも、『こういうのどうですか』と提案してくれたものです。私たち姉妹だけじゃなくて、みんなで作っているお店だと考えています」
最後に今後お店で取り組んでいきたいことを尋ねると、「やりたいことが、たくさんあります」と笑う姉妹。
「もっと楽しく、もっとワクワクすることをしたいですね。上からたくさんの魚を吊るしたり、星を吊るしたり…。紅茶のパッケージやグッズも、しっかり描きおろして作りたいです」と、典子さん。
「お店のメニューを充実させたいですね。モーニングだったりランチだったり、時間帯も広げて、より多くの人に楽しんでもらえたらと考えています」と、祐紀さん。
空想の街と現実の雑貨店から生まれたお店には、日常から抜け出した特別な雰囲気と、さらなるワクワクを探求するいろんな人の夢がありました。
About Shop
空想街カフェ 空飛ぶ魚
東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目34-9 空想街雑貨店吉祥寺本店隣
営業時間:11:00~19:00
定休日:なし(年末年始を除く)
Instagram:@kuusoogaicafe
三月
ウフ。編集スタッフ
カスタードとお固めのパンが特に好きな148cm。ライター出身、ワクワクしながらメディアを作ってます。毎日おいしいものに出会えて幸せです。
注目記事