東京都は、中央区。築地市場といえば、1935年から2018年まで83年間にわたって使用されていた公設の卸売市場で、新鮮な魚が売買されて、近くには新鮮なとれたての魚が食べられる飲食店やお寿司屋さんがいっぱい。また朝早いこの街の働く人たちのおやつとしても、愛されてきた「さのきや」というお店。たい焼きならぬ、築地らしい「まぐろやき」が食べられ、今まであまりメディアにも出てこなかった、名店を今回特別に取材させていただきました。焼いているところも見させていただき、貴重な取材リポートに。
築地駅、または築地市場駅から徒歩3,4分程度。築地本願寺を通り超えて、築地場外市場の中にある「さのきや」さん。取材中も道行く若い子たちが、「かわいい!」と立ち止まってゆく、「まぐろやき」を始めて約12年というこのお店は、地元のお客さんや築地市場で働く人にとって、街の甘味処でもありました。
販売されている「まぐろやき」は、2種類。サクサク生地の「本まぐろ」と、もちもち生地の「中トロ」があり、ネーミングも築地っぽくてユニーク。中トロは、小倉あんにあんずと書いてありますが時期により変わるそうで、現在はパイナップルに。女将として、「まぐろやき」を焼き続ける中島さんに、“なぜまぐろやきになったのか”お話を伺うと……
「当初は、ちょっと洋風にしてパンケーキ屋をやりたかったんです。場所的に、狭くてパンケーキを作るのが難しくなり……。そこでたい焼きのようなものを作ろうと決めました。築地という場所柄、ただのたい焼きだと面白くないなと思い、まぐろやきを始めたんです。」
「まぐろやきの金型は、全部オリジナルです。特注で、一から作ってもらいました。そしてこのデザイン、実は私なんです(笑)。まぐろの形にして、お店の名前も入れて。」
「そして、すごく大変だったのが、生地を流し込んでうまくいくかどうかや焼き上げたときに、はがしやすい角度にするなど、微調整がとても大変でした。たい焼きに比べて、デザインも結構細かくて、まぐろの顔や尾ひれや背びれなどをしっかり出すために、一度生地を流し込んだらヘラでなじませないといけないんです。そうしないとしっかりとまぐろが出ないので。」
「うちは、6時からやっています。これでも、築地の人からしたら“もっと早くから営業してほしい”と言われちゃうぐらいなんですよ(笑)。朝早くからやっているので、駅からも近いですし、ぜひふらっと寄って買っていっていただいたら嬉しいですね。」
早速それぞれのまぐろやきを紹介していきます。自家製の小倉あんと、カスタード、おぐらあんとパイナップルの3種類。
まず小倉あん。これが粒あんとこしあんの中間ぐらいで、中身はこんなにもぎっしり! 甘さも控えめにしているそうで、いくらでも食べられそうです。そして何より生地がサックサクで美味しく、香りが抜群にいい。オリジナルのこの生地は、ぜひ一度は食べて欲しい美味しさです。
続いてカスタード! あっつあつのカスタードは、とろっとしていて絶妙。こちらも甘さは比較的に控えめで◎。
最後は「中トロ」のもっちもち生地のこちら。普段はあんずが入っているというこちら、パイナップルって本当に合うの?と思いますが「超合う」が結論です。甘酸っぱさがあんこに、そしてこのもっちもちの生地にすごく合います。
自家製でつけた梅のスカッシュや、フラッペもおすすめ。珈琲や抹茶など、色々な種類があり、食べ歩きにもぴったりです。梅スカッシュは、飲み終えたあとに、梅を食べることができます。
いかがでしたでしょうか? 12年続くこちらのお店。海外からのお客さんも少ない今、ぜひ食べ歩きに行ってみませんか?
About Shop
さのきや
東京都中央区築地4丁目11−9(MAP)
営業時間:6:00~15:00
定休日:日曜日、水曜日
Photo&Writing/Cream Taro
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