9月の特集「和菓子だって、かわいい」を代表してくれた、錦糸町にある山田家。ぎっしりつまったあんこに、ふっかふかの生地の美味しさ。キュートでぽってりとしたたぬきが特徴的で、長年焼いてきた山田家さんの美味しさの秘密に迫ります。
戦後間もない頃、先代の山田実さんが鶏卵卸問屋を創業。「甘いものが高価で贅沢だった」というその当時、復興を目指す人々に評判を呼んでいたのが、浅草界隈の人形焼だったそう。この人気ぶりに先代が目を付け、自らも人形焼をつくり始めたことで、人形焼の山田家の歴史が始まりました。
13個入り(狸・太鼓・三笠山の3種類で13個)1560円、1個130円。狸12個入り(お持ち帰りの品)1742円。価格も昔ながらで、思わずたくさん買って箱に並べたくなるたぬき焼き。
お店では定番の紅葉(あんなし)や、太鼓の形をした人形焼きなど種類は豊富に。たぬきを選ぶ人が多いんだそう。
包装紙に描かれるのは、漫画家で江戸文化研究家の宮尾しげを氏の筆による、江戸の伝承話「本所七不思議」。お店の看板にも書いてありましたね。「七不思議」のひとつに、たぬきが主役の錦糸町を舞台にした「おいてけぼり」というお話があり、それがタヌキ型の人形焼の由来になっているんだとか。また、直木賞作家の宮部みゆきさんは、山田家の包装紙に描かれる物語をヒントに「本所深川ふしぎ草紙」を書き上げ、吉川英治文学新人賞を受賞されました。
鶏卵問屋だったからこそ、使用する卵はどれもフレッシュで品質のよいもの。また保存料、添加物を一切使用していないため、賞味期限は製造日を含めて4日となんだそう。また当日焼き上げたものだけを販売しているので、どれもふわっふわのほわっほわ。
中のあんは、こしあん! こしあん派が喜ぶ、サラリとした食感で、甘さ控えめなところも◎。1個、2個ペロリといけちゃいます。
ズラリと並んだたぬき焼きをもう一度。ちょっとした差し入れや手土産に持っていったら、喜ばれること間違いなしの美味しさに見た目。和菓子だって、十分かわいく、「映える」。今月のウフ。では、伝統を大事にしつつも美味しく、見た目にもかわいいお菓子を紹介していきます。お楽しみに。
About Shop
山田家 本店
東京都墨田区江東橋3-8-11(MAP)
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日、1月1日
テルミナ店
東京都墨田区江東橋3-14-5 テルミナ1 地下1階
Photo&Writing/Cream Taro
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