喫茶店に何を求めるかは人それぞれ。けれど、美麗なスイーツやこだわりの食器、時には海外にまで行って仕入れる紅茶など、“喫茶店だからこそ楽しめるもの”は誰の心にも響くのではないでしょうか。
今回訪れた「nanashian」は、紅茶とお菓子、喫茶と小説を愛する店主が開いた話題のお店。あまりの美しさにファンが続出している『白鳥の湖プリン』のヒミツをはじめ、お店の魅力に迫ります!
恵比寿駅から5分ほど歩いたところにある紅茶専門店/喫茶の「nanashian」。土日月の週3日のみ営業しています。
穏やかな音楽が流れる店内には、キッチンと面したカウンター席7席が。窓際の席では、目の前でスイーツや紅茶が作られていく様子を眺められます。
店主の半田さんは、会社員として働きながら2月にこのお店を開業。高校生のころから料理やお菓子作りに没頭していたのだとか。「日本での取り扱いが少ない茶葉も勉強してみたい」とスリランカまで足を運ぶほどの紅茶好きでもあり、お店でも厳選した紅茶が提供されています。
お店の看板メニューは、1日10食限定の『白鳥の湖プリン』。プリンにスワンシューがのった、お店のオープン時から人気のスイーツです。
スワンシューのパーツはすべて店主の半田さんの手作り。首や頭、波打つ羽まで、シュー生地で緻密に表現されています。
「首の部分と羽根の部分は違うタイミングで焼いています。細かいので、作るのに練習は必要ですね(笑)
クリームは、カスタードクリームと生クリームの2種類をあわせました。どちらもクリーム本来の味わいを楽しめるよう、砂糖の量をかなり少なくしています」
シュー生地はほんのり甘く、ふわっと柔らかな食感。カスタードと生クリームのバランスが絶妙で、シューによく合うなめらかな口どけを楽しめます。
シュークリームの下には、昔ながらの固めのプリン。卵黄の味わいが濃厚で、口いっぱいにコクと旨味が広がります。カラメルは苦みと砂糖の香ばしさが共存した絶品の仕上がりで、器の底までスプーンですくいたくなってしまいそう。
でも、なぜシュークリームとプリンをひとつのスイーツに?
「プリンが大好きだったので、お店でもプリンを使ったメニューを出したかったんです。特に固めのプリンが好みで、『プリンに何かをのせて、可愛いスイーツを作りたい!』と考えていました。
スワンシューをのせたのは、私が動物好きだったからですね。『そういえば、シュークリームにも可愛い形のものがあるな』と思ったんです。
それに、プリンとシュークリームはどちらも卵が主役のお菓子。味の相性も良かったんです。お店のオープン前からずっと考えて、今の形になりました」
お店では紅茶を7種類前後から選べ、さらにティーカップも好きなものをセレクト可能。HAVILAND(アビラント)やBERNARDAUD(ベルナルド)など、世界中で愛される格式高いブランドのコレクションと一緒に飲み物や料理を楽しめます。
「紅茶は、6月の上旬あたりからスリランカで仕入れた紅茶も出すようにしました。年よって品質や味わいも違うので、自分で試しながら複数種類を用意しています。
食器はアンティークから現代の品まで、年代にこだわらず自分が“素敵だな”と感じたものを購入しています。お客さまがどれか一つは自分好みのものを見つけられるように、なるべく重複しないデザインのものを選んでいますね」
半田さんは、人気喫茶の店主を務める現在も、会社員として働いているそう。お店を始めたきっかけは、“高校生のときの夢を思い出した”からなのだとか。
「高校時代からお菓子作りも喫茶も好きで、『いつかお店をやりたいな』と思っていたんです。家ではずっとお菓子を作っていました。マカロン作りで電気代がかさんで、母親にオーブンの使用を禁止されるくらい(笑)
食器もお店を開くために昔から集めていたのですが、社会人として働いているうちに、その夢を忘れてしまっていました。ただ、去年あたりに『そういえば喫茶やりたかったよな』って思い出して、物件を探すことにしたんです。
1年かけてもなかなか見つからなくて、友人の紹介でこの場所を見つけたのは今年の1月でしたね」
「オープン前後はかなりのスピードで動いていて、体力的にもきつかったです(笑)」と懐かしむように話す半田さん。ようやくオープンしたお店には、“どこか別世界”のような空間を目指す想いも込められています。
「お家でできない体験を、皆さんに楽しんでほしいんです。自分好みのティーカップをたくさんの種類の中から選べるようにしたり、普通とは異なるビジュアルのプリンを提供しているのも、そうした理由からですね。
私は読書が趣味で、本を片手にお茶を楽しむ時間をとても素敵なものだと感じています。本を読んでいる間は、別の世界に行っているような感覚を楽しめるのも好きですね。
この喫茶店でも、わざわざ足を運んでもらうからには、特別な空間で過ごす時間を提供したいと思っています」
オープンから半年経たない間にも、新たなメニューを取り入れて進化する「nanashian」。今後、このお店はどのように変化していくのでしょうか?
「茶葉の種類をもう少し増やしたいと思っています。紅茶がすごく好きな方もそこまで詳しくない人でも楽しめるように種類を充実させつつ、マニアックにはならないよう多すぎない数に抑えたいです。
長期的には2号店や移転も検討していて、複数人で来てくださったお客さまに楽しんでもらいやすいようにテーブル席を設けたいなと思っています。あとは、書棚を置いてブックカフェのように楽しんでもらえたら、と考えていますね」
お店のスイーツには、『白鳥の湖プリン』に加えて、 “喫茶店だからこそ楽しめるビジュアル”として断面にこだわった『季節のフルーツサンド』などの品々も。
「中のクリームと果物の入れ方がポイントです」と断面をきれいに仕上げるコツを教えてくれる半田さんの笑顔は、いろんなものに対する“好き”の想いであふれています。
About Shop
nanashian
東京都渋谷区広尾1丁目15-3 1F
営業時間:8:00-16:00 (売切れ次第閉店)
定休日:火・水・木・金
公式Instagram:@teahouse_nanashian
三月
ウフ。編集スタッフ
カスタードとお固めのパンが特に好きな148cm。ライター出身、ワクワクしながらメディアを作ってます。毎日おいしいものに出会えて幸せです。
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