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【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」

世界は、私たちの知らないお菓子で溢れている。
この連載では、世界を旅するパティシエ「郷土菓子研究社」の林周作さんをナビゲーターにむかえ、その土地の環境や文化から生まれた不思議で美味しいお菓子を紹介します。

第4回は童話の世界のような美しい街並みが人気のクロアチアから。アドリア海を挟んでイタリアの対岸に位置する国で、1000以上の島を持つ自然豊かな共和国。そんなクロアチアの郷土菓子から、今回はクレムシュニッタを紹介。
ボリューミーなクリームといつ食べてもバリバリとしたパイ生地が特徴のケーキ。クロアチアの人が愛してやまないお菓子です。

【前回の記事はこちら】 
【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.03|北欧スウェーデンのコーヒーブレイク“フィーカ”に欠かせないケーキ「プリンセストルタ」

クロアチアってどんな国?歴史から読み解く食文化

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約90%がカトリック教徒と言われるクロアチアでは食文化でもその影響を受けています。強い日差しと乾燥した気候は良質なワインやチーズ、オリーブオイルの生産に適しており、美味しい食事も観光地として人気の理由。

多種多様な文化や自然を保有するクロアチアで林さんが訪れたのは首都ザグレブ、南側に位置する都市マカルスカとドゥブロブニクです。

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林さん「古き良きヨーロッパの風情が漂う首都ザクレブは、歴史ある建物や細い路地が沢山。散歩にはぴったりの街で、歩いているだけで気分が良くなります。

かつてオスマン帝国の支配下でもあったクロアチアは、トルコ菓子が地元の郷土菓子と一緒にショーケースに並んでいることが多い。その他、海を越えてやってきたイタリアの焼き菓子、東欧の生菓子もよく見られます。クロアチアの郷土菓子はこうした歴史的背景をもちつつ、独自に発展したものなんです」

1日最低1000人分!クロアチア人のソウルフード『クレムシュニッタ』

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本記事の主役「クレムシュニッタ」に林さんが出会ったのは首都ザグレブでのこと。クロアチアを代表する郷土菓子で、元々サモボルという小さな街で誕生したんだとか。

サモボルでよくみられるカスタードクリームとメレンゲを合わせたクリームを2枚のパイ生地で挟んだものがオリジナル。ザグレブでは上面を生クリームとチョコレートで仕上げたスタイルが人気で、地域によって少しずつ違うのも面白いところ。

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」
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林さん「僕自身初めて『クレムシュニッタ』を見た時には、これを全部食べられるのだろうかと、見た目のボリューム感に後ずさり。しかし実際に食べてみると意外に一皿いけてしまう。これはレシピを知って分かったのですが、メレンゲを足してクリームを軽くしているからだったんです。

クロアチアの人は『クレムシュニッタ』が大好きで、特に人気は創業1997年の菓子屋『Vincek(ヴィンツェック)』のもの。なんと1日最低でも1000人分は作るというから驚きです」

面白いのは温かい「クレムシュニッタ」もあることで、冬になるとよく見受けられるそう。日本では生ケーキと言えば冷たいイメージですが、クロアチアでは温かいものもあることに文化の違いを感じられます。

一度食べたらクセになる!ぷるぷるザクザク『クレムシュニッタ』

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現地では『Vincek(ヴィンツェック)』で菓子職人が「クレムシュニッタ」を作るところを見学させてもらった林さん。2人の職人が息を合わせ、大鍋で炊かれたカスタードクリームとメレンゲのクリームを型に流し入れるシーンは圧巻だったそう。

林さん「コーヒー文化が根強いクロアチアでは、『クレムシュニッタ』と珈琲のセットは主流。家庭でもよく作るお菓子で、冷凍のパイシートを使って手軽に作るみたいです。『クレムシュニッタ』作りで大切なのはパイ生地の食感。クリームだけでは食べ飽きそうな量でもパイ生地があれば大丈夫(笑)」

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」

林さんが作る「クレムシュニッタ」もやっぱりパイ生地はバリバリ。フォークを入れると、さっくり割れるので型崩れしづらいのも嬉しいところ。下段はしっかり固めのカスタードクリーム。上段は生クリームです。どちらもぷるるんとした独特なテクスチャー。これはどちらのクリームにもきめの細かいメレンゲを混ぜているから。
年齢問わず好まれるクリーミーで大胆な味わいは、一度食べるとクセになります。

ナビゲーターはバックパックで世界中のお菓子を巡る菓子職人、林周作さん

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」

現在世田谷区・三軒茶屋にある『JOURNEY(ジャーニー)』のオーナーシェフを勤める林さん。日本では珍しい世界各国の郷土菓子を専門に作る菓子職人です。“誰も知らないお菓子を作りたい”と自ら世界中をバックパックで巡り、出会った人と郷土菓子の数々。林さんはその旅の記録をお菓子や本を通して発信しています。

NEXT SWEETS |クリスマスの魔法がかかる街。ドイツで欠かせないお菓子「シュトーレン」

ちなみにクロアチアの食文化は、肉、肉、肉!だそうで、林さんも現地の料理を通して肉生活を堪能。豚と牛の合いびき肉をパンに挟んだチェバプチチや、ソーセージなどなど。飲み終えたペットボトルに入れて売られた自家製ワインと一緒に楽しむのが、フレンドリーでおしゃべり好きなクロアチア人スタイルだったそう。

【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”vol.04|新食感のプルプルクリームがやみつきに。クロアチア人が愛してやまない「クレムシュニッタ」
トルコの伝統料理「チェバプチチ」はクロアチアでも大人気

次回はビールとソーセージの国ドイツへ。世界で最も知られる作曲家・ベートーヴェンや、10世紀以降に作られた建築様式の異なる教会など、厳粛な印象のある国。クリスマスマーケット発祥の地で、最古と呼ばれるドレスデンのものは多くの人が一度は行ってみたいと願うほど。人々の賑わいと輝く光は魔法のように美しい風景です。

そこで紹介するのはドイツのクリスマスには欠かせないお菓子“シュトーレン”。日本でも一般的になりつつありますが、元々はキリスト教と深い関りをもつお菓子。本場のシュトーレンについてお伝えします。
12月1日公開予定です。

ナビゲーター/「郷土菓子研究社」林周作
カメラマン/中里楓(一部起用)

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東京都世田谷区太子堂2丁目9−25
営業時間:14:00~20:00
定休日:火・水

園果わたげさん

園果わたげ

ウフ。編集スタッフ

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ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。