自由が丘にある「AmiCono JIYUGAOKA」は、旬の食材を使用した日替わりジェラートが味わえる、可愛くて小さなジェラテリア。店主・井上さんのジェラート作りへのスタンスやポジティブなコンセプトに共感するお客さんも多く、TVの密着番組をはじめ、数々のメディアに取り上げられている注目の人気店です。今回は店主の井上さんに、お店に込めた想いやルーツを他彫りしました。
自由が丘駅から徒歩2分程度。石畳の美しい街並みや、木漏れ日が美しい緑道を通りすぎた道沿いにある「AmiCono JIYUGAOKA」。
イタリア・フィレンツェで修行した女性店主・井上さんが手がけるのは、天然素材のみを使用し、素材のおいしさをダイレクトに伝えてくれるジェラート。甘いスイーツを食べるというより、美味しい食材をジェラートにして味わえるという感覚に近いかもしれません。
上に乗せた手焼きのサクサクッとしたコーンをつけながら味わうスタイルで、三角帽子をかぶっているようなキュートなビジュアルも人気です。
店名の「AmiCono」は、イタリア語で“友達”を意味する「Amico」と、“コーン”を意味する「Cono」をかけあわせた造語。友達がふらっと集まるような気軽なお店のイメージが「Amico」に、手作りのコーンで最後までおいしく味わってもらうことで、井上さんの好きな言葉「終わりよければすべてよし」を実現することを「Cono」にこめています。
お店のコンセプトは「世界中のみんなをhappyにするジェラテリア」。アレルギーがある方やベジタリアンの人でも安心して食べられるヴィーガン対応フレーバーを用意することで、まさに訪れる人皆がハッピーになれるジェラートを提供しています。
理系の大学卒業後、親の反対を押し切ってまで飲食の世界へ飛び込んだという井上さん。「学生時代に飲食店でアルバイトをしていたときに、“人を喜ばせる”ことがダイレクトに味わえる仕事だなと感じて。そこにハマってしまいましたね」
「もともと白金のイタリアンレストランの店長をしていたのですが、朝10時から夜中の1時まで働く毎日。30歳目前で、『もともと独立したいと思って飲食の仕事を始めたのに、このままでいいのかな』と思い始めて。
バリスタの資格を持っていたのでカフェをやりたいと思ったのですが、珈琲だけでは大手チェーンに太刀打ちできない。その時思い浮かんだのが、イタリア旅行で食べたジェラートです。イタリアでは至るところにジェラート屋さんがあって、その日常に溶け込んでいる感じがいいなあと。
私は料理人ではなかったので、最初は、『ジェラートならチャレンジできるかな?とりあえずやってみようかな!』という気持ちでした」。
国内のジェラテリアで修行するという手もありながら、イタリアで修行する道を選んだのは、“本場の味”にこだわったため。「年1で行くくらい海外旅行が好きなのですが、どの国の食でも気になっていたのが“本場の味”ではないものを提供していることでした。例えば、カリフォルニアロールが日本のお寿司だと認識されていたりとか。だから、本場イタリアで修行して、イタリアのジェラートそのままを出したいと思ったんです」
そして、勤めていたレストランを辞めイタリアに修行へ。「修行先では、毎日ジェラートのことしか考えていなかったです。数か月間しか時間がなかったので、メインのお店だけでは物足りず、他のお店にも自分で頭を下げて修行させてもらったり。イタリア語は全然話せなかったけどそんなことは苦じゃなかったです。ジェスチャーで会話してました(笑)。」
修行先のお店『アンティカ・ジェラテリア・フィオレンティーナ』のシェフとは今でも仲良し。昨年イタリアのジェラートの世界大会に井上さんが出場した際には、「マイコが来たぞ!」と喜んで駆けつけてきてくれたそう。
AmiConoのジェラートは、作り置きは一切なし。朝の仕込みや営業中などに、常にフレッシュなものを作り続けています。フレーバーは旬の食材を使った日替わりのもので、これもイタリア修業時代に知った、現地の文化にならっています。
「イタリアで印象的だったのが、『今の季節しか食べられない』とか『この地方でしか食べられない』といったような食の文化。例えば、季節外れのフルーツはスーパーに並ばないし、魚介が採れない内陸の都市ではペスカトーレ(魚介のトマトパスタ)は食べられない。注文しようとすると、『海沿いのレストランに行きな!』って言われます(笑)この文化を習って、この店でも、その時々で仕入れた旬のものだけをジェラートにしています」
そして、AmiConoのもう一つの人気の理由が、天然素材のみを使っていることと、ヴィーガン対応のジェラートも用意していること。これらは、イタリアから帰国後、務めていた会社で感じた想いを形にしています。
「イタリアの修行から帰ってきた後、独立開業の勉強のために2年半ほどマクロビの会社で働きました。その時に衝撃的だったのが、世界にはこんなに食が制限されている人がいたんだということ。
自分の周囲には少なかったのであまり考えたことがなかったのですが、アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある方ってたくさんいるんです。自分の店ではどんな方でもジェラートが楽しめるようにしたいと思いました」
「大切な人に自信をもって渡せる」ジェラートがつくりたかった、と話す井上さん。お客さんが誰かに贈ってくれた、と聞くとすごく嬉しいのだそう。
「昔お客さんが、余命僅かな病気の方にうちのジェラートをプレゼントしてくれたんです。栄養価が高くておいしい『AmiCono』のジェラートなら食べられるだろうと。その方にとって最後の食事になったそうで、喜んで食べてくれたそうです。それを聞いて、食をつくるってとても重みのある仕事なんだな…と思ったし、このジェラートをつくってよかったな、と心から思えました」
香料などの添加物を入れない代わりに、最も大事になってくるのが食材選び。なるべく農家さんと直接やりとりをして、時間があれば畑にも見学に行って仕入れをしているそう。
「お店のジェラートを通して、農家さんとお客さんがつながることが一番うれしいですね。例えば、桃ジェラートがおいしかったらと、お客さんが直接農家さんから桃を買ってくれたりとか」
定番は訓子府の牛乳を使用した「ミルク」のみで、この日の日替わりメニューはこちら。食材のブランド名や産地を明記し、生産者の顔が見えるようにしています。
この日に頂いたのは、アーモンドプラリネ(※取材当日の日替わりフレーバー)のジェラートを挟んだ「ジェラバーガー」。ほんわりあったかいパンと冷たいジェラートのギャップがたまらないメニューです。中のジェラートは、アーモンドの香ばしさが口の中にふわっと広がり、あと引くおいしさ。アーモンドってこんなにおいしかったんだ!と気づかされます。
「コーンだけでなく、このパンも自家製です。天然素材で作る、と決めたからには全部手作りにしています。昔、ハンバーガー屋さんになりたい時期もあったので丁度良かったかも(笑)」。
取材を通し、人生のどんな壁も乗り越えどんどん突き進んでいく姿が印象的だった井上さん。今後もチャレンジしていきたいことがあるそう。
「まだ形にはなっていないけれど、近々フランチャイズ展開をしたいなと思っています。というのも、最近『ジェラテリアを開業したい』と勉強をしにスタッフになってくれる子がいて。昔の自分を見ているようで応援してあげたくて、経営の経験を積む機会としてもいいかなと。
そして、オンライン販売を通して全国にお客さんがいるので、もっと多くの方に、直接ジェラートを届けたいという気持ちが大きくなってきました。少しでも多くの人に、ジェラートを食べてもらってハッピーになって欲しいです!」。
今年で5周年を迎える『AmiCono』。心にも身体にも優しいハッピーなジェラートを、あなたの街で食べられる日が来るのも近いかもしれません。
About Shop
AmiCono JIYUGAOKA
東京都世田谷区奥沢5丁目27−9
営業時間:12:00~19:00
定休日:なし
まえなな
ウフ。編集スタッフ
住宅雑誌の編集者を経てufu.編集部に。あんこや抹茶味の和スイーツがとにかく大好き♡ 最近のマイブームはあんバターサンド食べ比べ。
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