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珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

なんとなく気分が晴れない梅雨シーズンも終わり、いよいよ夏本番が近づいてきました。久しぶりにお出かけ気分が高まる2023年夏、ufu.の特集では「日本の喫茶店」を取り上げます。

あるときは友人や恋人との憩いの場として、またあるときは贅沢な一人時間に浸れる場所として、100年以上も前から日本で受け継がれてきた「喫茶文化」。個々の物語や伝統を受け継ぐ名店をはじめ、新たな喫茶店カルチャーを紡ぐ注目の新店、人気店の名物マスターまで、様々な角度から喫茶店の魅力をお届けします。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

今回表紙に登場してくれたのは、器や暮らしの道具を扱うオンラインのセレクトショップ「sui」の店主・のりまいさん。SNSで発信する美しいスイーツやインテリアの写真は、思わず手を止めて見惚れてしまうほど。

今回訪問したのは、そんなセンス抜群の彼女が注目していたという「喫茶 半月」。今年の2月、蔵前に移転オープンして以来、週末も平日も賑わっている人気店です。美味しいスイーツと珈琲はもちろん、喫茶空間にもフォーカスしてご紹介。

扉を開けば、大人の落ち着いた喫茶室。こだわりの家具や美しい器に囲まれて

「喫茶 半月」があるのは、近年、個性的なカフェやセレクト雑貨店などが集まるHOTな蔵前エリア。蔵前駅より徒歩5分、外観から大人な雰囲気が漂う「喫茶 半月」は、この激戦区の中でもお客の絶えない人気店。その圧倒的な世界観にファンも多数。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

実は移転した「喫茶 半月」。元は系列店である「菓子屋 シノノメ」の2階でしたが、現在はそこから徒歩で約2分ほどの場所へ。お店の扉を開けば、店内のシンボルでもある美しいバーカウンターと、美しい器や道具が並べられた壁面収納が。美味しい珈琲の香りと静かでピアノの心地いい音楽、自然光がたっぷり降り注ぐ空間に、思わずため息。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

カウンターや壁面収納などの造作家具は、なんと自社施工なのだそう。この造作部分や調度品によって、どこを切り取っても映画のように統一された世界観は、半月の心地よさのひとつ。オールドノリタケを中心とした気品あふれる珈琲カップに、大胆に置かれたドライフラワー、ぽわんと控えめに灯るテーブルランプ。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

これらの調度品は、日用品のセレクトショップも営むオーナーが少しずつ集めたもの。木彫りの動物のオブジェは、喫茶 半月の系列店「from afar」や「菓子屋シノノメ」などにも置かれているそう。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

移転オープンにあたり、目指したのは「大人の喫茶店」。一部アルコールを提供したり、バーのような背の高い椅子を置いたり、光が入るよう大きな窓を取り入れたりと、心地よくも洗練された空間になっています。

「とってもお洒落だけど肩の力は抜くことができるような、ほっと落ち着ける雰囲気が素敵」と嬉しそうなのりまいさん。「棚に美しく並べられたグラスやカップを眺めながら過ごせるカウンター席と、自然光が心地よいテーブル席。どちらもとっても魅力的なので、どこの席に座るべきか迷っちゃいます」。

珈琲と相性抜群。甘さ控えめの優しい味のお菓子たち

「喫茶 半月」のお菓子は、自家焙煎の珈琲に合うお菓子を意識しているのだそう。お菓子は季節のフルーツを使ったチーズケーキとシュークリームをはじめ、シンプルなロールケーキ、ビクトリアケーキなど。いずれも喫茶店では王道のメニューばかり。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」
珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

珈琲は、「喫茶 半月」の思う“昔ながらの喫茶店”の味を意識。シンプルなデザートの味に合わせ、クセが少なく喫茶店らしい苦味と、重厚感のある味わいを大切にしているのだそう。お店に「半月焙煎研究所」を併設し店内で焙煎したり、カフェラテにはシネモリ社製のエスプレッソマシーンを使ったりと、道具や環境にもこだわっています。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

今回頂いたのは、アメリカンチェリーのチーズケーキ。シンプルなレアチーズケーキをベースに、旬のアメリカンチェリーをたっぷり忍ばせています。雪のような美しい見た目は、フォークを入れるのをためらってしまうほど。

「贅沢にごろっと入ったアメリカンチェリーが爽やかなレアチーズケーキと相性抜群! しっかりとチーズ感が感じられて濃厚なのに、後味はさっぱりとしていて軽やかで…あっという間に食べちゃいました」とのりまいさん。まさに初夏にぴったりの味です。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

もう1つ、のりまいさんがチョイスしたのは季節のシュークリーム。取材時はアメリカンチェリーとピスタチオのフレーバーで(※7月初旬~中旬まで提供予定)、チェリーレッドとグリーンの組み合わせがなんとも可愛らしい。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

机に運ばれてきた瞬間、心が躍ってしまうようなこのビジュアル。くるくると積み上げられたピスタチオクリームを、ザクザクのシューにたっぷりとつけて頂きます。ちなみにこちらのシュー生地は、「菓子屋 シノノメ」で毎日焼き上げたもの。

クリームもシューも甘さ控えめの軽い味わいで、珈琲と一緒に少しずつ時間をかけて味わいたい逸品です。

お店や珈琲を、本当に愛する人だけが働く。半月の心地よさのわけ

「店員さんたちの纏うやわらかな空気感と、心地よい距離感の接客もとっても居心地がいいですね」と絶賛するのりまいさん。「喫茶 半月」の魅力は、美しいインテリアと美味しいスイーツ、珈琲だけではありません。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

このどことなく心地いい雰囲気が漂う理由は、「働くスタッフが皆、半月や珈琲を愛しているからだと思います」と店長の戸波さん。「お店の求人募集はSNSをメインにすることで、お店を本当に好きな人しか働きに来ないんです。私も実はそうなんですが、元常連だったり、珈琲の勉強がしたいと熱意を持っているメンバーが多いんですよ」。

働く人たち自身が、「楽しい」「学びたい」「この店が好き」という志で団結しているからこそ、心地いい世界や雰囲気をつくりだせるのかもしれません。

珈琲の香りと、こだわりの器や家具に囲まれて。蔵前の大人な喫茶店「喫茶半月」

「家族や友人と来てもきっと楽しめるけれど、ちょっと贅沢にひとりでゆったり過ごしたいときにぴったりの喫茶だと思いました。今回、移転後初めてお邪魔したのですが、またお伺いしたいです」と話すのりまいさん。店内の調度品を興味津々に眺める姿が、とても印象的でした。

器や古道具、インテリアに造詣の深い彼女も心奪われる空間「喫茶 半月」。注目の新店が続々登場している蔵前エリア、来訪の際はぜひ足を運んでみてください。

About Shop
喫茶 半月
東京都台東区蔵前4丁目14−11 ウグイスビル 103
営業時間:12:00~19:00
定休日:なし

Photo/Shintaro Oki Writing/Nanako Maeda