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【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界Vol.9】国産小麦粉と外国産小麦粉でおいしさが違う?

スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は意外と知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。

お菓子のヒミツや、業界にまつわる裏話も深堀り。今回は国産小麦粉と海外産小麦粉の違いについて、深掘りしてみました!

ソフトな食感の国産小麦粉、しっかりハードな食感の外国産小麦粉

「国産小麦粉と外国産小麦粉で味やおいしさが違うのか? それはないと思います」と大澤シェフ。

「もちろん、それぞれの特性や向き不向きはあるんですが、一方がおいしくて、一方がおいしくないということはまずない。どんなものを作るかによって、使い分けています」

国産小麦粉はやわらかいソフトな食感のものが多く、外国産小麦粉は、風味が強く、ハードな食感のものが多いのが特徴です。

含有する成分も一般的には国産小麦粉はたんぱく質の割合が低く、グリアジンやグルテンの量も低いことからグルテンが生まれにくいと言われています。一方の外国産小麦粉はたんぱく質が多く、グルテンも多く生まれるために、パン作りに向いているとも言われています。

国産小麦粉は全体のわずか1割強!?

日本では国産の小麦粉よりも海外からの輸入小麦粉が圧倒的に多く、約8割強が輸入小麦で、国産小麦粉は1割強と言われています。

ただ、少ない中にあっても国産小麦粉はその種類が多いのが特徴と大澤シェフは言います。

「私が使っているものの多くはフランス産の小麦粉なんですが、フランス産の小麦粉は、数値で表記されていて種類はそんなに多くはないんです。でも、日本の小麦粉表記には、強力粉、薄力粉のほかに、準強力粉、中力粉があって、さらにに各々にいろいろなブランドがあるんです」

種類が豊富な国産小麦粉

国産小麦粉の種類は、数十種とも数百種とも言われているくらい種類が豊富。

強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉から、さらに細分化されていくつものブランドがあり、用途によってこまかく使い分けされているといいます。

「フランス産の小麦粉にもいくつかのブランドがあって、その中から同じガレットデロアを作るにも、このガレットデロアにはこのブランド、こっちのガレットデロアには別のブランドというふうにそれぞれの特徴を上手に引き出して、自分が求めている味になるように使い分けしています」

日本の小麦粉の中から、自分が作りたいものを突き詰めて選ぶとなると「とても大変」と大澤シェフ。

パンを作るならやっぱりフランス産小麦粉

「作り手によって、特定の何か焼き菓子を作ろうとしたときに、海外産の小麦粉では難しいだろうから国産の小麦粉を使うとかはあります。ただ、それが海外産でまったく出来ないかというとそうではなく、求めている味とか食感にするには、この焼き菓子なら国産、この食感を出したいから外国産ということだと思う。

 逆にフランスパンを作りたいと思ったら、国産の小麦粉よりもやはりフランス産の小麦粉のほうがいい。とくにフランス産の小麦粉はパンには特化していることもあるんです。パンに限らずですが、国産の小麦粉でうまくいかないなと思ったときに、フランス産に替えて使ってみるとイメージしたような味や食感になることもあります」

作りたいものによって使い分け

国産、外国産に限らず小麦粉には粒子の違いや、さらさら感、しっとり感などの違いもあれば、粗びきされて少し茶色がかって、焼きあがったときに香ばしさが出るものもあると言います。

「それぞれのパティシエが作るお菓子に何を求めているのか。そこで何を選ぶかだと思います」と大澤シェフ。

ひと口に小麦粉と言っても、使う種類によって完成品も大きく違うのですね。

そして1人のパティシエが作る焼き菓子の1つひとつに、プロの眼による厳選された素材選びがあることが改めてわかります。

教えてくれたのは……

パティシエ:大澤智弥さん

専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。

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