日本人の主食になりつつあるパン。夜はガッツリ食べたいけど、朝と昼は手軽にパンで済ましちゃう経験はありませんか。
そんな中、懐かしくてその土地でしか手に入らない“ご当地パン”は、お父さんお母さんから子どもたちへ、さらにはその子どもたちへと世代を超えて一緒に食べ続けられています。
今回は第3回目の中国・四国・九州・沖縄編です。地元の人はもちろん、旅行に行かれた際に、探してみるのも楽しいですよね。
南九州で1ヶ月に約15万個もの数を販売している、鹿児島県のご当地パンといったら、イケダパンの「キングチョコ」。
コーティングされたビターなチョコレートがチョコ好きも唸るほど美味しく、中にはこれでもかとチョコクリームがはいっています。そして何よりコッペパンのパンがもっちりふかっとしているのがたまらない。
昭和55年(1980年)発売、40年以上愛されているキングチョコは、工場のパートさんがある日クリームサンドしたパンを近くにあった溶かしチョコレートに付けて食べたらとても美味しかったことから誕生。
発売当時はチョコクリームをサンドしたパンにチョココーティングしたパンがなかったためチョコレートパンの王様に育ってほしいとの思いで“キングチョコ”という名に。
一度食べればきっとあなたもやみつきになりますよ。
取材協力/イケダパン
丸いパンにカステラ生地をかけて焼いた、高知県民で知らない人がいないほど愛されている「ぼうしパン」。
手作りの優しさを感じる美味しさ。表面はほんのり甘くて、帽子のつば部分の食感が少しかりっとしていて、口に入れるとほんのり香る卵とマーガリンの香りがたまりません。
ふっかふかのパン生地は、真っ白パンでもちもちっとした味わいが楽しめ、あっという間にぺろっといけてしまいます。
そんなぼうしぱんですが、意外なきっかけから誕生しました。
誕生したのは昭和30年頃のこと。高知の人気ベーカリー「リンベル」がメロンパンを製作中に、一つだけクッキー生地をのせ忘れて、発酵してしまったのがキッカケなんだとか。
そこから試行錯誤を繰り返して、ビスケット生地をカステラ生地に変更し「カステラパン」という名前で販売。広がったカステラ生地がこんがりと焼けて、まるで田んぼや畑仕事をする時にかぶる麦わら帽子の形によく似ていることから、県民からは「ぼうしパン」と呼ばれています。
厳選された素材で焼き上げたぼうしパンは、お子様でも安心して食べられるので、お茶の間でいかがでしょうか。
取材協力/末広
※お取り寄せ可
昭和40年頃から鳥取県のロングセラー商品、亀井堂の「マイフライ」。
じっくり熟成させた食パンでこしあんを挟み、天ぷら風の衣をつけて油で揚げたパンで、特製の衣は余分な脂の吸収を抑え、サクサクとした食感と香ばしさが広がります。
揚げパンなのに、あんことあいまって案外さっぱりとした味わい。
明治36年創業で、来年の3月6日に120周年を迎える亀井堂。マイフライは、一つずつ手作業でパンにあんこを挟んで揚げており、工場生産といっても亀井堂のパンはほぼ手作りで作られているのだとか。
「高校の売店で買っていた、懐かしい」と手に取る方が多かったり、マイフライを焼いたり、ソフトクリームを乗せたりなど食べ方は様々で、親子何代にもわたって愛されています。地元の方は、一度は食べたことがあるのではないしょうか。
取材協力/亀井堂
「九州地方で人気のパン」として取り上げられたり、漫画『クッキングパパ』のエピソードの中で登場し、全国各地から反響を得た福岡名物、リョーユーパンの「マンハッタン」。
少し硬めの生地にチョコレートをコーティングしたパンは、柔らかいパンが圧倒的に多い最近のパン市場において、“固いからこそ美味しい”という異色の評価を受けていて、サイズは手のひらに収まるサイズでありながら、食後の満足感が高いのが特長的です。
何度食べても感激する美味しさ、揚げたドーナツのサクサク、ザクザク感がたまらないし、ビターなチョコがもう。1個食べたら完食すること間違いなし。
1974年発売したこちらのパンの開発担当者が、アメリカのドーナツの製法を習得したことやニューヨークのマンハッタンで見つけたドーナツを参考に新商品の開発を行なったことが誕生のきっかけなんだとか。
発売から48年が経ち、その子どもたちへと世代を超えて一緒に食べ続けられているマンハッタン。
チョコレートの甘さとさっくりとした食感が楽しめるドーナツです。
取材協力/リョーユーパン
沖縄といったら、オキコパンの「ゼブラパン」。黒糖シートと粒入りピーナッツクリームがサンドされたボリューム満点のこのパンは、長年にわたり、幅広い年代の方に愛されています。
ピーナッツバタークリームがとっても美味しく、一回食べたら手がとまらないです。見た目ほど重たい感じはなく、ピーナッツクリームが案外軽い印象です。
1980年頃、当時の職人の思いつきで試作したところ、おいしかったことから商品化に至ったと言われています。
横から見たパンの断面が“シマ模様”に見えたことから「ゼブラパン」と命名されたそうで、サンドされた面から2つにわけ、クリームの面を上側にし、トーストすると更においしくなりますよ。
取材協力/オキコ
Takuma
インスタグラマー
都内のパティスリーやホテルのカフェを中心に巡り、その美しい写真と丁寧な文章にファンも続々。パティシエ界や編集長も注目のウフ。スイーツ男子部第一号
Instagram(@k.takuma.happy)
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