日々の身近な食べ物のひとつ、「パン」。一口頬張れば、ふわりと香る小麦の香り、じゅんわり広がるバター。たっぷりのジャムをつけてもいいし、好きなものをサンドしてもおいしい。それに、ごはんにもスイーツにもなるという万能さ…。
今回の記事の主役は、そんな魅惑の食べ物「パン」に魅了され、仕事にしている「パン野ゆり」さん。もともとモデルの彼女ですが、パンシェルジュの資格を取得し、パンのプロデュースやトークショーへの出演、ファッションブランドとのコラボなど、活躍の場をますます広げています。
多いときは1日10個以上も食べ、パンを「どんどん知りたくなる存在」と言うほど愛する彼女。パンを仕事にするまでの道のりやその想いについて聞きました。
パン野さんがこれほどまでパンを好きになった理由は、ズバリ“遺伝子”。お母さんがとにかくパン派だったのだそう。
「母がパン好きなので、実家のごはんに出てくる炭水化物はとにかくパン!朝食は味噌汁とごはんではなくスープとパン、カレーやシチューもバケットをつけて食べる家だったんです。私も物心ついたときからパンを食べていましたね。母は家でよく美味しいパンを焼いてくれて、ウィンナーロールが大好きでした!」
「『今日のパンは何?』が家族の共通の話題だったし、そうやって暮らしの中にパンがあったので、好きになったというより、当たり前の存在でした。
大人になって、周囲に『パンが好きなんだね』と言われて初めて『これって好きなんだ!』と気づきました(笑)たまたま見つけたパンシェルジュの資格を取得して、周囲の人にもパンの話ばかりしていたら、少しずつ仕事がもらえるようになって、今につながっているんです」
パン野さんが興味本位でパンシェルジュの勉強を始めたのは、10年ほど前。当時は特に「勉強して仕事にしよう!」と意図していたわけではなかったのだそう。
「たまたま立ち寄ったカフェの本棚に『パンシェルジュ検定』の本があって、ぱらっと見てみたら、その内容がすごく面白かったんです。パンの歴史や世界のパンがずらっと書かれていて、ワクワクしました。学校の勉強は全然好きじゃなかったのですが、パンの勉強は楽しくて。大人になって初めて『何かを学ぶって面白いんだな』って思えたんです」
「パンをきっかけにすると、何でも知りたくなる!」と気づいたパン野さん。それからは、色んなところに出かけるのが楽しくなったのだそう。
「パンを求めて色んな国に行きました!パンはどの国にもあるのに、文化によって発展した種類や製法が違うことがとっても面白くて。」
「例えば、イタリアの無塩パン(パーネ・トスカーノ)。その名の通り塩が入っていないパンです。塩気の強い煮込み料理や生ハムがある地方ならではですよね。私は小麦が好きなのでそのまま食べちゃいましたが(笑)」
また、パンを味わうだけでなく現地のパン屋さんと交流するのも大好きなのだとか。
「『このパンには何が入ってるの?』『何がおすすめ?』とか聞いてます。どうにか話がしたくて、パンに関するフランス語だけは覚えちゃいました!」と、なんと語学まで広がる偏愛っぷり。
「以前はパリでクロワッサン100個食べ比べの旅もしましたし、去年は同じくパリでバケット50個食べ比べの旅をしました。自作のノートに写真を張り、コメントを書いて記録しています。次はヴィエノワでチャレンジしたいです!」
幼少期からパンと共に育ち、今では仕事にまでになったパン野さん。今後チャレンジしていきたいことについてお聞きしました。
「パン好きを増やしていきたいです。具体的に言えば、パンに合うお花や器、飲み物、音楽など、パンと一緒に楽しめるものをぎゅっと集めた『パン×○○』のようなポップアップがしてみたい!パンをきっかけに新しい何かが楽しめる体験を伝えたいですね」
Photo/Yuko Chiba Writing/Nanako Maeda
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