カリカリのパン生地を齧れば、スパイス香るカレーがとろりと溢れ出す…。そんな魅惑のパンといえば、お惣菜パンの王者・カレーパン。ちょっとしたランチにもなるガッツリ系ですが、ファンの方も多いのではないでしょうか。
そんなカレーパン好きさんに一度味わって頂きたいのは、新所沢にある「ブーランジェリーキシモト」の「究極のカレーパン」。2019年、日本カレーパン協会主催の「カレーパングランプリ」で金賞を受賞したこのパンは、催事で1日1500個売れるというほどの人気っぷり。生みの親である店主の岸本シェフに取材し、その秘密をお届けします。
「boulangerie Kishimoto(ブーランジェリー キシモト)」は、新所沢駅から徒歩5分のところにあります。2013年にオープンし、今年で10周年。2020年には、現在のフランス風のスタイリッシュなお店へとリニューアルオープンしました。
まるでヘアサロンかブティックのようなお洒落な扉を開くと、店内には数々のパンがズラリ。フランスパンにお惣菜パン、クリームパンやデニッシュ、メロンパン、クロワッサン…と四方八方に陳列するパンは、パン好きにはたまらない魅惑の空間。
店主の岸本シェフが目指すのは、いい意味で「町から浮いたパン屋」なのだそう。「お客さんには、東京のお洒落な町にわざわざ足を運ばなくても、『新所沢でお洒落で美味しいパンが買えるんだ』と思ってほしいんです。キシモトでパンを買うことがステータスになってくれたら」と語る岸本シェフ。スペシャル感を出すために、フランスの店内を始め、ショッパーを鮮やかな黄色にしたりと工夫をしているのだそう。
店内の中央には、今回の主役である「究極のカレーパン」が。楽しいイラストのパッケージで、思わず目にとまります。「揚げたてが一番おいしいから」というシェフのこだわりで、一度に揚げる数は12個のみ、営業中はこまめに揚げたてを追加しているそう。
「究極のカレーパン」を実際に食べてみると、まず驚くのが“ガリガリッ”と食べ応えのあるパン生地! その後にとろ~りと、中から濃厚なカレーが溢れ出します。パン生地の中身はもっちりとしていて、カレーとの相性は抜群。実際に食べてみると食べ心地は軽く、1個を一瞬でペロリ。
外の生地はガリガリなのに、中身はもっちり。この不思議な生地は、岸本シェフの長年の研究から生み出したもの。
「パン生地の“ガリガリ”感を実現するために、パン粉は自家製。普通のパン粉だと砂糖が入っていて、時間が経つと生地がべちゃついてしまうからです。生地は米油で両面7分半、時間をかけてじっくり揚げていきます。
中の生地は、食パンに使う生地である湯だねを使うことでもっちりさせています。湯だねは柔らかいので、ほわっとしないように生地を固めにしこんだり、試行錯誤して今の形になりました」。
そんな看板商品の「究極のカレーパン」ですが、人気者になるまでの道のりは長かったそう。
「開業当時に人気だったのはメロンパン。それを超えるロングセラーを作りたいと思っていたんです。そこで、パン屋さんの人気者といえばカレーパンでしょ!と思い、考え始めたのがきっかけです。
外部のイベントで地道に揚げたてを提供し続けたり、カレーパングランプリを受賞してTVで取り上げられたり。少しずつ知名度が上がって、今では催事で1日1500個ほど売れるようにもなりました。何回も買いに来てくださる著名人の方もいて、嬉しい限りです」
中学生のころから料理人を目指し、漠然と自分の店を持ちたいと思っていたという岸本シェフ。研修先のレストランでパン作りに魅せられてから、埼玉県の大手ベーカリー「デイジイ」や横浜の「ボンヴィボン」で修業して独立したのだそう。
「とにかくパンが好きだし、『作ったものを食べて喜んでもらう』ことが好きなんです。パン職人はキツい仕事だと言われるけれど、特にやめたいと思ったことはないですね」と笑うシェフ。
「お店も今年で10周年。カレーパンもちょっとずつ人気者になってきたので、次は生ドーナツの専門店をやろうと目論んでいます。表参道のスイーツみたいな、華やかでお洒落なものにしたいですね」。
新所沢の新たな名物「究極のカレーパン」。いかがでしたか?アツアツの揚げたてカレーパンをほおばる至福のひととき、ぜひ体験してみてください。大人気のためお昼過ぎには完売してしまう日が多いので、午前中の来店をオススメします。
※取り置き&揚げたてを希望の場合はTELにて。
About Shop
Boulangerie Kishimoto(ブーランジェリーキシモト)
埼玉県所沢市緑町1丁目17−9
営業時間:8:00~18:00
※日曜のみ~17:00
定休日:月曜、火曜
@boulangeriekishimoto
Photo/Cream Taro Writing/Nanako Maeda
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