前回、大反響をいただいた特別企画「有名シェフが本気で選ぶ東京ベストスイーツ店2023スペシャル!」。その中身は、スイーツメディアufu.独自の視点で大賞を実施。そして推薦するのは、ジャーナリストやフードライターではなく、人気シェフ4名!という、全く新しい切り口に、スイーツ好きの方はもちろん、パティシエや製菓業界で働く方からも反響をいただきました。
今回はその“パンシリーズ”!!
大人気パン屋から3名の職人に依頼し、2022年、最も注目したお店やシェフを推薦していただきました。ますます高まるパンブーム。2023年はどんなお店が流行するか。そんな未来予想にも繋がる5店舗を紹介。パン好き必見です!
『TOLO PAN TOKYO(トロパン トウキョウ)』小林純平さん
2009年7月に東京都池尻大橋にオープン。田中真司シェフと、(旧)代表取締役の上野将人さんによって立ち上げたられたブランド『TOLO PAN TOKYO(トロパン トウキョウ)』。田中シェフの“お客様の半歩先を歩く、革新的で驚きに満ちたパン屋”を目指したパン作りは、独自性を生み、店舗販売だけでなく名レストランでも使用されるなど活躍の幅を広げている。
小林純平さんは、そんな田中シェフに認められた職人で、若干30歳にして『TOLO PAN TOKYO(トロパン トウキョウ)』を引っ張る若きリーダー。
『étéco bread(エテコブレッド)』梶原裕さん・夏子さん夫妻
行列のできるパン屋。カラフルで美しいパンが並ぶパン屋として、池ノ上の『étéco bread(エテコブレッド)』。パン職人20年以上の梶原裕さんと夏子さんの夫婦で運営。
選ぶ楽しさから毎日、違うパンを購入したくなる。そんな“定番がない”ことが定番の『étéco bread(エテコブレッド)』では、毎日何十種類ものパンが並ぶ。
梶原夏子さんはキッシュや焼き菓子を。裕さんは調理やブレッドを担当。最初のひと口目から、最後のひと口まで感動できるパンを目指すお二人。そのため、どのパンも具材がぎっしりと詰まっている。
『Yohei Miyaguchi』宮口ようへいさん
ベーグルと言えば、ニューヨークではワゴン販売で道端でも買えてしまうほど国民的なパン。そんなベーグルを全く新しいイメージで作り上げたのが、ブランド『Yohei Miyaguchi』。
『Yohei Miyaguchi』のテーマは“ラグジュアリー”。
元々、「AGEHA CLASSIC」の名前で全国のベーグルファンを沸かしてきた宮口ようへいさんの新たなブランドです。生産者、インフルエンサー、ジャーナリストなど、さまざまな人とコラボレーション・ベーグルを開発。各個性を表現した豪華なベーグルは、見て食べて、気分の上がるものばかり。
2021年3月にオープンしたばかりのお店『PARTENAIRE(パルトゥネール)』(大阪・都島)。シェフを勤めるのは30代というまだ若い2人。しかし、その腕は確かで既に多くの常連客が足繁く通う、知る人ぞ知るお店です。
そんな『PARTENAIRE(パルトゥネール)』の特徴は“ユニークさ”。
クロワッサンの2番生地を使い、ザクザクとした食感に仕上げた「クロッカンフリュイ」。自家製ソースにこだわり、ガリガリとした歯ごたえが自慢のパンから、はみ出るほどのソーセージがのったボリューム満点の「シポラタソーセージドッグ」など。美味しいパンであることはもちろん、更に美味しく、楽しく感じてもらうため力を入れるのが素材同士の“掛け合わせ”。『PARTENAIRE(パルトゥネール)』ならではの美味しさ探しに余念がありません。
小林さんが名前を挙げた理由とは?
パン業界で30歳というとまだまだ若い部類です。しかし、そんな二人がスタートした『PARTENAIRE(パルトゥネール)』は、パン1つを見ても伝わるほど、パワーを含んでいる。雑誌に多く掲載されるなど、その人気も確かです。
種類の多い中、特に僕が好きなパンは「KATHUO」。素材に合うよう、鰹節を練り込み和テイストに仕立てたパン生地、見た目もカツオの形をしていてユニークです。
彼らの満ち溢れたやる気で、これからさらにパン業界を盛り上げてくれそうだなと、期待しています!
About Shop
PARTENAIRE(パルトゥネール)
大阪府大阪市都島区都島北通1-18-2
営業時間:7:00~19:00
定休日:月
東京にあるシナモンロールが美味しいお店として知られる『TENERA bread & meals(テネラ ブレッド&ミールズ)』(文京区・千石)。店内にはバゲットをはじめハード系のパンから季節で変わるお惣菜系のパン、クロワッサンやスコーンなどが並びます。
オーナーを務めるのはパン職人の田中仁人さん。元々ファッションデザイナーとしてキャリアを築き、その後36歳でパン業界へ。『パーラー江古田』と『TOLO PAN TOKYO(トロパン トウキョウ)』にて修行後に独立を果たしました。
『TENERA bread & meals(テネラ ブレッド&ミールズ)』が目指すのは、食べる人にも生産者にも“良いパン”。生地は全て全粒粉を使用。食材は無駄が出ないようにとことん計算しています。
小林さんが名前を挙げた理由とは?
田中仁人さんの食への関心がパンにも表れていると感じます。お客様、同業者関係なく『TENERA bread & meals(テネラ ブレッド&ミールズ)』のファンはとっても多い。
自由な発想とこだわりを持って作られたパンはどれも美味しいのですが、1つを上げるとするなら「クロワッサン」でしょう。生地の折り方、焼成と日々進化している。バターの香り、塩気、食感どれも文句の言いようがありません。
『TENERA bread & meal(テネラ ブレッド&ミールズ)』の記事はこちら
About Shop
TENERA bread & meals(テネラ ブレッド&ミールズ)
東京都文京区白山4-37-37
営業時間:10:00~売り切れ次第
定休日:水、木、金
14世紀にはオーストリアのグラーツで、既にベーカリーとして営業していたといわれる『Hofbäckerei Edegger-Tax(ホーフベッカライ エーデッガー・タックス)』。店主は現8代目となるロベルト・エーデッガー氏。あのハプスブルク帝国の皇帝にゆかりを持つ由緒正しきお店です。
そんな『ホーフベッカライ エーデッガー・タックス』の日本上陸に貢献したのが京都店のオーナーシェフ野澤孝彦さん。ウィーン伝統菓子を専門とする菓子職人で、その腕は本場の味を熟知するロベルト・エーデッガー氏に認められたほど。
『ホーフベッカライ エーデッガー・タックス京都』では、ハプスブルク家王家御用達ベーカリーとして「ハンドカイザー」や「ザッハトルテ」といった、伝統的なパンやお菓子を昔ながらの手法で製造。さらに、オーストラリアの伝統に習った野澤シェフオリジナルのラインナップも。グラーツ本店とは異なる京都店の個性を創り出しています。
宮口さんが名前を挙げた理由とは?
『ホーフベッカライ エーデッガー・タックス京都』は正に“クラシック・ベーカリー”。ライ麦パンひとつとってもその秀逸さが伺えます。
中でも僕が好きなのは「ローレン(コロネ)」。パイ生地のようなサクサクのデニッシュ生地に上品なクリームがたっぷり詰まっています。その完成度の高さは、まるで高級なクラシックスイーツ。贅沢なティータイムを演出してくれます。
About Shop
Hofbäckerei Edegger-Tax京都(ホーフベッカライ エーデッガー・タックス キョウト)
京都府京都市左京区岡崎成勝寺町3−2
営業時間:10:00~18:00
定休日:水、木
東京の街の真ん中で唯一、パンを薪窯で焼くお店。『パン屋塩見』の真骨頂はそんな薪窯でしか出せない香りと、食感。お店のメニューは食パンとカンパーニュのみという、先鋭的なパン屋です。
そんな『パン屋塩見』のオーナーシェフ塩見聡史さんは、天然酵母(自家培養発酵種)で作る老舗パン屋としても知られる富ヶ谷の『ルヴァン』で修業を重ねました。
沖縄にある日本随一のパン屋『宗像堂』にて、パン職人として自分が目指すべきスタイルを発見した塩見さん。現在の『パン屋塩見』が、経験豊富な職人でもコントロールが難しいとされる薪窯を使い、パンの美味しさを追求し続けるのも、ひとえに『宗像堂』での経験があったからこそです。
自家培養発酵種ならではのほのかな酸味と、鼻腔を通る芳ばしさ。シンプルだからこそ感動できる「食パン」と「カンパーニュ」はどちらも必食です。
梶原さんが名前を挙げた理由とは?
まず、とにかくパンが美味しい。シンプルながら対照的な特徴をもつ2つのパン。それをここまで焼き分ける技術が素晴らしいと感じます。
そして、塩見さんのスマートな意思表現が詰まっている。「食パン」は1度食べると、また食べたいという欲に駆られます。その原始的な味わい、薪窯の風味。その無駄のなさは、良い意味で万人受けする美味しさです。
常に同じ味を目指さず、『パン屋塩見』としてベストの味を表現されている。まるでアーティストのような、塩見さんが持つ根本たる考えを感じずにはいられません。
About Shop
パン屋塩見
東京都渋谷区代々木3丁目9−5
営業時間:12:00〜18:00 ※売り切れ次第閉店
定休日:水・木・第1・3火曜定休
まるでサンフランシスコのカフェのように開放的で、ウェルカムな雰囲気を醸し出す『Parklet bakery (パークレット ベーカリー)』。店内では、美味しいパンはもちろん、食事やナチュラルワインを楽しむことができます。
本場の空間と味にこだわりを持つ『Parklet bakery (パークレット ベーカリー)』。2002年創業以来、サンフランシスコで人気を誇るベーカリー『Tartine Bakery(タルティーンベーカリー)』の経営に携わったKate Jaksichさんと、サンフランシスコの食材を使ったハイブリット料理カリフォルニアキュイジーヌを確立したお店『Chez Panisse(シェパニース)』で経験を積んだJerry Jaksichさんが監修。カリフォルニアの伝統的なカントリーブレットが人気です。
梶原さんが名前を挙げた理由とは?
世界中から様々なハイクオリティのコトやモノが集まる東京。そういった意味で『Parklet bakery (パークレット ベーカリー)』は凄く東京らしいお店です。ブランディングにも優れていて、個人のもつセンスともバランスが取れている。とても居心地のいいお店です。
僕のお気に入りはやっぱり、定番のカントリーブレット。パクパクと食べやすく、お店でオープンサンドとしても楽しめます。
サワー系が苦手な方でも食べやすいと思いますよ。ちょっぴり、余計なお世話かもしれませんが。笑
About Shop
Parklet bakery (パークレット ベーカリー)
東京都中央区日本橋小舟町14−7 ソイル日本橋 1階
営業時間:8:30~18:00
定休日:なし
いかがでしたか?
人気の絶えないパン屋・パン職人が選ぶお店は、どれも個性のあるものばかり。種類の多さ、パンの焼き方、オリジナルな歴史、生活そのものを見直す考えなど、千差万別の強みを持っています。
同時に、伝統的な食材や手法、古くから大切にされてきた健康意識。さらには歴史そのものに価値を見出すなど、“伝統”を現代に昇華する考えが主流となっている様子。2023年も進化し続けるパン業界に注目が集まります。
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
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