ufu(ウフ)スイーツがないと始まらない。

【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界Vol.20】マカロンは、作るのが難しいって本当!?

スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は意外と知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。前回の作るのが難しいスイーツに続いて、今回は「マカロン作りは難しい」説について、大澤シェフに聞いてみました。

特殊な技術が必要なマカロン作り!

「マカロンがほかのスイーツよりも突出して難しいかどうかは、前回お話ししたように作る人の思いや手間のかかる工程を大変だと思うのかどうかによって違ってきます。でも、マカロンに関して1つだけ言えることは、マカロンを作るには特別な技術が必要なんです」と大澤シェフ。

特別な技術!?…。

マカロンといえば、カラフルで愛らしいフォルムが人気のスイーツ。サクッとした表面の食感と生地の甘さに加え、サンドしたガナッシュやジャムの甘さがさらに加わって、見てもきれい、食べても美味しい。

でも、そのシンプルな見た目とは裏腹に、とても手の込んだ繊細なスイーツでもあるようです。

マカロン作りの要、マカロナージュ!?

「マカロンづくりの要は見極めなんです」と大澤シェフ。

「マカロンはメレンゲをしっかり泡立ててそこに砂糖、アーモンドプードル(パウダー)を混ぜて生地を作ります。生地を混ぜ込んでその固さ調整するのですがそこが難しいのです。

この作業を『マカロナージュ』と言います。一般に混ぜ合わせていく作業はメランジュと呼ばれているんですが、同じ作業であってもマカロンを作るときだけは『マカロナージュ』という言葉が使われます」

マカロナージュとは、マカロンを作るときにだけ使われる言葉なのだそう。

「生地が膨らむのは、中に気泡が入っているからなのですが、マカロナージュはこの気泡を小さく潰しながら均一化していく作業なんです。その加減をどこで見極めるのか。そこが難しい。気泡が均一化して乾燥させることで初めて、あのつるんとした表面の質感が得られるのです」

マカロナージュはやり過ぎても足りなくてもダメ!

「マカロナージュが足りないと、つるんとした表面にならず、焼き上げたあとに表面がひび割れてしまう。逆にマカロナージュをやり過ぎてしまうと、生地が乾きにくく、膨らみも足りない。中に空洞ができてしまうことも。

そしてやり過ぎても足りなくても、共通して言えるのは、マカロンの特有の形状である『ピエ』が出ないんです」

マロカンに欠かせない「ピエ」って?

「マカロンの完成形を想像してもらうとわかると思うのですが、ドーム状の膨らんだ下のほうに小さなヒダヒダがありますよね。あれは『ピエ』と呼ばれるもので、マカロンにとっては欠かせないものなのです。

マカロナージュが足りないとこのピエが出ないんです。だからと言ってやり過ぎてしまっても出ない。…難しいんですよ(笑)。

1つだけコツがあるとすれば、混ぜ込んだ生地を垂らしたときにリボン状に落ちていればいい感じになっていると思います。柔らかすぎるきれいなリボンにはなりませんし、逆に堅いとボテっと落ちたりちぎれてしまいます」

ピエが出る=上手にマカロンが焼き上がっている証だと大澤シェフ。ピエがきれいに出るようになるためにも、マカロナージュはとても重要で、かつ難しい作業でもあるのだと。

マカロンの周囲のヒダヒダは、おまけのような感じがしていましたが、あれこそがマカロンが上手に仕上がっている証だったのですね。

一口で食べてしまうにはもったいない…。

教えてくれたのは…

パティシエ:大澤智弥さん

専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。

ウフ。

ウフ。編集部スタッフ

メンバーの記事一覧

スイーツがないと始まらない。 スイーツ好きのための情報メディア。全国の素敵なスイーツ情報を発信していきます。