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【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界Vol.17】クレープは日本とフランスで食べ方が違う?

スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は意外と知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。今回は人気のスイーツ、クレープ! 本国フランスとは少し違った魅力を持つクレープの歴史と人気を深堀りします。

甘いクレープって日本独特のものなの!?

「クレープ」と聞いて、多くの人たちが想像するのは生クリームやチョコレートソース、アイス、そしてフルーツなどが入ったスイーツですよね。でも、そのクレープってそもそもどのこの国で生まれたものなのでしょう。

「クレープはフランス発祥の料理です。フランスでも甘いスイーツ系のクレープはもちろんあるんですが、食事系のものが比較的多く、日本のように必ずしもクレープ=スイーツではないです」と大澤シェフ。

また、フランスでは日本のように巻き紙で包んで食べるよりも、薄く焼いたクレープの上に甘いものやおかず系のものを乗せて食べるのが一般的なスタイルと言います。

クレープの原型は蕎麦粉を使ったガレット!

そもそもクレープはフランスのブルターニュ地方発祥の料理で、パンケーキの一種として誕生したと言われています。ベースになったのは同じブルターニュ地方発祥の料理として日本でも知られているガレットです。ガレットは蕎麦粉を使って薄く焼いた生地に、卵やハムなどを乗せた料理で、ガレットの代用として小麦粉を使ったクレープが広まったとも言われています。

蕎麦粉で作られたガレットは、生地に塩気があるためスイーツではなく料理として食されていましたが、クレープは小麦粉で作られることから、薄型のパンケーキとしても定着して、甘い物を添えて食べることが徐々に増えていったとも言われています。

日本でも古くからクレープはフランス料理のデザートとして提供されていた歴史があり、古くは1930年代に帝国ホテルのレストランのメニューに記載されていたそう。また、1960年代には百貨店でも売られるようになりました。

では、今のようなクレープ=手軽なスイーツとして定着したのは、いつごろのことなのでしょう。

画期的な店がオープンして開花した日本クレープ文化!

今ではバラエティに富んだメニューがそろっている日本のクレープ

「日本では、今はワンハンドの巻き紙タイプのクレープが当たり前のようになっていますよね。あれは、マリオンクレープの社長さんが考案したものです」と大澤シェフ。

クレープといえば、マリオンクレープ!と言っても過言ではないくらい、クレープの代名詞にもなっています。

「日本独特のスタイルじゃないですか!? 凄いですよね」

マリオンクレープが今の日本独特のクレープ文化を作り上げたのだと。

1970年代に東京・渋谷で生まれたマリオンクレープは、クレープを専用の巻き紙に包んで提供。オープン当時は生地にジャムやカスタードを塗っただけのものが、今のように生クリームやアイス、フルーツを挟むようになったのは、お客さんからの要望に応えたと言われています。

ここから日本でのクレープ人気は急増。手軽さ、見た目、味など、さまざまな要素が加味されてクレープは人気スイーツとして定着しました。

クレープ=巻き紙タイプは、今でこそ当たり前のスタイルになっていますが、そこにはこんな歴史があったのですね。

教えてくれたのは…

パティシエ:大澤智弥さん

専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。

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