スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。お菓子のヒミツや、業界にまつわる裏話も深堀りします。
第5回目のテーマは生クリームとホイップクリームの違い。似ているけど実はこ~なんにも違っていた!
「生クリームは生乳のみで作られているクリームのことで、いわゆる動物性のクリームのこと。一方のホイップクリームはその生クリームに植物性油脂を加えて生成したクリーム、または植物性油脂のみで生成されたクリームのことなんです」と大澤シェフ。
「スイーツによって使い分けされるのはもちろんですけど、より高い完成度や見た目の見地から、最近は純粋な生クリームだけを使うのではなく、植物性油脂を加えて作ることも多くなってきているんです」
そもそも生クリームの定義は、生乳や牛乳から乳脂肪分以外の成分を抜いて「乳脂肪分18%以上」にしたものなのだそう。
「生クリームは乳脂肪分がどれだけ含まれているかによって、使い分けされています。出来上がりの口当たりや甘さが違ってくるんです。
たとえば、甘さ控えめで口当たりの良さを求めるなら、乳脂肪分は低いほうが適しているんです。最近は、そういうさっぱりした生クリームが好まれる傾向がありますよね。ホイップクリームは、どちらかという少し重めで、独特な味わいがあります。
ただ、同じ生クリームでも乳脂肪分が高くなると、味わいや風味が強くなるんです」
乳脂肪分の高い低いで扱い方は違うものなのですか?
「ぜんぜん違いますね。生クリーム使うときは総じて立てて(泡立てて)使うことが多いんですけど、乳脂肪分が高いと立ちやすく成形もしやすいのですが、すぐバサバサになってしまう。
逆に乳脂肪分が低いものは、立ちが弱いんです。油分の抵抗力がないため、すぐにとろとろになってしまう。どちらも作業性は凄く大切で難しいですね」
「動物性油脂の生クリームと植物性油脂のホイップクリームに対して、その中間的なクリームもあるんです。それがコンパウンドクリームです。動物性油脂と植物性油脂を合わせて作られたクリームで、厳密には、乳脂肪の一部を植物性の脂肪に置き換えたものなんです」
そんなにいくつもクリームって必要なんですか?
「やっぱり用途によって、それぞれのクリームの良さを引き出したお菓子、ケーキがありますね。例えば、クリームの真っ白な色を大事にしたいと思ったら、生クリームだけでは、一時的に白さは出ても時間の経過で黄味がかってしまう。そこに植物性脂肪が入ることで色も形も安定するっていうこともあるんです。
味はもちろんですけど、今は見た目の大切さを考えて作るスイーツが多いですからね。それぞれのクリームのよさを生かしたスイーツ作りが喜ばれているんだと思います」
パティシエ:大澤智弥さん(プロフィール)
専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。Ufu専属パティシエ。
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