スイーツの世界はフランス語の用語も多く、詳しくわからないことが多いですよね。新連載「パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界」では、現役パティシエ・大澤智弥氏にお菓子についての素朴な疑問や、その業界にまつわる話を教えてもらいます。
第2回はフィナンシェとマドレーヌについて。どちらもバターの風味と香りが食欲をそそる極上かつ親しみのあるスイーツ。いったいなにが違うの?
フィナンシェとマドレーヌ、ズバリ何が違うんでしょうか?
「どちらも基本的な材料は薄力粉と砂糖、卵、バターで作られています。見た目で言えば、シェル形のフォルムがかわいいのがマドレーヌで、金塊というか金の延べ棒のような形をしているのがフィナンシェです」と大澤シェフ。
「大きな違いは、同じ卵を使うにしても、マドレーヌは全卵を使うのに対して、フィナンシェは卵白のみなんです。またバターの使い方もフィナンシェは焦がしバターを使います。お店によってはマドレーヌにも焦がしバターを使うことがあるんですが、定義としてフィナンシェは必ず焦がしバターを使っています」
逆に焦がしバターを使わなければ、フィナンシェとは言えないのでしょうか?
「そうですね。それにフィナンシェはアーモンドパウダーを使うのも大きな違いです」
全卵を使うのと卵白だけ使うことで、どんな風味や違いが現れるのでしょう。「全卵を使うマドレーヌはふわっとした仕上がりになります。一方の卵白だけを使うフィナンシェはアーモンドパウダーをさらに使うことでサクっとした食感とじゅわっとした重厚さがあります」
「作り方は材料を混ぜ合わせるだけでシンプルなのですが、バターを焦がさなくてはいけない分、マドレーヌに比べてひと工程の手間がかかるのがフィナンシェです」
「マドレーヌは、溶かしバターを使うことで、バターの風味や香りがダイレクトに伝わります。そのため食材として、バターにこだわりを持つことや全卵を使うことからも卵そのものにもこだわるお店が多いと思います」
「バターを焦がして使うフィナンシェは見た目が少し濃い茶色がかっている感じに仕上がります。一方のマドレーヌはそこまで濃くはなく、どちらかという明るいブラウンかイエローっぽい爽やかな感じの見た目になります」
「フィナンシェの形には由来があって、『フィナンシェ型』と呼ばれる金型で作られています。そもそも『フィナンシェ』はフランス語で金融家を意味し、色や形が金塊に似ていることでそのネーミングがついたと言われています。
なので、フィナンシェは材料や作り方のこだわりはもちろんなのですが、この形を守ってこそ、この形だからこそフィナンシェだ、とも言えるんです」
パティシエ:大澤智弥さん(プロフィール) 専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」など経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。
ウフ。
ウフ。編集部スタッフ
スイーツがないと始まらない。 スイーツ好きのための情報メディア。全国の素敵なスイーツ情報を発信していきます。
注目記事