「レモンケーキ」というお菓子が、日本のお菓子であることを皆さんはご存知でしょうか? 昭和生まれのレモンケーキは、現在パティシエたちによって様々な手法で新しく、さらに美味しく生まれ変わっています。
そんなレモンケーキをメインにSPOTを当てた特集がスタート。スイーツメディアufu.が提案する新特集のテーマは「愛しなつかしれもん菓子」。日本の生産者さんたちがこだわって育てた最高の果実「レモン」を使ったお菓子の魅力からレモンケーキの発祥、また懐かしいレモンパイまで、幅広くお伝えしていきます。そして本特集の表紙を飾っていただけるのは、狛江にあるレモン菓子専門店の「レモンノキ」のレモンケーキ。美味しさだけではなく、地域に根差すレモンケーキの魅力をお届けしていきます。
東京都狛江市、お店があるのは最寄り駅の狛江駅からは徒歩16分ほど。東京でありながらも穏やかな空気が流れるこの地で、「レモンノキ」はコロナ禍真っ只中の2021年にオープン。
「地元に愛される店にしたい」と話すのはレモンノキの店主。狛江という地で、まるでレモンの木が根づいて花を咲かせるように、地元の方々に喜んでもらえるような、そんな想いがお店に込められています。
お店がOPENしている時は、入り口にレモンが並びます。営業は月に数回のみ。不定期での販売になるため、事前にInstagramでの告知情報を事前にチェックするのがベター。
お店の外には、みずみずしいレモンが。中へ入ると、焼き立てのレモンケーキが並びます。またレモンそのものも購入することが可能。
使用しているのは、無農薬はもちろん合成肥料なども使わない安全でこだわった国産レモンのみ。主に広島県の瀬戸田レモンを使用しているんだとか。レモンが旬である11月~6月のみの営業で、夏の間は「レモンノキのアイス」としてアイスとレモネードを販売しています。
中でも「レモンノミ」というレモンケーキには、その小さな実の中にレモンに魅了された店主のこだわりとレモンへの“好き”がギュギュっとつまっています。
様々なレモンケーキを試食し、数えきれないほどの試作を繰り返し、完成したレモンケーキ。「レモンノキの実りを皆さまにお届けしたい。」そんな想いを込めてつけられたそう。
コロンっと形もかわいいシンプルな見た目。ひと口頬張れば、じゅわっと広がるレモンの果汁感は、まるでレモンを丸かじりしているかのよう。思わず笑みが出てしまう、その美味しさの秘密はフランス菓子の技法を取り入れているところ。“日本のお菓子”である小さな、小さなレモンケーキに店主の今まで培った技法をすべてつめこんだんだとか。
店主「フランスの伝統菓子であるウィークエンドシトロン、それを昔ながらの日本のお菓子であるレモンケーキを掛け合わせて作ったら面白いんじゃないか。そう考えて誕生したのがこのレモンケーキです。シロップの温度管理にもこだわりがあります。
レモンノミの生地には北海道の生クリームを練り込んでいて、しっとりとほどけるような食感に仕立てました。またひとくち目からレモンの果実を感じていただきたくて、レモンノミの仕上げはコーティングをせずレモンシロップのみ。シンプルに仕上げています。」
「レモンノミ」は当日焼き上げた、包装しない焼き立てと、日本のレモンケーキらしくキャンディ包みにされた包装タイプの2種類が。この包装紙も、数多くの紙を取り寄せてこだわり抜いて選んだんだとか。
「焼き立ては、ぜひ帰り道に頬張って食べてください」と店主。焼きたてならではの風味と、食感はよりその美味しさに感動させられます。
店内でパッと目につくショッパー。大中小3つのショッパーがつながったデザインは、デザイナーの関本明子さんがデザイン。店主がどんなお店にしたいか、レモン菓子を関本さんと一緒に食べながら打ち合わせを繰り返し、さらには狛江のレモン畑まで一緒に訪問すること約1年間。こうして誕生したのがこのトゲトゲのデザイン。レモンの木のトゲを表現していて、このトゲにも店主の想いが隠されていました。
店主「レモン農家さんを訪問してみると、レモンの実を獲るときに上の根の切り方を教えていただきました。ギリギリを切りすぎてしまうと、香りが飛んでしまう。かといって出すぎると、レモンの木はトゲがあるので、レモン同士傷をつけてしまい、そこから傷んで鮮度も落ちてしまいます。そんな細かい部分に気を使いながらも、凄いトゲのある中で農家さんは次々と収穫していきます。そこまで丁寧に考えて収穫してくださったレモンを使わせていただいているんだなと感慨深い体験でした。
一つのレモンにも届ける人の想いがつまっている。だからこそ、大事にしようと思い、このレモンケーキを日々焼いています。」
ギフト包装紙は、レモンのカタチをしたシールと、狛江の土地のカタチをしたシールの2種類から選ぶことができます。また狛江でとれる、「狛江レモン」を使った狛江レモンケーキも時期や収穫量によって販売しています。
もともとこの狛江レモン、農家さんとの人脈も当初はなかったそう。狛江市の農作物を売っているところがあり、冬に見つけたのがこの狛江レモン。レモンの生産者の名前があり、市役所にいって連絡先を聞き、つないでいただいたんだとか。そこにも店主と農家さんのとの間に、ほっこりするようなエピソードが。
「俺のレモン、いつお菓子にしてくれる?」そんな農家さんとのやりとりから生まれる、狛江レモンケーキ。とれたてのみずみずしさがあり、その魅力ももぎたてだからこそ。美味しさだけではなく、人と人とが紡ぐ美味しさのエピソードがこの「レモンノキ」にはありました。これからも狛江という地に根差し、毎年花を咲かせて地元の人を笑顔にしてくれるはず。
About Shop
レモンノキ
東京都狛江市和泉本町3丁目33−17
営業日・営業時間は公式instagramをご確認ください。
Photo/Tomoya Uehara
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