バターサンドブランド「(NO) RAISIN SANDWICH(ノーレーズンサンドイッチ)」の1号店が3月10日(月)、JR東京駅構内の「グランスタ東京」内にオープン。
このブランドを会社化し、代表をつとめるのはフードエッセイスト・フードディレクターである平野紗季子さん。商品開発、イベントの企画運営など食を中心に幅広く活動する。2024年には『ショートケーキは背中から』(新潮社)を出版し話題に。そんな平野さんが大事に大事に育ててきた、「(NO) RAISIN SANDWICH(ノーレーズンサンドイッチ)」待望の第一号店。一足先にお店に伺わせてもらうことに。
お店があるのは、東京駅グランスタの1階。人通りも多く、JR線で乗り換える人や新幹線でこれから旅に出かける人にとって、魅力あふれるお土産ストリートにオープン。“特別な空間にしたかった”という平野さんの想いのこもった店舗は、とってもチャーミングで、東京駅を通るたびに、無意識のうちに吸い込まれていきそうなお店だ。
“きゅっ”としたカーブがかわいいショーケースには、バターサンドブランド「(NO) RAISIN SANDWICH(ノーレーズンサンドイッチ)」の商品が。また東京駅限定メニューもあり、身近に買えることがとっても有難い。
定番のバターサンドブランド「(NO) RAISIN SANDWICH(ノーレーズンサンドイッチ)」のレーズンサンドが動く看板として壁にあり目を引く。そして手で一つ一つ職人が手作業で色付けをしたというタイルは、あえて隙間の余白が活かされたデザインに。
さらにそのタイルがあるカウンターにサプライズが。なんとオリジナルグッズのガチャガチャがある。500円で楽しめるという。実際に回してみると、グッズが出てくる仕組み。このガチャガチャを回す取っ手は昭和生まれなら誰しもが経験しているであろう、あの懐かしい駄菓子屋さんやおもちゃ屋さんのものだ。お菓子売り場でガチャガチャ、この発想は平野さんならではだ。
ステッカーやアクリルのキーホール、缶バッチと、ワクワクが詰まったオリジナルのグッズになっている。
今回大きな注目が、左手の大きなショーケース。新たに開発したグランスタ東京店限定商品「キャラメルバターサンドイッチ」(2個入780円~)を展開。
ボックスの中には、発酵バターのサブレに、濃厚なバニラキャラメルと果実味あふれるレーズンが溶け合う「レーズン キャラメルバター サンドイッチ」と、クーヴェルチュールチョコレートを使用し、紅茶ミルクキャラメルとアプリコットが層を作り出す「ショコラアプリコット キャラメルバターサンドイッチ」の2種。
アイコンとなる、愛くるしいこのくまは「キャラメルくまちゃん」。ぬいぐるみ作家「mailey parlor(メイリーパーラー)」のむらたまるさんにオリジナルで作ってもらったそうで“レーズンサンドに新しくキャラメルくまちゃんが合流したよ”というコンセプトだ。
なぜキャラメルだったのか? 伺うと・・・。
平野さん「キャラメルがチョコレートやバタークリームに溶け合う瞬間って、夢見心地そのもので。一瞬現実さえ忘れてしまう。そういうドリーミーな力をは常々感じていたので、ぜひキャラメルを主役にしたお菓子を作りたいと考えていました。」
実際に筆者も食べてみることに。
たしかに一口食べて感じる、とろけるキャラメル。口の中で混じりあう夢と希望の甘さ。喉を通れば、余韻という楽園の浸れて“美味しさ”ってこういうところにあるんだと再確認できるようなキャラメルサンド。
新しい挑戦が止まない平野さん。今回の立上げへの想いと、ブランドについてお話を詳しく伺うことができた。
そもそも「ノーレーズン」とは何か? そのチャーミングなネーミングの通り、レーズンが入っていないこと。子どものころからレーズンが嫌いだったという平野さん。だからこそ、お土産や特別な時のとっておきのお菓子でもあったレーズンサンドに憧れ、そこからレーズン嫌いの人でも楽しめるお菓子を作ろうと誕生したのが「(NO) RAISIN SANDWICH(ノーレーズンサンドイッチ)」。
季節の果実をはさんだ「ノーレーズンサンド」と、レーズンが入った「イエスレーズンサンド」の2つが入っている。
平野さんの「こんなことしたい」の空想から始まり、少しずつ形になっていき、最初は手売りで販売をするなど、地道な活動を続けてきた。その後はオンラインストアや百貨店での販売、近年はピエール・エルメ氏とのコラボレーションでも話題に。平野さんが描く夢の1ページは、物語として大きな広がりを見せた。
なぜ東京駅を選んだのか? その理由を伺うと・・・。
平野さん「子供の頃から大きな駅で買うお菓子は、近所のお菓子屋さんとは違う特別な存在でした。帰省の時に出会えて、久しぶりに会う大好きな親戚たちと分け合って食べる。そこにはお菓子の先にいつも笑顔や大切な時間があって、いつしか思い出の味になっていたんですよね。
誰かの思い出の味になれるって、菓子屋としてはこれ以上ない誉れだと思います。東京駅という、たくさんの方々の往来を引き受ける場所に出店することは、誰かの人生の記憶に寄り添えるきっかけを頂いたってことなんだと思っています。そんな存在にいつかなれるように、願いを込めて、ショッパーにも“SWEET”と“MEMORY”と書きました。」
“平野さんにとって、次なる一ページとは何ですか?”
平野さん「レーズンサンドがiPhoneの絵文字になることです(笑)。実はレーズンサンドって日本生まれの洋菓子。まだ海外の方々に知られていない存在です。もっともっと世界的にポピュラーでアイコニックな存在になっていったらいいな、この東京駅を通じて広まって欲しいなという想いも込めて。」
平野紗季子さんとは久しぶりの対面だった。筆者にとって平野さんは、物書きという共通点、ともにお菓子のブランドを持っているという共通点がある。そんな中で彼女の描く世界の深さ、そして彼女を支える多くの人たちの姿がはっきりと見える。
クリエイターであり、職人でもある。そう感じた。新しい文化を作っていく人の熱いハートをぜひ応援したいし、私自身も見習って、彼女のようになりたいと強く思い刺激される取材デーでした。
第一号店となる東京店、3月10日いよいよオープンです。
About Shop
「ノーレーズンサンドイッチ グランスタ東京店」
オープン日:2025年3月10日(月)
場所:東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本 東京駅構内「グランスタ東京」1F 吹き抜けエリア
※駅改札内になります。
営業時間:8:00~22:00(月~土)、 8:00~21:00(日・祝日)
※翌日が休日の場合は、22:00まで営業。
※繁忙期、3連休等は営業時間に一部変更がある場合あり。
※営業日はグランスタ東京に準ずる。
Writing/坂井勇太朗(ufu.編集長)
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