現役のパティシエ・大澤智弥氏がスイーツに関する素朴な疑問や隠されたヒミツ、業界にまつわる裏話などをたっぷり教えてくれる当連載。今回はブラウニーとチョコレートテリーヌの違い!
前回のガトーショコラとフォンダンショコラとも共通点が多く、今回はそのガトーショコラとフォンダンショコラも交えながら、2つのスイーツの違いを大澤シェフにじっくり語ってもらいました!
ガトーショコラ、フォンダンショコラ、ブラウニー、チョコレートテリーヌ……これらは、広義でどれもチョコレートケーキです。
ガトーショコラとフォンダンショコラ、チョコレートテリーヌ(ショコラテリーヌ)はフランス発祥のチョコレートケーキで、ブラウニーはアメリカ発祥のチョコレートケーキと言われています。
同じチョコレートケーキなのに、では何が違うのでしょう。
「同じチョコレートケーキでも見た目や食感、そして材料や作り方が異なっているのがこの4つで、いちばんわかりやすい違いで言うなら、その食感=硬さでしょうか」と大澤シェフ。
硬さからの順番で記すならブラウニー、ガトーショコラ、フォンダンショコラ、テリーヌとなるのが一般的と言われています。ただし、「硬いやわらかいだけの違いではこの4つを分けることはできない」とも大澤シェフは言います。
違いの目安のひとつとして「硬さ」があり、そこには小麦粉の有無や配分など、いくつかの理由があるようです。
「ブラウニーは、4つの中では一番小麦粉の量が比較的に多く、全卵を生地に混ぜ込んで作ります。そこにくるみやナッツを入れることもあります」と大澤シェフ。
ブラウニーは、英語の「Brown(ブラウン)」から来ていると言われていて、アメリカ発祥の人気スイーツです。
「ガトーショコラとの比較で言えば、材料こそブラウニーとガット―ショコラはほぼ同じでも、小麦粉の量がガトーショコラはやや少なく、さらに卵白をメレンゲ状にして混ぜ込んで作る場合もあり、しっとりした食感が残ります。それに対してブラウニーは、歯ごたえのあるずっしりとした食感が特徴です。
この2つに比べてフォンダンショコラは少しなめらかでやわらかな食感になります。小麦粉はほとんど使わず、チョコレートのみで作ることが多く、そのためブラウニーやガトーショコラの重厚感よりも、柔らかくなめらかでチョコレートの濃厚な味わいを楽しめるスイーツです」
「4つの中で一番やわらかく、もっともチョコレートの風味が濃厚に味わえるのがチョコレートテリーヌです」と大澤シェフ。
「チョコレートの含有量が一番多いのがこのチョコレートテリーヌです。またチョコレートテリーヌも小麦粉は入らないことが多く、溶かしたチョコにバターを混ぜ合わせ、そこに卵、砂糖を加えて焼き上げます。それを一旦、冷却してから食べるのがチョコレートテリーヌの特徴です」
テリーヌは、フランス語で容器を指す言葉で、テリーヌ型の調理容器にはめ込んで作ることからチョコレートテリーヌ(ショコラテリーヌ、テリーヌショコラ)と呼ばれています。
そのまま食べてもおいしいチョコレートを、よりおいしく、より濃厚にして、チョコの風味と香りを引き立てて食べるのがチョコレートテリーヌです。
ガトーショコラ、フォンダンチョコラ、ブラウニー、チョコレートテリーヌ…どれもチョコレートをよりおいしく食べるために、先人たちが手間暇をかけ、創意工夫されたちょっと贅沢なチョコ―レート菓子と言えますね。
パティシエ:大澤智弥さん
専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。
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ウフ。編集部スタッフ
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