スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は意外と知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。今回は、生クリームとバタークリームの違いについて。ケーキに使い分ける理由って何かあるの? 教えて、大澤シェフ!
今、ケーキに使うクリームと言えば生クリームが主流です。でも、「ケーキと言えばバタークリーム!」という時代があったのです。いつの間にか逆転? そこには何か特別な理由があったのでしょうか。
「確かにそういう時代もあったみたいですが、僕が子どものころには、もう生クリームが主流でした。バタークリームを使ったケーキのほうがむしろ少なかった印象です」と大澤シェフ。
今の20〜30代の人たちにとっても「?」と思うかも知れません。ある時代までは、ケーキと言えば、使われていたのは概ねバタークリームでした。今、「懐かしのバタークリームケーキ」として、レトロ感覚で再注目されているのが、その証拠。
どうして昔はバタークリームで、今は生クリームが主流になったのでしょう。
「生クリームも古くからはあったのですが、今ほどの種類や加工する技術もなく、難しい素材で、使いづらかったのだと思います。その点、バタークリームは成形もしやすく、何より日持ちがしたこともあって重宝されていたのだと思います。
ただ、時代とともに生クリームの質や加工の技術が上がってきて、種類も豊富になったことで使いやすくなってきた。それに近年のヘルシー嗜好も影響していると思います」
そもそもバタークリームと生クリームの違いは何なのでしょう。
「バタークリームは、名前のとおりバターを使い、卵・砂糖・牛乳などを加え、混ぜ合わせます。硬めなのでデコレーションを作るのに適しています。またバターのコクと風味が強く、ケーキはもちろん焼き菓子にもサンドして使われることもあります。
生クリームは、生乳の乳脂肪分を遠心分離して取り出したものに砂糖などを混ぜ合わせて泡立てたもの。ミルクそのものコクと風味があり、とても滑らかで口溶けがよいのが特徴です。バタークリームとは違って泡立ての硬さを調整することで、使い方のバリエーションが広がります」
一方のバタークリームの特徴のひとつはカラフルな色あい。生クリームとは違って、着色料などを使って簡単に色つけができるためデコレーションに最適。
SNSで話題になっている韓国のセンイルケーキもカラフルに色つけされたバタークリームをふんだんに使っています。誕生日(=センイル)ケーキとして韓国では定番のケーキですが、鮮やかなカラーリングがインスタ映えすることで、今、日本でも注目されています。
どちらが使いやすくてどちらかが使いにくいということではなく、作る焼き菓子、ケーキによって使い分けていくもの。生クリームでなければおいしく作れないケーキもあれば、センイルケーキのようにバタークリームでなければ、華やかに作れないケーキも。
「フランスの伝統的なブッシュ・ド・ノエルも、バタークリームでなければ作れないケーキの一つです」と大澤シェフ。
このケーキにこそ合うクリーム! そんなケーキに出会いたいですね。
パティシエ:大澤智弥さん
専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。
ウフ。
ウフ。編集部スタッフ
スイーツがないと始まらない。 スイーツ好きのための情報メディア。全国の素敵なスイーツ情報を発信していきます。
注目記事