スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。
お菓子のヒミツや、業界にまつわる裏話も深堀り。今回は普通のバターと発酵バターの違い、発酵バターのおいしさの秘密、使い分け方などを聞いてみました。
「発酵バターと普通のバターの違いは、バターを作る前の生乳(クリーム)が違うんです」と大澤シェフ。
「普通のバターはクリームを撹拌して作るんですが、発酵バターはそのクリームに乳酸菌を混ぜて発酵させてから作るんです。
実はフランスや西洋では発酵バターのほうが主流なんです。というのも、バターが生まれた当時、殺菌の技術が今ほど発達していなかったため、ミルクをほうっておけば発酵してしまうという環境だったこともあり、発酵した生乳で作るのがむしろ普通だったわけです。
発酵バターが日本でポピュラーになったのは比較的最近のこと。フランスなど西洋では発酵バターが主流であったのに対して、日本では普通のバターが主流なのではどうしてなのでしょうか。
それは、海外から入ってきたバターを日本では試験的に普通の生乳から作ってみたという歴史があるからのようです。
そのため日本では発酵していない生乳(クリーム)で作るバターが一般化されたようなのです。
では、味や風味など発酵バターと普通のバターでは違うものなのでしょうか。大澤シェフに聞いてみました。
「発酵させたクリームから作っていることもあって、発酵バターはコクや風味が強んです。普通のバターと比べておいしいと感じるのは、そのためかもしれないですね」
なるほど~。そうすると、作る物によって使い分けされることもあるでしょうか。
「ありますね。発酵バターって、発酵させている分、わずかではあるんですがヨーグルトやチーズのような香りがあるんですよ。鼻にツ~ンと来る香り。その香りが焼きあがったお菓子とどう釣り合うかによって、発酵バターか普通のバターを使い分けますね。
例えばチョコレート菓子を作るときに、チョコレートの香りを際立たせたいのに発酵バターを使うとバターの香りが強く出てしまい、チョコレ―トの香りが少なくなってしまう。
逆に、サブレやガレットデロワのように、シンプルな素材で焼き菓子を作るときは、バターの香りがストレートに伝わる発酵バターのほうがいいということも。
完成品をイメージしたときにどうなるかと考えて選んでいます」
パティシエ:大澤智弥さん(プロフィール)
専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。
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ウフ。編集部スタッフ
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