スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう?でも実は知らないことが多かったりしますよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。
お菓子のヒミツや業界にまつわる裏話も深堀り。今回は、アイスクリームとソフトクリームの違いと、ジェラート、シャーベットの違いも聞いてみました!
「アイスクリームとソフトクリームの違いは、一言で言ってしまうと温度の違いなんです」と大澤シェフ。
編集部:温度……!?
大澤シェフ:「商品として提供されるときの温度の違いがアイスクリームとソフトクリームを分けているんです。アイスクリームは、結構温度が低くて、-18度以下で販売されているもの。一方のソフトクリームは、-5~7度くらいで販売されているものです」。
編集部:ええ? 成分の違いとかはないんですか?
大澤シェフ:「もちろん製造過程や使用する乳脂肪分の量によっても違いはあるんですけど、実はまったく同じ材料――乳製品、砂糖、乳脂肪で作ったものでも、商品として-18度で提供したらアイスクリームで、-5度で提供したらソフトクリーム。つまり、ソフトクリームは、出来立てのアイスクリームともいえるんです」
編集部:では、まったく同じ味なのに、アイスとソフトに分かれるということもあるんですか?
大澤シェフ:「不思議なことに同じ材料で作ったアイスクリームとソフトクリームとでは、微妙に味の感じ方が違うんですよ。温度が違うと味わいが変わってくるんです。
厳密な甘さの純度は変わらないのかもしれないですが、ちょっと溶け始めたソフトクリームって、甘く感じないですか? それと同じことで、温度の高い低いで感じる甘さが違うんですよ。
だから、アイスもソフトも食べるときの温度がもともとあって、そこに合わせて味を調合していくということはありますよね」
編集部:さすが!奥が深い、お菓子の世界……。
大澤シェフ:「さらに、アイスクリームの中でも、アイスクリーム、ソフトミルク、ラクトアイス、それに氷菓というグループ分けもあって、これらは、乳固形分や乳脂肪分の割合によって名称が異なるんです」
編集部:そうすると、そこにジェラートとシャーベットが入ってくると、どうなりますか?
大澤シェフ:「ジェラートはご存じのようにイタリア発祥のアイスクリームで、生地にいろいろなフルーツなどを練り込んでカラフルに仕上げた商品。日本でもすっかり定着していますよね。
今は日本のアイスクリームでも生地にいろいろな食材を練り込んで作られていますが、もともとはジェラートから来ています。乳固形分や乳脂肪分でいうと、アイスクリームよりも少なくて、どちらかというとラクトアイスに近いかもしれません」
編集部:しつこいですが、ではシャーベットは?
大澤シェフ:「シャーベットは、氷菓になるんじゃないですかね。糖分となるシロップに果汁や香料、酸などを加えて凍らせたお菓子で、アイスとは違って乳成分が少ない。中には乳成分が入らないものをあります」
先の乳固形分でいうと3%以下のものがシャーベットになるとのこと。
大澤シェフ:「シャーベットはジェラートやアイスクリームに比べて口溶けがなめらかで、シャリシャリした食感も人気の秘密なんでしょうね。
シャーベットに限らず、今はアイスクリームやソフトクリームは、たくさんのバリエーションがあって、おいしいものが手軽に食べられます。楽しみ方もいろいろあるからこそ根強い人気があるんでしょうね。最近ではパティシエの中にもアイスやジェラートを強いこだわりを持って作っている人もたくさんいます」
パティシエ:大澤智弥さん(プロフィール)
専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。Ufu専属パティシエ。
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ウフ。編集部スタッフ
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