数多くあるシュトーレンの中で、面白いシュトーレンを見つけました。それは高知県の四万十で作られるシュトーレン。丁寧に丁寧に、一年かけて作られます。
オンラインが中心の販売ですが、ポップアップで日本各地でも販売。 このシュトーレンを手掛 けるのは、高知県にある小さ な小さなお店「カゴノオト」。東京からご夫場で四万十へ移住しオープンさせたお店です。
「カゴ」のように色んな使い方ができ、形にとらわれず面白い「オト」を響かせていこうと「カゴノオト」と名前を付けたという。世 代 や 仕 事 な ど 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド が 違 う 人 々 が 集 ま る カ フ ェ で 、 ワ ー ク シ ョ ッ プ や ギ ャ ラ リ ー展 示 な ど も 行 っ た と いう。
そんな「カゴノオト」が作るシュトーレンには、四万十の恵みを12個も。ご夫婦がこの地で暮らし、様々な人と出会って得た自然の恵みを仕入れているそうです。その時期に買わせてもらって加工して仕込みしじっくりつけて保存しているそう。“自分たちが暮らしているからこそ、できるシュトーレンだと思っています”そう話す小清水さん。
それぞれの食材は、実際にすべて農家さんのところへ行き、畑を見せてもらって買わせてもらっているんだとか。実際に近所のおばあさまからすだちを仕入れ、小清水さんのお子さんが通う保育園のお知り合いから金柑を買わせてもらったり……このシュトーレンは四万十の土地の恵みだけではなく、人と人との縁のつながりで生まれていました。
ご夫婦が移住したのは、2011年。高知県四万十町に引っ越して、2012年12月に四万十町十和地域に「カゴノオト」をオープンしました。(現在は四万十町窪川地域)。
小清水さん「移住のきっかけは、東日本大震災でした。なぜ四万十にしたのか、それは夫が四万十と様々な縁があったからです。もともと夫は東京でコックの仕事をする前に大道具の仕事をしていました。祖師ヶ谷大蔵に東宝の映画撮影のところがあり、そこに行く帰りによく祖師ヶ谷大蔵のご飯屋さんに行っていたそうです。そこの方が四万十町の有機農家さんと結婚され、移住されて、そこから宅配の野菜を取っていました。
東日本大震災の時に、その農家さんにお邪魔したところ、他にもたくさん移住の方がいたので、決めました。」
数多くあるお菓子の中で、なぜ珍しい「シュトレン」を作り始めたのでしょうか? その質問に帰ってきた答えがとってもシンプル。「シュトーレンが好きだから」なんだとか。
小清水さんのお話を聞くと、このシュトーレンがいかに特別なものかがわかります。
使用している食材は、春はいちご、文旦、小夏。夏はブルーベリー、梅。秋はしょうが、栗、すだち、ぶどう。冬はゆず、干し芋、金柑を使っているそう。
実際食べてみると、まず柑橘の香りがぶわ~っと広がります。そして一つ一つの食材のうま味を感じることができます。高知といえば文旦や小夏。柑橘の持つさわやかさだけではなく、苦みまでも美味しく表現されていました。
「カゴノオト」のシュトーレン。この記事を読んだ人はきっと食べてみたくなるはず。高知、四万十の恵みをぜひ。
About Shop
カゴノオト
高知県高岡郡四万十町土居6
営業時間:10:00~16:00
定休日:月、火、水、日
Writing/坂井勇太朗(編集長)
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