ケーキやシュークリームなどの洋菓子をはじめ、和菓子、アイスクリーム…とおよそ400種類のお菓子が揃う「シャトレーゼ」。スイーツ好きにとってはまるで天国のようなお店ですよね。今回取り上げるのは、シャトレーゼのアイスクリーム「ピュルテ」シリーズ。「ピスタチオ&スイートチョコ」フレーバーが、ピスタチオ好きの間でこっそり話題になっているよう。ピュルテの開発エピソードからシャトレーゼアイスのあれこれまで、開発担当者さんに裏側をお聞きしました!
今回お話を聞いたのは、シャトレーゼ アイス開発部の野尻さん。日々シャトレーゼの新作アイス開発に励んでいます。モットーは、「美味しいだけじゃなく、楽しい商品をつくること」!
2010年から発売されている人気のアイスクリームシリーズ「ピュルテ」。口に入れた瞬間にアイスクリームとコーティングされたチョコが一緒に溶け合う、ちょっと大人向けのアイスです。フレーバーは「マダガスカルバニラ」「とちおとめ苺」「ピスタチオ&スイートチョコ」の3種類。
野尻さん「ピュルテを開発したのは、ちょうど“デイリープレミアム”(=日常的にちょっと贅沢を楽しむこと)なアイスが流行していたからです。ちょうどシャトレーゼでも、チョコアイスはパキッとした食感の子ども向けのものが主流だったので、上品で大人向けのアイスを作らねばというところからはじまりました。」
ピュルテのピスタチオフレーバーはこちら。北海道産生クリームとピスタチオペーストを使用したなめらかなピスタチオアイスに、ラズベリーチップ入りのスイートチョコをコーティング。一口食べると、チョコレートとミルク、ピスタチオのハーモニーがおいしくてなんとも幸せな気分に。後味にはピスタチオのナッティな余韻が残ります。そして、ラズベリーチップのつぶつぶ食感が楽しい!
「開発当初はピスタチオアイスにチョコレートをコーティングしただけだったんですが…それだけでは面白くないのではないか?となって。手元にたまたまマイクロドライのラズベリーがあったので、試しにチョコレートに入れてみたら美味しくて!そのまま採用することになりました」
「ピスタチオフレーバーをつくったきっかけは、ピュルテに『グリーン』の商品が欲しいよね、というところからです。以前は抹茶味があったのですが、伸び悩んだので代わりのグリーンのフレーバーとして開発しました。
シャトレーゼのアイスクリームは、コンビニやスーパーの商品と違い、同じシリーズの商品を1、2種類ずつ置くのではなく、シリーズ物でずらりと横並びに置きます。だから、並べたときのパッケージの“色”が、新商品開発のきっかけとして重要になるんです。」
店頭に並べたときのことを考えて開発するのは、商品数が多く、自社で開発から販売まで行うシャトレーゼならでは。アイスクリームコーナーに行ったときのワクワク感も、こうしたアイデアのおかげで実現しているのかもしれません。
「ピュルテ」は、こんなに美味しいのにも関わらず、なんと1本86円という驚異の価格。アイスクリームにかかわらず、『美味しいのに安い』はシャトレーゼ最大の強みと言っても過言ではないほど。どうしてこんな価格で実現できているのかを伺うと、大きく2つの理由が。
「まず、仕入れから、製造、配送、販売までをすべて自社で行っているので、余計な仲介費用などがかからず、コストが抑えられているんです。
卵や牛乳などの新鮮素材は、契約農場から自社工場へ直接仕入れることで、鮮度も保てますし余計な輸送費用がかかりません。できたお菓子も、全国の店舗に直接直送しています。すべて自社です!」
「もう一つの理由は、広告・販促費用をほとんどかけていないことです。CMは放映していませんし、広告も出していません。
というのも、社長のモットーである『おいしいものをつくっていれば、口コミで良さは伝わる』をPRの指針にしているからです。実は、InstagramやTwitterのSNSの運用担当は一人しかいないのですが、その言葉通り、お客様が自発的に『○○がおいしかった』と口コミを投稿してくださっているおかげで、新商品や注目の商品は勝手にどんどん広がっていくんです。ありがたいことですね。」
シャトレーゼが毎年発売する新商品は、なんと200種類以上なんだとか! そんなにたくさんの商品を日々生み出し続けている背景、気になります。開発はどのように進めているのでしょうか?
「毎年、年初めに年間の商品開発プランをざっくり決めて、そのスケジュールに沿って開発を進めます。商品ごとに企画部門と開発部門がアイデアや味の構成を出し合い、商品案をすり合わせた後に試作をしていく流れですね。試作で『よし!』と思ったら、最後の砦として会長・社長の試食があるのですが…。
以前TVで取り上げられたくらい、社長の『OK』がなかなか貰えなくて厳しいんです(笑)『ピュルテ』ピスタチオは、既存シリーズのフレーバー替えということで開発ノウハウも蓄積されていた上、入念に社内の社員のなかで試食をしてもらいアドバイスを貰っていたおかげで、すんなりOKが出て安心でした!」
年間200種類の開発というと、そのスピード感も大変だとは思いますが、新しいアイデアを出し続けるのも相当大変なはず…。その秘訣を野尻さんにお伺いしました。
「自分はアイス担当なので、アイスクリーム部門の話になってしまいますが…実は、アイス以外のスイーツから新商品のアイデアが出ることが多いんですよ!
例えば、最近開発した『DESSERTモナカ ガトーオペラ』。現状、モナカアイスといえば、バニラアイスにモナカというシンプルなものが多かった。そこを、ケーキの“オペラ”の味の構成を、そのままアイスにして入れれば新しいのでは?と思いまして。新しいモナカアイスを作り出すことができたんです。」
日々、新しいアイス開発に励む野尻さん。シャトレーゼのアイスクリーム開発代表として、今後の展望についてお聞きしました。
「年間200種類の新商品を発売していると言いましたが、そのうち、定番商品のリニューアルがかなりの割合を占めています。アイスクリームの定番でありNo.1の商品は、バニラアイスの中にパリパリチョコが入っている『チョコバッキー』。このアイスクリームを超える商品を、自分の手で生み出していきたいですね!」
ピスタチオ好きの間でこっそり話題になっていた「ピュルテ」シリーズの「ピスタチオ&スイートチョコ」フレーバー。その美味しさと86円というコスパの良さ、シャトレーゼじゃないと実現できないと言っても過言ではありません。年末年始にこたつでアイスクリームを食べる派のみなさん、ぜひシャトレーゼへ!
Photo&Writing/Nanako Maeda 写真提供:シャトレーゼ
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