スイーツ好きであれば、お菓子の缶の“ジャケ買い”“パケ買い”をしちゃったことは1度や2度ではないはず。お菓子の缶はそのお菓子、お店、作り手の思いや世界観を伝える究極の広告であり、営業ツール。
さらには湿気や衝撃からお菓子を守る役割もあり、まさに機能と芸術が混ざり合った、いちばん身近なアートです。
お菓子の缶に魅入られ45年。
10月にはお菓子缶の専門書「素晴らしきお菓子の世界」も刊行した、フードジャーナリストでお菓子缶研究家の中田ぷうが、魅力的な缶をご紹介。
今回のテーマは2021年秋冬注目のお菓子缶をお届けします!
立山連峰を臨む、美しい自然に囲まれた富山の町にある洋菓子工房「ZAXFOX」。そのオーナーがクリエイティブスタジオ「KIGI」とお菓子研究家の福田里香さんを迎えて作られたのが、チーズクッキー缶「Cheesy Poche(チージィーポッシュ)」。
クッキーを食べたときに香るペコリーノ・ロマーノと、メレンゲをかじったときの冴えるレモンの香り。相反する味の変化の華やかさを缶のデザインにも継承。
チーズに連想される色=イエローをキーカラーに、ネズミと猫、そして花のモチーフを描いた缶は唯一無二。缶のチーズに見立て、並ぶ花模様の中、ネズミが隠れている遊び心あるデザインは、クッキー缶へのワクワクした気持ちやときめきが表現されているといいます。
中にはペコリーノ・ロマーノDOPを2つの焼き加減で味わう、絞り出しのチーズクッキーとレモンピールがたっぷりと使われたさわやかなメレンゲが入っています。
このチーズクッキー、紅茶やコーヒーはもちろん、私はワイン(赤でも白でも! でも今の季節、私は赤のメルロー推しです)に合わせてもおいしいんです。
メレンゲはチーズクッキーを食べて口の中が少し重くなったときにつまむとまさにお口直しに。リセットされます。
「泉屋東京店」では2016年より、毎年お正月向けの“ニューイヤー缶”を発売していましたが、今年は初の“干支缶”を発売。ねこととらが描かれています。
1080円という買いやすい値段もさることながら、今年5万個販売を突破した“バズりクッキー缶”「ねこ缶」のイラストも手がけたセツサチアキさんのイラストの癒し度とかわいさといったら!
自分用はもちろん、お友達へのプレゼントやお子さんがいるご家庭へのプレゼントにもいいですよね。
中にはもちろん、“泉屋”のトレードマークでもある“浮き輪クッキー”「リングターツ」や、定番の「チョコレートクッキー」に「スプライズ」などが入っているのですが、普段は味わうことができないクッキーも!
2022年の年号と“とらとねこ”が描かれたプリントクッキーや、“泉屋”の人気クッキー「サボイフィンガー」(カステラを焼いたみたいなクッキー)をアレンジした「ブロックサボイオレンジ」も入っています。
金沢生まれ、「hokka」の自然派ビスケット「米蜜ビスケット」(「俵屋」のじろあめ、「ヤマト醤油味噌」の玄米甘酒、塩麹を使って作られたビスケット)。11月24日に、人気イラストレーター・itabamoe(イタバモエ)氏とのコラボで、描き下ろし数量限定ギフト缶が登場!
マットな質感の白缶に、itabamoe氏のイラストが映えるお菓子缶は、まるで額装した絵のよう。
多色じゃないところも落ち着いていていいんです。
中には「米蜜ビスケット」が12枚入っています。アレルゲンである乳や卵を省いて作られているので、アレルギーがある人にとってもうれしいですよね。
千葉にある菓子とケーキの店「オランダ家」は1949年創業。
2018年、店名である“オランダ”生まれのミッフィーの作者ディック・ブルーナ氏とのコラボがスタート。当初は数量限定販売の予定が、あまりに人気に定番商品となった。このとき発売されたのが、<写真左>の「ミッフィーサブレ 10枚入 角缶」。そして今年10月、<写真右>の“4面”バージョンを数量限定で新たに登場。
私がこの“ミッフィー缶”を好きなのは、変に子どもっぽくせず、ディック・ブルーナ氏のグラフィカルな魅力をそのまま活かしているところ。“ミッフィー”の魅力がきちんと伝わりますよね。
中のサブレも包装紙もちゃんと“ミッフィー”! この“ミッフィーサブレ”、売り上げ金の一部が「子供の未来応援基金」に寄付されるんですよ。
中田ぷう
フードジャーナリスト
お菓子缶好きとして約45年。今秋ついにお菓子の缶本「素晴らしきお菓子缶の世界」(光文社)も出版。ライターとして、またフードジャーナリストとして、各メディアで執筆&レシピ提供も。
Photo&Writing/Nakata Pu
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