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予約・入手困難なお菓子の世界vol.3番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

今回の“予約・入手困難なお菓子の世界”vol.4 番外編では、販売開始直後になくなる「となりの開花堂」のクッキー缶を製造している、工場に初潜入していきます。

“村上隆”さんのグッズが販売されている「Tonari no Zingaro」(中野ブロードウェイ4F)から歩いて10分ほどの場所に、昨年末に新設されました。

ここでは、工場の内部や作る工程、更には“村上隆”さんからのメッセージもご紹介してきたいと思います。

作る工程は全部で5工程

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

「仕込み・のし・抜き・焼き・つめ」の5つの工程から、クッキーは完成します。この工程を一日でこなすわけではなく、一日一日一つの工程をこなし、最終的にクッキー缶になります。

5つの工程

仕込み…クッキー生地を作る作業
のし…生地を伸して休ませる作業
抜き…クッキー生地から型を取る作業
焼き…型取りをした生地を焼く作業
つめ…焼いたクッキーを缶に入れていく作業

私たちの取材日はちょうど「抜き」の作業日だったので、「抜き」の作業について取材をさせてもらいました。(この作業は、クッキー生地から型を取る作業です。)

みんなが知っている“村上隆”さんのキャラクター“お花”を始めとする様々なキャラクターや他のクッキーの型をとり、「焼く」作業の前準備をします。

「抜き」の工程の一番のこだわりは、生地から型を抜くときに使う“型”です。この“型”は、カイカイキキのデザインスタジオと造形スタジオが共同で型をデザインしていて、納得のいくまで何度も様々な試作を重ねたそうです。

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

この“型”は、クッキーのメインキャラクターである“お花”の花弁の微妙なふくらみや顔部分の立体感を正確に表現しています。ですが、生地から“型”を抜くとき一回では細かいシェイプが作れないため、花弁と顔の生地を別々に生地から抜きとって一枚ずつ貼り合わせて作っています。

すべてのクッキーのフレーバーや食感、カラーは、“村上隆”さんが試食、繰り返しチェックをし、了承を得たものだけを商品化しています。

この工程の中で、一番大変な作業について尋ねてみると、何をするにも開発する段階が一番大変だったと教えて下さいました。

選ばれたパティシエさんたち

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

工場が出来る前は、「となりの開花堂」に生まれ変わる前「Bar Zingaro」のスタッフさんが製造していたそうなのですが、今は全国各地から集められた新しいパティシエさんが作っているそうです。

選ばれたパティシエさんたちは、「“村上隆”さんの思い描く、世界観、脳内にある懐かしい味を再現できる、そのイメージに共感してくれる方を中心に。」とおっしゃっていました。

パティシエのクッキーはもちろんおいしいですが、“美味しい”だけを求めるのではなく、「何か懐かしいような、思い出深いようなクッキー」を再現したいという気持ちが強かったそうです。

“お花の親子”のクッキーが出来たきっかけ

「ROPPONGI HILLS TAKASHIMURAKAMIPROJECT」で六本木ヒルズに、高さ約10mの金色の彫刻作品「お花の親子」が飾られているのを知っていますでしょうか。(2020年11月26日~2021年9月26日予定)

そのキャラクターがクッキーに落とし込まれて、生まれたそうです。

「抜き」の作業:お花の親子が抜かれていく様子をご覧ください

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入
予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入
予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入
予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入
予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

丁寧に型から剝がされ、何体ものお花のお母さん(もしくはお父さん)が並べられていきます。みんなこっちをむいて笑っています。

絵にかいたような模様がクッキーに描かれており、ここまで再現するのに何度も何度も論議を重ねたそうです。

なんと、子供もいます!

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

最後に、村上隆さんからファンの皆さんにメッセージ

「自分が初めてニューヨークで住み暮らした1995年頃。チャイナタウンのパンを食べた時、自分の幼少期に食べたコッペパンの味がして、なんともいえない時代のズレ感がありました。

で、あ!これアメリカのパン…じゃなくて、母国中国の味なんだ。それがNYっているこの街で、再現されててそれって凄いな。

人々が米国に移民してきた時代そのままのタイムカプセルになっているんだ!って気がついて深く感動しました。

それを思い出して、僕の味の郷愁を表現しようと考えました。
時代に迎合するというよりは、僕の脳内にあるそういった記憶っていうものがクッキーの中に封じ込められたらなと思ったんです。

そんなタイムカプセル感に思いをはせてもらって、そして口に入れて頂いて、味わって頂ければと思います。」

クッキー缶が発売されて、今で一年ほど。

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入

このクッキー缶の発売が開始されたのは、去年の6月頃。

現場のパティシエさんたちとデータ制作のチーム、本社の造形チームの方々、“村上隆”さん本人の皆さんが試行錯誤を何度も繰り返し、一つのクッキー缶を作り上げているとは、お話を伺うまで知ることが出来ませんでした。

繰り返して、納得のいくまで、ここまで試作を重ね、作り上げたクッキー。

ufu.はお菓子のメディアで、お菓子の事について深掘りし、記事を作っていますが、“アート”という世界の考え方は“お菓子”の世界とも似ています。

予約・入手困難なお菓子の世界vol.5 番外編「となりの開花堂」“お花”がいっぱいのクッキー工場に潜入


「作品に触れ、気持ちや心を動かし、意図やメッセージを読み取る。」洋菓子店のケーキや和菓子職人の和菓子、お店のロゴ、店内、袋などたくさん。この世界にも“アート”は隠れていて、シェフの哲学や自分らしさを突き止め、ありのままに“カタチ”にしていきます。

ここで改めて、ものに対しての評価とは、何だろうと思うことがあります。“アート”というのは、私たち受け取る側の人間が寄り添うことが大切で、それから初めて理解できるものだと思います。

自分自身を理解し、時間をつぎ込んで創り出される“カタチ”のお菓子は、とてもその人の人生に触れられる一つのポートフォリオのようですね。

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となりの開花堂
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※中野ブロードウェイ4Fにてクッキーの受け渡しがあります。

Photo/Masahiro Noguchi