年間1000件以上のスイーツを食べ歩き、Instagramを中心に自分で撮影した写真によって魅力を伝える「スイーツ王子 いでくん」(@idestagram_jp)。
SNSフォロワー15万人超のインフルエンサーであると同時に、都内のラグジュアリーホテルをはじめとする人気店や有名店のスイーツプロデュース、教育機関での講演などを行うこの業界に欠かせない人物です。
そんないでくんに、スイーツを好きになったきっかけや、今後の活動に関する展望をインタビュー。“インフルエンサー”を名乗らない彼の、スイーツに対する実直な思いに迫ります。
Q.そもそも、どんなきっかけでスイーツを好きになったのでしょうか?
いでくん「今から6年ほど前、今のようなSNSでの活動を始める以前に、当時の仕事でとても心が荒んだ時期があり、目の前のことすべてに絶望していました。
そんなとき、たまたまInstagramで見かけたカフェに行ってみたんです。窓際のカウンター席に差し込む光に照らされて、目の前にあるスイーツがキラキラしていて。すごく癒されたんです。
それから休日にはInstagramで気になるスイーツをチェックしてカフェに行くようになり、スイーツとともに、どこか非日常な時間と空間を楽しむようになりました。
もうひとつ。
以前出会ったパティシエ志望の子の影響も大きかったです。その子は当時19歳だったのですが、パティシエになるために、専門学校への進学費用をアルバイトを掛け持ちして貯めていて。
365日のうちほとんどをアルバイトで過ごしたという話に、当時の僕は『なんでそこまでしてパティシエになりたいんだろう?』と思って理由を聞いたんです。
『私はこれまでの人生で、スイーツを食べているときに怒ったり悲しんだりしている人を見たことがありません。スイーツを食べているときは、皆さん笑顔じゃないですか。だから、私はパティシエになりたいんです』
その言葉に鳥肌が立ったのを今でも鮮明に覚えています。
そもそもスイーツは食事とは異なるもので、あくまでも嗜好品です。人が生きていくために絶対欠かせないものではないですよね。
でも、食事が空腹を満たすものだとしたら、スイーツは心を満たすことができるもの。そこに強くロマンを感じましたね」
Q.なぜInstagramを始めたのでしょうか?
いでくん「最初は、“女の子にモテそう”というのが理由でした(笑)あとは、Instagramだとフォロワーやいいねという数値が可視化されたので、特定の誰かというわけではないけれど、他の人に勝ちたくなったんです。
その後、一枚のスイーツ写真が海外で拡散されてフォロワー数が一気に増え、投稿に反応をもらえること、そのサイクルによって自分がいいなと魅力を感じたスイーツがどこかの誰かの共感を得られることに、喜びを感じるようになりました。
それに、僕がSNSを始めた当初は今よりもスイーツを巡る男性が少なく、カフェに男性が一人でいるのも珍しい時代でした。そうした人たちの人口も増やせたら、とも漠然と思いましたね」
Q.今、「スイーツ王子 いでくん」として活動している目的は?
いでくん「まずひとつは、自分がスイーツをきっかけに得たものをこれまで関わってもらった方々やスイーツ業界に還元することです。僕はスイーツによって、それまでは想像もできなかったような貴重な経験や出会い、人とのご縁ができました。
その恩を返すためにも、まだ世の中にはあまり知られていないけれど魅力的なスイーツやお店を盛り上げたり、スイーツを通して社会や地域を盛り上げたりしたいと思っています。
加えて、スイーツ×男性というジャンルの一種のロールモデルとして、“スイーツを楽しんで極める”という生き方もある、と伝えられたらとも考えています。僕が活動を続けることで、スイーツに限らず、自分の好きなことを突き詰めていくとこんなこともできる、あんなこともできる、といった希望を示せると考えています」
Q.今後は、何を目指して活動されるのでしょうか?
いでくん「とても抽象的な表現にはなりますが、これまでになかったような新しいことをやり続けたいです。スイーツに関連することもそれ以外のことも含め、誰もが思いつかないようなことを実現し続けたいですね。そうした行動が、好きなことを極める生き方の提案にもつながっていくのではないでしょうか。
僕は良くも悪くも目立つキャラクターですが、自分自身に対しても、自分が作るものに対しても賛否があっていいと考えています。100人中100人に好かれる生き方もしていませんし、そういう見せ方もしていませんしね。
批判されないように努力するよりも、自分の考えや取り組みに賛同し協力してくれる人、喜んでくれる人たちのために全力を注ぎたい。これからも色々な人と一緒に、ワクワクすること、キラキラしたものを創っていくつもりです」
いつからか“スイーツ王子”と呼ばれるようになり、その肩書を背負うデジタルの画面越しにはどこか孤高な印象も受けるいでくん。取材に答える彼の言葉と表情には、どこまでもスイーツとその世界を尊重する深い思いと、まっすぐな強い覚悟を感じました。
注目記事