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【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界Vol.13】パイとタルト、そしてガレットの違いは何?後編

スイーツ、焼き菓子についての素朴な疑問や裏話を現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくるこのコーナー。今回はタルトとパイ、ガレットの違いについての後編! 前回はあまり触れることができなかったガレットを中心に、パイ、タルトの違いについて、聞いてみました!

ガレットはそば粉のクレープ…だけではない!?

「パイとタルトの違いは、生地が同じであっても具材を包むか(パイ)、乗せるか(タルト)によって違うということを前回お話しました。定義としては曖昧なところもありますが、作る側にとっては明確な違いがあり、工程やこだわりが違います。一方で、パイやタルトと、ガレットは何が違うのか、というとそこはまた難しいのです」と大澤シェフ。

そもそも同じカテゴリーには収まらないのが、このガレットだと言います。

「ガレットというと、日本ではそば粉を使ったクレープが一般的にイメージされますよね。フランスでは、ガレットと名称がつく焼き菓子はいくつか種類があるんです。日本のようにガレット=そば粉のクレープではないのです」

ガレットは「平らな」「平べったいもの」という意味のフランス語

大澤シェフによれば、ガレットというのは、もともと『平らな』とか『平べったい』というフランス語の形容詞で、フランスでは『円く焼いた料理』全般を差すものだと言います。

日本では、先のようにそば粉を使うクレープがガレットとして知名度が上がって定着してしまったのです。

フランスでは、そば粉を使ったガレットのほかにも、ブルターニュ地方の郷土料理として古くから親しまれている、バターを使った厚めのクッキー「ガレット・ブルトンヌ」や、フランスの新年のお祭りに食べる「ガレット・デ・ロワ」、そしてじゃがいもを使った「ガレット・デ・ポムドテール」などがあります。

パイ生地を使って作るガレット?!

中でもガレットと名のつく焼き菓子で一番ポピュラーなのが「ガレット・デ・ロワ」です。フランスでは伝統的な焼き菓子として家庭でも作られるとても身近なものです。

「ガレット・デ・ロワは、パイ生地で作った焼き菓子です。パイやタルトとの違いで説明すると、ちょっと複雑でわかりにくいですよね(笑)。

ガレット・デ・ロワは、パイ生地の上にアーモンドクリームを塗り、その上からまたパイ生地包むように乗せます。表面には『レイエ』と呼ばれるナイフで切り込まれる美しい模様を描いていきます」

この模様がガレット・デ・ロワの特徴でもあります。

レイエの模様は一律ではなく、渦巻きのような太陽の光を表すものや月桂樹の葉を表したものなど、さまざまな形状があります。フランスでは、キリスト教の祝日・エピファニーの日(1月6日)に食べられる伝統的なお菓子でもあります。

また、ガレット・デ・ロワの有名なエピソードとして、「フェーヴ」と呼ばれる陶器を中に忍ばせて、大人数で切り分けて食べ、フェーヴが当たった人に、その年の幸運がもたらされると言われています。

パイ、タルト、ガレット……それぞれの違い、わかりましたか?

ガレットは、パイやタルトとはまた違った焼き菓子になること、そしてガレットと一口にいっても、いくつかの焼き菓子があるのですね。

同じような焼き菓子でも、その歴史や背景がわかってくると、食べる楽しみが増えてきますね。

教えてくれたのは……

パティシエ:大澤智弥さん

専門学校を卒業後、ビゴ東京に入社。その後「レストラン シェ・イノ」、「ホテル雅叙園東京」、「アングラン」などを経て、「こむぎのおいしいおかし」ほか、ガレットデロワ専門店「Galet Galet(ガレ ガレ)」のシェフとして活躍している。ufu専属パティシエ。

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